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試用期間6ヶ月はやばい?ブラック会社の見分け方と対処法

入社した会社から「試用期間は6ヶ月です」と告げられたとき、「え、そんなに長いの?」「もしかして、何か問題がある会社なのかな…」と、心に不安がよぎってしまうかもしれません。

ですが、ご安心ください。試用期間が6ヶ月であること自体が、直ちに「やばい会社」のサインというわけではありません。大切なのは、その期間の「なぜ」を理解し、自身で会社を冷静に見極めることです。

この6ヶ月を、自身のキャリアにとって有益な「見極めの期間」に変えていきましょう。

この記事では、「安心できるポイント」、本当に「やばい会社」を見抜くための「警告チェックリスト」、そして具体的な「行動プラン」までを、一つひとつ分かりやすく解説していきます。

この記事を読んでわかること
  • 「試用期間6ヶ月」が法律的に問題ない理由
  • 注意すべき「やばい会社」の具体的な見分け方
  • 不安を感じた時にすぐできる具体的な対処法

1.【結論】試用期間6ヶ月は違法ではない。でも「なぜ長いのか」が重要

【結論】試用期間6ヶ月は違法ではない。でも「なぜ長いのか」が重要

結論から言うと、試用期間が6ヶ月であること自体に法的な問題はありません。まずはその点を詳しく解説していきます。

その上で、会社側がどのような意図でこの期間を設定しているのか、その背景も見ていきましょう。

まずはご安心を。法律では試用期間の長さに上限はない

試用期間を6ヶ月と設定すること自体は、法律違反ではありません

労働基準法をはじめとする各種法律には、「試用期間は最長〇ヶ月まで」といった明確な上限規定は存在しません。企業は、労働契約を結ぶ際に、その業務内容や職責に応じて、合理的な範囲内で試用期間を設けることができます。

そのため、「6ヶ月と聞いただけで、ブラック企業なのかも…!」と考える必要はありません。

ただし、あまりにも長すぎる期間(例えば1年を超えるなど)は、公序良俗(民法第90条)に反するとして、裁判で無効と判断される可能性があります。あくまで「合理的な範囲内」であることが前提です。

ちなみに、労働政策研究・研修機構の調査によると、試用期間を設けている企業は多く、その長さは「3ヶ月」が最も一般的ですが、「6ヶ月」とする企業も決して少なくありません。

参照:e-Gov法令検索:民法第90条
独立行政法人 労働政策研究・研修機構|従業員関係の枠組みと採用・退職に関する実態調査

会社が試用期間を6ヶ月にする「まっとうな理由」もある

では、なぜ企業は長めの試用期間を設けることがあるのでしょうか。それには、企業側の「まっとうな理由」も存在します。

たとえば、専門的なスキルや高度な判断力が求められる職種の場合、その適性をじっくりと判断するために時間が必要になることがあります。

また、未経験者を採用し、一人前になるまで手厚い研修を行うようなケースでも、その成長過程を見守るために6ヶ月程度の期間を設定することが考えられます。

実は、実務的な理由もあります。労働基準法で年次有給休暇の付与が義務付けられるのが、原則として雇入れの日から起算して「6ヶ月」経過した時点です。

このタイミングと合わせることで、人事管理を効率化したいという、企業側の合理的な判断が働いているケースも少なくありません。

重要なのは、その期間設定に、企業側の合理的な説明があるかどうかです

参考:労働基準法第39条|e-Gov法令検索

2.【警告】これに当てはまったら要注意!本当に「やばい会社」の危険信号チェックリスト

【警告】これに当てはまったら要注意!本当に「やばい会社」の危険信号チェックリスト

試用期間6ヶ月が即違法ではないとはいえ、その期間を利用して労働者を不当に扱う「ブラック企業」が存在するのも事実です。

以下のチェックリストに当てはまる項目がないか、ご自身の状況を冷静に確認してみてください。

雇用契約や条件に関する危険信号

Warning

□そもそも雇用契約書を交付されていない、または試用期間に関する記載がない。

□試用期間中の給与が、求人票に記載されていた額や面接で聞いていた額より不当に低い。

□「試用期間中は社会保険に加入させない」と言われた。(※加入要件を満たしていれば加入義務があります)

