清掃業の仕事に応募するとき、「志望動機は『掃除が好き』だけではダメ?」と不安に感じる方は少なくありません。かといって、ほかに何を書いたらいいのか分からない、というのも正直なところです。
この記事では、自己分析の手法を使い、その「掃除が好き」という大切な気持ちを、採用担当者に伝わる「評価される強み」へと深掘りする方法を解説します。
- 「掃除が好き」という動機がなぜ不十分と言われるのか、その理由
- 「好き」を「プロの強み」に深掘りする自己分析の方法
- 未経験・経験者別の具体的な志望動機例文5選
1.「掃除が好き」という志望動機だけでは、なぜ不十分なのか?

結論から言えば、「掃除が好き」という理由「だけ」では、採用の決め手として弱い可能性があります。
なぜなら、採用担当者は「お掃除が好きな人」を探しているのではなく、「仕事として、責任を持って清掃業務を遂行してくれる人材」を探しているからです。
「掃除が好き」だけでは、「なぜ他社ではなく、うちの会社なのか」「どう活躍してくれるのか」という企業の疑問に答えることができません。
しかし、その「好き」という気持ちは、清掃の仕事を選ぶ上で重要な動機です。

次の章で、その動機を深堀する方法を見ていきましょう。
▼あわせて読みたい
実は「志望動機が見つからない」と悩んでいる方は、たくさんいます。清掃業務に関わらず、全般的な志望動機を見つける方法が知りたい方にはこちらの記事もおすすめです。
2.「掃除が好き」をスタート地点として深掘りする方法

「掃除が好き」という動機は素晴らしいきっかけですが、単に「好き」と伝えるだけでは、趣味の延長と受け取られかねません。
大切なのは、その感情の裏にある「なぜ?」を紐解き、仕事で活かせる具体的な「能力」へと変換することです。
ここでは、漠然とした「好き」という気持ちを深掘りし、採用担当者を納得させる「強み」として言語化するためのステップを解説します。
なぜ「掃除が好き」なのか? 3つの質問で深掘りする
まずは以下の質問を参考にしてみましょう。
「掃除が好き」を深堀する3つの質問
1. 「掃除の“どの部分”が好きか?」
例: 黙々と作業に集中すること、汚れた場所がピカピカになる達成感、使った人が喜んでくれること
2. 「どんな時に『掃除ができて良かった』と感じるか?」
例: 細かい汚れやホコリを見つけた時、効率的な手順を思いついた時、空間全体が整然とした時
3. 「掃除において、他人から褒められた経験は?」
例: 「いつも丁寧だね」「手際が良い」「細かいところまで気づくね」
これらの答えが、自身の「強み」を発見する手がかりとなります。
「好き」を「仕事上の強み(ポータブルスキル)」に言い換える
次に、深掘りした「好き」の理由を、仕事で活かせる「強み」(どこでも適応するスキル=ポータブルスキル)に変換します。
ポータブルスキルとは?
「ポータブルスキル」とは、職種の専門性以外に、業種や職種が変わっても持ち運びができる職務遂行上のスキルのことです。
ポータブルスキルがあることを上手にアピールできると、志望先の企業に「価値のある、有能な人材」だと評価されるチャンスが広がります。
| 好きの理由 | 仕事で活かせる強み |
|---|---|
| 黙々と作業に集中するのが好き | 「集中力」「継続力」「真面目さ」 |
| 汚れた場所がきれいになる達成感が好き | 「責任感」「完遂能力」「向上心」 |
| 細かい汚れやホコリを見つけるのが得意 | 「観察力」「注意力」「緻密性」「丁寧さ」 |
| 効率的な手順を考えるのが好き | 「計画性」「段取り力」「改善意識」 |
| 使った人が喜んでくれるのが嬉しい | 「ホスピタリティ」「気配り」「サービス精神」 |

