「『子どもが好き』だけでは弱い気がする…」
「未経験やブランクがある場合、何をアピールすればいいか分からない」
「採用担当者の心に響く、説得力のある志望動機を作りたい」
保育士の就職・転職活動において、多くの方が悩むのが「志望動機」の作成です。志望動機の欄で手が止まってしまう方も、多いのではないでしょうか。
保育士という職業は、専門的な知識や技術に加え、その人の「保育観」や人柄が問われる仕事です。そのため、履歴書や面接では「なぜ保育士なのか」「なぜこの園なのか」を明確に伝える必要があります。
この記事では、採用担当者に響く志望動機の書き方について、作成ステップや状況別の例文を交えて解説します。
- 保育士の志望動機で採用担当者が見ている3つのポイント
- 自己分析から書き上げまで、志望動機作成の3ステップ
- 【状況別】新卒・未経験・ブランクなど、参考にできる例文集
1.そもそも「保育士」とは?

志望動機を作成する前に、まず「保育士」という仕事の定義を確認しておくことが重要です。
保育士の仕事は、「専門的知識及び技術をもって、子どもの保育を行うとともに、保護者に対し子育てに関する支援や助言・指導を行う。」
このように、単に「子どもと遊ぶ」だけでなく、専門知識に基づき「発達を助け、生活習慣を身につけさせる」専門職であることがわかります。
この点を押さえることが、志望動機の第一歩となります。
2.保育士の志望動機で採用担当者は何を見ている?

採用担当者は、志望動機から「長く、意欲的に働いてくれる人材か」を見極めようとしています。そのために、以下の3つのポイントがチェックされています。
保育士の志望動機で
採用担当者は何を見ている?
POINT 1
「なぜ保育士なのか」という職業への理解
POINT 2
「なぜこの園なのか」という企業研究の深さ
POINT 3
「どう貢献できるか」という経験と人柄
ポイント1「なぜ保育士なのか」という職業への理解
「子どもが好き」という気持ちは大切ですが、それだけでは志望動機としては不十分です 。保育士は、子どもの命を預かり、健やかな発達を支える専門職です。

保育士という仕事の多面性(体力面、保護者対応など)を理解した上で、「それでも保育士として働きたい」という熱意や覚悟が伝わるかが重要です。
ポイント2「なぜこの園なのか」という企業研究の深さ
数ある保育園の中で、なぜその園を選んだのか。これは、採用担当者が最も知りたい点の一つです。
ただ「家から近いから」「給与が良いから」といった条件面だけでは不十分です。その園の「保育理念」や「保育方針」にどれだけ共感しているかを具体的に示す必要があります。

採用担当者は、理念を理解している人なら、入職後のミスマッチが少なく、長く貢献してくれる可能性が高いと考えます。
ポイント3「どう貢献できるか」という経験と人柄
新卒・経験・未経験者を問わず、応募者が持つスキル、人柄が、園の方針とマッチしているかが重視されます。


それぞれの状況に応じたアピールが必要になります。
3.採用担当者に響く!志望動機を作成する3つのステップ

説得力のある志望動機を書くためには、自己分析と企業研究という「土台」を作ります。そして、その上に論理的に「組み立てる」作業が必要です。
採用担当者に響く!
志望動機を作成する3つのステップ
自己分析で「自分の保育観(Will-Can)」を明確にする
企業研究で「応募先の保育理念(Must)」と結びつける
基本の「三部構成」で論理的に組み立てる
ステップ1:自己分析で「自分の保育観(Will-Can)」を明確にする
まずは、自分自身の棚卸しから始めます。キャリア理論の「Will-Can-Must」 を活用し、「保育観」を言語化しましょう。