□正当な理由なく、試用期間の延長をほのめかされている。

働き方や職場の環境に関する危険信号

Warning

□求人内容と実際の業務内容が、あまりにもかけ離れている。

□残業が常態化しているにもかかわらず、残業代が支払われない。

□上司や同僚からの指導が、教育的な範囲を明らかに超えたハラスメント(暴言、無視など)である。

□相談できる窓口や担当者が社内に存在しない、または機能していない。

研修やサポート体制に関する危険信号

Warning

□入社後の研修やOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)が全くなく、放置されている。

□質問や相談をしても「見て覚えろ」「自分で考えろ」の一点張りで、具体的なフィードバックがない。

試用期間の評価基準が曖昧で、何を達成すれば本採用になるのかが不明確。

これらの項目に複数当てはまる場合は、注意が必要です。

ただ不安を募らせるのではなく、次のステップに進むことを考えましょう。

3.【深掘り解説】試用期間の「延長」は拒否できる?

試用期間の「延長」は拒否できる?

会社から突然「試用期間を延長したい」と告げられたら、誰でも「え、クビになっちゃうの?」「何か大きな問題でも…?」と、頭が真っ白になってしまいますよね。ですが、ここで感情的になる必要はありません。

まずは、あなたの権利と会社側の義務について、冷静に確認していきましょう。

結論から言えば、試用期間の延長は合意しない限り成立しません

なぜなら、試用期間の長さは労働契約の重要な要素であり、それを変更するには、本来あなたと会社の双方の合意が必要だからです。

ただし、例外的に延長が認められるケースもあります。それは、以下の2つの条件を両方とも満たしている場合です。

  1. 雇用契約書に、延長の可能性が明記されていること。
  2. 延長に、客観的で合理的な理由があること。

例えば、「長期の病欠で、あなたの適性を判断する時間が不足してしまった」「特定の業務スキルが目標に達しておらず、改善のための追加期間が必要」といった理由は、合理的と判断される可能性があります。

しかし、「なんとなく不安だから」「他の社員と馴染めていないから」といった曖昧な理由での延長は認められません。

もし延長を打診されたら、まずは①延長の具体的な理由、②延長期間、③本採用に至るための明確な目標、この3点を必ず書面で提示してもらうよう求めてください。

そして、その内容に納得できない場合や、不当だと感じた場合は、次のセクションで紹介する外部機関へ相談することも、ためらわずに検討しましょう。

4.【行動】試用期間中に不安を感じたら…今すぐできる3ステップ対処法

「もしかしたら、うちの会社は危険信号に当てはまるかもしれない…」そう感じたときに、感情的にならず、冷静に行動することが大切です。

具体的な3つのステップをご紹介します。

ステップ1
現状確認
ステップ1:現状確認
まず客観的な事実を確認します。雇用契約書の「試用期間」「業務内容」「労働時間」「賃金」を再確認し、実際の勤務記録と食い違いがないか照らし合わせましょう。
ステップ2
社内での相談
ステップ2:社内での相談
一人で抱え込まず、人事部やコンプライアンス窓口に相談を。ステップ1の客観的な事実を基に具体的に話すことが重要です。信頼できる直属の上司への相談も有効です。
ステップ3
外部機関への相談
ステップ3:外部機関への相談
社内で解決しない場合は、外部の専門機関を頼りましょう。「総合労働相談コーナー」では専門家が無料で相談に応じてくれます。予約不要で電話でも相談可能です。

