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転職後の住民税はどうなる?手続きの全知識をパターン別に解説

転職活動や新しい職場への期待とともに、多くの人が不安に感じるのが住民税などの税金の手続きです。

「転職したら住民税の納付書が急に届いた!」「前の会社で天引きされていたはずなのに…」と戸惑った経験はありませんか?

住民税の手続きは、退職のタイミングや転職先が決まっているかどうかで対応が異なり、少し複雑です。

この記事では、住民税の基本的な仕組みから、あなたの状況に合わせた具体的な手続き方法、そして多くの人が抱く疑問まで、分かりやすく解説します。

この記事を読んでわかること
  • 住民税の「特別徴収」と「普通徴収」の根本的な違いがわかる
  • 【パターン別】あなたの状況に合った住民税の手続き方法がわかる
  • 転職後に住民税の納付書が届いた理由と対処法がわかる
  • 住民税に関するよくある疑問(二重払いや引っ越しなど)が解消される

1.【大前提】まずは住民税の基本を理解しよう

【大前提】まずは住民税の基本を理解しよう

手続き方法を見る前に、まずは住民税の基本的な仕組みを知ることが理解への近道です。

住民税とは?税額の決まり方と2つの納付方法

住民税とは?税額の決まり方と2つの納付方法

住民税とは、お住まいの市区町村(都道府県民税と市区町村民税の総称)に納める税金のことです。教育、福祉、ゴミ処理など、地域の行政サービスを支えるために使われます。

重要なポイントは、住民税は前年1月〜12月の所得をもとに計算され、翌年の6月から納付が始まるという点です。

つまり、今年払っている住民税は、去年のあなたの所得に対して課税されているものなのです。

この「後払い」の仕組みが、退職・転職時に混乱が生じる一番の原因です。

納付方法は「特別徴収」と「普通徴収」の2種類

住民税の納付方法には、会社員向けの「特別徴収」と、それ以外の人向けの「普通徴収」の2種類があります。

住民税の徴収方法インフォグラフィック
住民税の納付方法:2つの違い
特別徴収
方法
会社が毎月の給与から天引きして、本人に代わって市区町村に納付します。
対象
主に会社員(給与所得者)が対象です。
普通徴収
方法
市区町村から送付される納付書を使い、自分で金融機関やコンビニで納付します。通常、年4回に分けて支払います。
対象
自営業者、フリーランス、退職者などが対象です。

転職時の手続きとは、この「特別徴収」をどう引き継ぐか、あるいは一時的に「普通徴収」に切り替えるか、という選択になります。

2.【パターン別】転職後の住民税はどうなる?具体的な手続きを解説

疑問

ここからは、あなたの状況に合わせて具体的な手続き方法を見ていきましょう。主なパターンは以下の2つです。

  1. 退職後、すぐに次の会社へ入社する場合(離職期間がない)
  2. 退職後、離職期間を経てから入社する・転職先が未定の場合

パターン1:退職後、すぐに次の会社へ入社する場合

退職から入社まで間が空かない場合は、手続きをすれば住民税の「特別徴収」を継続できます これが最も手間のかからない方法です。

  1. 前の会社に、転職先で特別徴収を継続したい旨を伝える。
  2. 前の会社から「給与所得者異動届出書」を発行してもらう。
  3. 「給与所得者異動届出書」を転職先の会社へ提出する。
  4. 転職先の会社が市区町村へ書類を提出し、手続きが完了。

この手続きがスムーズに行われれば、あなた自身で住民税を納める必要はなく、これまで通り給与からの天引きが継続されます。

手続きの主体は会社側です。転職が決まったら、なるべく早く前の会社の経理・人事担当者に「給与所得者異動届出書」の作成を依頼しましょう。

パターン2:離職期間がある・転職先が未定の場合

退職時点で次の会社が決まっていない場合や、少し休んでから働く場合は、一度「普通徴収」に切り替わり、自分で納付する必要があります

この場合、退職した時期によって納付方法が異なります。

6月〜12月に退職した場合

  • 納付方法: 退職した翌月以降の住民税は「普通徴収」に切り替わります。後日、市区町村から自宅へ納付書が送られてくるので、それを使って自分で納付します。
  • 例外: 退職時に、翌年5月までの住民税を最後にもらう給与や退職金から一括で天引き(一括徴収)してもらうことも可能です。希望する場合は、前の会社の担当者に相談してみましょう。

1月〜5月に退職した場合

  • 納付方法: この時期の退職は原則として、5月までの住民税が最後の給与や退職金から一括で天引き(一括徴収)されます これは地方税法で定められています。
  • 注意点: 最後の給与額が住民税額より少ない場合などは、普通徴収に切り替わることがあります。

転職先が決まったら、その会社の担当者に「現在、住民税を普通徴収で支払っている」と伝え、特別徴収への切り替え手続きを依頼しましょう。

3.転職後の住民税Q&A|よくある疑問をすべて解決!

Q1. 転職したら、自宅に住民税の納付書が届きました。なぜ?支払う必要は?

A. はい、支払う必要があります。 納付書が届いたのは、退職によって特別徴収から普通徴収に切り替わったためです。

これは、前の会社から市区町村への退職連絡が完了し、「これからは自分で納付してください」という通知です。

転職先の会社で特別徴収の手続きが完了するまでの期間分、あるいはその年度の残り分を自分で納付する必要があります。

Q2. 納付書で支払ったら、新しい会社の給与からも天引きされて二重払いになりませんか?

A. 心配ありません。二重払いにはなりません。

市区町村は、誰がいつまで特別徴収で、いつから普通徴収に切り替わったかを正確に把握しています。納付書で支払った分と、新しい会社で天引きされる分が重複することはありませんので、ご安心ください。

Q3. 転職と同時に引っ越しました。住民税はどこに納めるのですか?

A. その年の1月1日時点に住んでいた市区町村に納めます。

住民税は、その年の1月1日に住所があった場所で課税されます。例えば、2025年4月にA市からB市へ引っ越した場合でも、2025年度分の住民税はA市に納めることになります。

B市に納めるのは、翌年の2026年度分からです。

Q4. 新しい会社で給与明細を見ても、住民税が天引きされていません。大丈夫?

A. 会社の切り替え手続きが間に合っていない可能性があります。

特別徴収の開始は、通常6月からです。中途入社の場合は、会社の担当者が手続きを行った後、市区町村が税額を計算して会社に通知するため、天引き開始まで2ヶ月ほどかかることもあります。

あまりに天引きが始まらない場合は、念のため会社の経理・人事担当者に「住民税の特別徴収の手続きは完了していますか?」と確認してみましょう。

4.転職時の住民税は「会社の担当者への早めの相談」が鍵

この記事では、転職にともなう住民税の手続きについて解説しました。

  • 住民税は前年の所得に対して課税される「後払い」の税金
  • 手続きの基本は「特別徴収の継続」か「普通徴収への切り替え」
  • 離職期間がない場合: 前の会社に依頼して「特別徴収の継続」手続きを
  • 離職期間がある場合: 一旦「普通徴収」で自分で納付。退職時期で納付方法が変わる
  • 困ったら会社の担当者に相談!

住民税の手続きは少し複雑に感じるかもしれませんが、仕組みさえ理解すれば何も難しいことはありません。

最も大切なのは、転職元・転職先の経理や人事の担当者としっかり連携をとることです。

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