このように言語化することで、「掃除が好き」という漠然とした動機が、「私にはこのような強みがあり、それは清掃の仕事で活かせます」という説得力のあるアピールに変わります。
ご自分のポータブルスキルをどう発掘していけば分からない場合は、厚生労働省の「ポータブルスキル見える化ツール」を使用するのもおすすめです。体系的に自分の持ち味を見つけることができます。
3.採用担当者に伝わる! 清掃業の志望動機に盛り込むべき必須3要素

強みの言語化ができたら、それを志望動機の「型」に当てはめて文章を組み立てます。
説得力のある志望動機は、主に以下の3つの要素で構成されています。
要素①:清掃業(その仕事)を選んだ理由(自身の強みや適性)
「なぜ、他の仕事ではなく清掃業なのか」を説明する部分です。ここで、前章で深掘りした「強み」を使います。
【例】

私は、細かい点に気づき、それをコツコツと改善していく作業にやりがいを感じます。
清掃の仕事は、その強みである「丁寧さ」や「観察力」を活かし、快適な環境づくりに貢献できると考え、志望いたしました。
要素②:他社ではなく「その企業」を選んだ理由(企業研究)
「なぜ、他の清掃会社ではなく、御社なのか」を説明する重要な部分です。
企業のホームページや求人票を読み込み、「その会社ならではの特徴」と「自分の価値観」を結びつけます。
【例】

数ある清掃会社のなかでも、特に貴社が病院やクリニックの清掃に特化し、「衛生環境の維持を通じて医療を支える」という理念を掲げている点に強く共感いたしました。
要素③:入社後にどう貢献したいか(将来性・キャリアプラン)
「入社したら、その強みを活かしてどう貢献できるか」を具体的に示します 。
【例】

未経験ではございますが、持ち前の「丁寧さ」と「責任感」で一日も早く業務を覚え、貴社の衛生基準を守る一員として貢献したいと考えております。
将来的には、ビルクリーニング技能士の資格取得も目指し、専門性を高めていきたいです。
4.【状況別】清掃業の志望動機例文5選

ここでは、そのまま履歴書や面接で活用できる具体的な志望動機例文をご紹介します。
「未経験からの挑戦」「経験者のキャリアアップ」「パート・アルバイト」など、状況別に5つのパターンを用意しました。
これらをテンプレートとして活用しつつ、自身のエピソードを少し加えることで、より採用担当者の心に響くオリジナルの志望動機が完成します。
例文①:未経験から挑戦する場合(「丁寧さ」や「体力」をアピール)

【要素①:強み】
私は、細部にまで気を配り、任された場所を丁寧に整える作業にやりがいを感じます。
前職は物流倉庫でのピッキング作業に従事しており、体力と集中力には自信があります。
【要素②:企業を選んだ理由】
貴社がオフィスビルの日常清掃において、「利用者が常に快適に過ごせる空間づくり」を徹底されている点に魅力を感じました。
【要素③:貢献】
未経験の分野ではありますが、前職で培った体力と「丁寧さ」という強みを活かし、貴社の快適な環境づくりに貢献したいと考えております。
例文②:未経験から挑戦する場合(「社会貢献性」や「安定性」に着目)

【要素①:動機】
私は、人々の生活を縁の下で支える仕事に就きたいと考えております。
清掃の仕事は、景気に関わらず常に社会から必要とされ 、衛生的な環境を守るという社会貢献性の高い点に魅力を感じています。
【要素②:企業を選んだ理由】
特に貴社は、大型商業施設の清掃を多く手がけており、地域の人々が安心して利用できる場を提供している実績に惹かれました。
【要素③:貢献】
利用者の目線に立った「気配り」を大切に、一日も早く業務を覚えて貴社の信頼の一端を担えるよう努めてまいります。
例文③:同業(清掃業)からの転職の場合(経験・スキルをアピール)