ステップ1:現状確認 – 雇用契約書と自分の状況を照らし合わせる

まずは、客観的な事実を確認しましょう。

手元にある雇用契約書を隅々まで読み返し、特に「試用期間の定め」「業務内容」「労働時間」「賃金」に関する項目をチェックします。

そして、入社してから今までの自分の勤務記録(タイムカードのコピー、業務日報など)や、上司との面談記録などを整理し、契約内容と実際の状況に食い違いがないかを確認してください。

ステップ2:相談 – 社内の窓口や信頼できる上司に話を聞いてみる

次に、一人で抱え込まずに相談するステップです。もし、社内に人事部やコンプライアンス窓口があれば、そこに相談するのが第一の選択肢です。

その際、ステップ1で整理した客観的な事実を基に、「契約書にはこう書かれていますが、現状はこうなっています」と具体的に話すことが重要です。

直属の上司が信頼できる方であれば、まずはその方に相談してみるのも良いでしょう。

相談時の切り出し方・メール文例

上司や人事に相談する際は、感情的にならず、客観的な事実を基に話すことが重要です。

例えば、以下のような形で切り出してみてはいかがでしょうか。

件名:試用期間中の業務に関するご相談

〇〇部長 お疲れ様です。

〇〇です。 現在、試用期間中ではございますが、日々の業務についてご相談させていただきたく、ご連絡いたしました。

雇用契約書では「〇〇」という業務内容となっておりますが、現状は「△△」という業務が中心となっております。今後の業務の進め方や、本採用に向けての評価基準について、一度お時間をいただき、認識をすり合わせさせていただけますと幸いです。

お忙しいところ恐縮ですが、ご検討のほど、よろしくお願いいたします。

ステップ3:外部機関への相談 – どうしても解決しない場合の「駆け込み寺」

社内で相談しても状況が改善されない、あるいは相談すること自体が難しい場合は、外部の専門機関を頼りましょう。

全国の労働局や労働基準監督署内に設置されている「総合労働相談コーナー」では、専門の相談員が無料で相談に応じてくれます。

予約不要で、電話でも相談可能です。法的な観点から、あなたの状況をどう解決していけばよいか、具体的なアドバイスをもらえます。

5.Q&A:試用期間のよくある質問

試用期間のよくある質問

試用期間中の給料が本採用後より低いのは問題ない?

問題ありません。ただし、その旨が雇用契約書に明記されており、かつ最低賃金を下回っていないことが条件です。

あまりにも低い金額(例:本採用時の8割未満など)の場合は、その合理性について確認する価値はあるでしょう。

試用期間中に「クビ」になることはある?

可能性はゼロではありませんが、簡単には解雇できません

試用期間中であっても、法的には雇用契約が成立しています。客観的に見て合理的な理由がなく、社会通念上相当であると認められなければ、不当解雇と判断される可能性があります。

どうしても合わない…試用期間中に辞めることはできる?

できます。法律上、労働者には退職の自由が認められています。原則として、退職の意思を伝えてから2週間が経過すれば、会社側の合意がなくても退職することができます。

ただし、円満退職を目指すのであれば、就業規則に従い、できるだけ早く直属の上司に相談するのが望ましいでしょう。

6.試用期間は「あなたが会社を見極める」ための大切な時間

「試用期間6ヶ月」という言葉に、最初は不安を感じたかもしれません。しかし、この記事を読んで、その不安の正体や、具体的な対処法が見えてきたのではないでしょうか。

最も大切な視点は、「試用期間」は、会社が労働者を一方的に評価する期間ではなく、労働者自身も会社を対等に評価し、見極めるための重要な期間であるということです。

この6ヶ月間、ただ受け身で評価を待つのではなく、「この会社は、自分が安心して長く働き続けられる場所だろうか?」「ここで自分は成長できるだろうか?」という主体的な視点を持って、日々の業務に取り組んでみてください。

そして、もし「何かおかしい」と感じたら、この記事で紹介したチェックリストや対処法を具体的な行動の指針としてください。

法的な知識は、不利益な状況を回避するための重要なツールとなります。この期間を有効に活用し、納得のいくキャリアを築くための最善の選択をしてください。

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