「保育観」を言語化
Will(やりたいこと):自分が保育において何を大切にしたいか。
(例:「子どもの主体性を尊重したい」「保護者の不安に寄り添いたい」「食育に力を入れたい」)
Can(できること):これまでの経験から得た強みは何か。
(例:「ピアノの伴奏が得意」「実習で0歳児保育を経験した」「前職でクレーム対応を学んだ」)
この「Will(保育観)」と「Can(強み)」が、志望動機の核となります。
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ステップ2:企業研究で「応募先の保育理念(Must)」と結びつける
次に、応募先の園のホームページやパンフレットをしっかりと読み込みましょう。そこで「Must(求められること=保育理念)」を把握します。
「保育理念」を把握
Must(求められること):園が大切にしている保育方針、理念、求める人物像は何か。
そして、ステップ1で見つけた「自分の保育観(Will)」と「強み(Can)」が、応募先の「保育理念(Must)」とどのように一致しているか、貢献できるかを考えます。
ステップ3:基本の「三部構成」で論理的に組み立てる
土台ができたら、文章に組み立てます。志望動機は「PREP法」 を応用した、以下の三部構成 で書くと伝わりやすくなります。

論理的に組み立てる
- 結論(Point):なぜその園を志望したのか(保育理念への共感など)。
- 理由・具体例(Reason/Example):そう考えるようになった具体的な経験(自身の保育観)や、その園に惹かれた具体的な事実。
- 貢献・熱意(Point):自分の強み(Can)を活かしてその園でどう貢献し、将来どのように成長していきたいかという熱意。
この構成で書くことで、自身の思いと論理性の両方を兼ね備えた志望動機が完成します。
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4.【状況別】保育士の志望動機 例文集

ここでは、状況別の例文を紹介します。ステップ1・2で考えた「自分の言葉」に置き換えて活用してください。
例文1:新卒(実習経験をアピール)
結論:貴園の「一人ひとりの個性を認め、主体性を育む」という保育理念に深く共感し、志望いたしました。
理由・具体例:私は保育実習で、決められた活動を全員で行うことの難しさを感じていました。
その際、貴園のブログで、子どもたちが自ら遊びを選び、保育士がそれを見守り、発展させていく様子を拝見しました。まさに私が理想とする保育だと感じました。
貢献:実習では、子どもたちの小さな「できた」に気づき、言葉がけをすることを心がけてきました。貴園でも、子どもたちの主体性を第一に考え、その成長を丁寧に見守る保育士になりたいと考えております。
例文2:新卒(人柄や熱意をアピール)
結論:「地域に根差し、家庭的な温かさを大切にする」という貴園の方針に強く惹かれ、志望いたしました。
理由・具体例:私自身、幼少期に地域の方々に見守られて育った経験があります。
そのため、子どもたちにも温かい環境で安心して過ごしてほしいと願っています。貴園が実施されている地域交流イベントや、異年齢保育の取り組みに魅力を感じています。
貢献:学生時代はボランティア活動で、幅広い年代の方とコミュニケーションをとってきました。
明るさと傾聴力を活かし、子どもたちはもちろん、保護者の方々や地域の方々とも積極的に関わり、貴園の温かい雰囲気づくりに貢献したいです。
例文3:異業種からの転職(未経験)
結論:多様なカリキュラムを通じて子どもの可能性を広げる貴園の教育方針に共感し、志望いたしました。
理由・具体例:前職は事務職でしたが、子育て支援のNPOでボランティアをしたことをきっかけに、子どもの発達を直接支える仕事に強いやりがいを感じ、保育士資格を取得しました。
貢献:未経験ではありますが、前職で培ったPCスキルや、正確な事務処理能力は、保育現場での書類作成や行事運営において活かせると考えております。
一日も早く知識と技術を吸収し、貴園の教育プログラムのサポートに貢献したいです。
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例文4:ブランクからの復帰(育児経験を活かす)
結論:「保護者に寄り添い、共に育児を歩む」という貴園の姿勢に深く共感し、志望いたしました。
理由・具体例:私自身、5年間のブランク中に2人の子どもを育てる中で、仕事と育児の両立の大変さを痛感しました。
貴園が保護者向けの相談会やサポート体制に力を入れている点に、強く惹かれました。
貢献:保育士としての経験に加え、一人の親としての視点も活かしていきたいと考えています。
また、保護者の不安に寄り添った丁寧なコミュニケーションを心がけたいです。ブランクで得た経験を強みとし、貴園の「保護者支援」に貢献してまいります。
例文5:経験者(スキルアップのための転職)
結論:食育活動に先進的に取り組まれ、子どもたちの「生きる力」を育んでおられる点に魅力を感じ、志望いたしました。
理由・具体例:現職では3年間、3歳児クラスの担任として勤務しております。その中で、子どもたちの食への興味の差を実感し、より専門的に食育を学びたいと考えるようになりました。
貴園が実践されている菜園活動やクッキング保育は、まさに私の理想です。
貢献:現職で培ったクラス運営の経験に加え、個人的に取得した食育アドバイザーの知識も活かし、貴園の食育活動のさらなる発展に貢献したいと考えております。
例文6:パート・保育補助希望
結論:貴園の「子どもたちの安全と安心を第一に」という理念に共感し、保育補助として働きたいと考え志望いたしました。
理由・具体例:子育てが一段落し、以前から興味のあった保育の現場を支える仕事がしたいと考えておりました。
貴園の隅々まで清掃が行き届いた清潔な環境や、安全管理を徹底されている姿勢を拝見し、ぜひここで働きたいと思いました。
貢献:資格はありませんが、丁寧な作業と体力には自信があります。
清掃、おもちゃの消毒、給食の準備など、保育士の方々が保育に専念できるよう、サポート役として誠実に業務に取り組んでまいります。
5.志望動機の注意点と改善ポイント

熱意があっても、伝え方によってはマイナスの印象を与えてしまうことがあります。そうしたことを防ぐためにも、以下の点に注意しましょう。
NG例1:「子どもが好き」という抽象的な理由のみ
「子どもが好き」という理由は、保育士を目指す人なら誰もが持っている前提です。

「なぜ好きなのか」「好きだからどうしたいのか」という、具体的なエピソードや保育観まで掘り下げることが必要です。
NG例2:給与や待遇面など条件中心の理由
「家から近い」「給与が高い」「残業が少ない」といった条件面は、働く上で重要ですが、それを志望動機の中心に据えるのは避けましょう 。

あくまで「その園の保育に共感した」ことを軸にし、条件面は「長く働き続けたい」という意欲の裏付け程度に留めるのが好ましいです。
NG例3:前職への不満やネガティブな退職理由
「前の職場は残業が多くて…」「人間関係が合わなくて…」といったネガティブな理由は、「同じ理由で辞めてしまうのでは?」という不安を採用担当者に与えます。

転職理由は、「〇〇という保育を実現したいから」といった、前向きな言葉に変換して伝えましょう 。
6.どうしても書けない…志望動機にまつわる悩みと対処法

「書き方は分かったけれど、自分の言葉が出てこない」「アピールできる特別な強みが見当たらない」と、手が止まってしまうことは珍しくありません。 しかし、その悩みの中にこそ、あなたらしい志望動機のヒントが隠れています。
ここでは、多くの保育士さんが抱える代表的な2つの悩みと、その具体的な対処法について解説します。
悩み1:アピールできる強みやスキルがない
新卒や未経験の場合、「自分にはアピールできる強みがない」と悩む方も多いです 。しかし、強みは特別な経験である必要はありません。
- 学生時代のサークル活動で培った「継続力」や「協調性」
- アルバイトで学んだ「責任感」や「笑顔での対応」
- ブランク中の育児で培った「マルチタスク能力」や「忍耐力」

これらの経験を「保育の現場でどう活かせるか」という視点で捉え直すことが大切です 。
悩み2:応募先の園の「決め手」が見つからない
複数の園を見ていると、「どの園も同じに見えてしまう」ことがあるかもしれません。その際は、以下の点を比較してみましょう。
- 保育理念の言葉遣い:「主体性」「見守る保育」「元気な身体づくり」など、園によって強調する言葉が異なります。
- 園長先生の挨拶:園長の保育に対する考え方や人柄が表れています。
- ブログや写真の雰囲気:子どもたちの表情や、保育士の関わり方、行事の様子など。

小さな違いでも、自分が「いいな」と感じた部分が、志望動機につながる「決め手」となります。
7.志望動機は「自分の言葉」で「保育観」を伝えることが鍵
保育士の志望動機作成は、自分自身の「保育観」と向き合い、応募先の「保育理念」とすり合わせる大切な作業です。
例文は、あくまで自分の考えを整理するためのツールに過ぎません。
ステップ1の自己分析 とステップ2の企業研究 を丁寧に行い、「なぜ、ここで働きたいのか」を「自分の言葉」で伝えることで、採用担当者の心に響きやすくなります。