【要素①:経験】
私はこれまで3年間、小規模オフィスビルの日常清掃に従事してまいりました。
そこでは、ポリッシャーやカーペット洗浄機などの専門機材の操作も経験し、効率的な清掃手順の改善提案なども行ってまいりました。
【要素②:企業を選んだ理由】
現職では得られない、より高度な専門性が求められる環境でスキルアップしたいと考え、病院清掃という特殊な分野で高い実績を持つ貴社を志望いたしました。
【要素③:貢献】
前職で培った機材操作のスキルと衛生管理の知識を活かし、貴社の厳しい衛生基準にも即戦力として対応し、貢献できると自負しております。
例文④:パート・アルバイトに応募する場合

【要素①:動機】
私は、自宅でも定期的に掃除を行い、常に清潔な環境を保つことを心がけています。この「きれい好き」な性格を仕事に活かせると考え、清掃の仕事を志望いたしました。
【要素②:企業(条件)を選んだ理由】
こちらの勤務地は自宅から通いやすく、早朝の時間を有効活用して働ける点に魅力を感じております。
【要素③:貢献】
清掃の仕事は未経験ですが、家庭での経験を活かし、利用者の皆様が気持ちよく一日をスタートできるよう、丁寧な仕事を心がけてまいります。
NG例文:「当たり障りのない理由」や「ネガティブな表現」
【NG例①】

貴社の理念に共感しました。
→具体的にどの理念に、なぜ共感したのかがなければ、企業研究不足と見なされます。
【NG例②】

前職は人間関係が合わず辞めました。一人で黙々とできる清掃の仕事がしたいです。
→ネガティブな退職理由は、「同じ理由で辞めるのでは」と懸念されます。
▼あわせて読みたい
志望動機が採用担当者に響かない原因は、言葉選びよりも「論理の組み立て」にあることが多いです。こちらの記事ではNGと判定される回答例を論理的に修正し、評価される内容へと改善するテクニックを紹介します。
5.志望動機を補強する「清掃業」の業界知識と求められるスキル

志望動機を単なる「意欲の表明」で終わらせず、プロとしての信頼感を勝ち取るためには、業界への正しい理解が欠かせません。
ここでは、志望動機に説得力を持たせるための「業界の基礎知識」や「現場で評価される具体的なスキル」について解説します。
これらを押さえることで、ミスマッチを防ぎ、「長く活躍できる人材」であることをアピールしましょう。
清掃業の主な仕事内容と魅力
清掃業と一口に言っても、働く場所によって内容は様々です。
| ビルメンテナンス: オフィスビル、商業施設、ホテルなどの日常清掃や定期清掃 ハウスクリーニング: 個人宅を訪問し、エアコンや水回りなどを専門的に洗浄 特殊清掃:病院、クリーンルーム、事件・事故現場など、特別な知識や技術が必要な清掃 |
魅力としては、「社会の衛生環境を支えるやりがい」「景気に左右されにくい安定性」「スキルを身につければ長く働ける」ことなどが挙げられます。
清掃業で求められる能力・スキル

「好き」以外にアピールできる能力としては、以下のようなものが挙げられます。
| 体力・忍耐力:立ち仕事や機材の運搬など、体力が必要な場面も多いため 丁寧さ・観察力:小さな汚れも見逃さない、細部へのこだわり 責任感・継続力:決められた範囲を、毎日同じ品質でやり遂げる力 コミュニケーション能力:チーム内での連携や、利用者への挨拶など |
持っていると有利な資格
必須ではありませんが、専門性を示すために以下のような資格が役立ちます。
持っていると有利な資格
・ビルクリーニング技能士(国家資格)
・建築物環境衛生管理技術者(ビル管)
・ハウスクリーニングアドバイザー など
6.書類通過の次は「面接」。自信を持って伝えるための心の準備
志望動機が完成したら、次は面接です。書類選考を通過したということは、書かれた内容(強みや意欲)が企業に評価された証拠です。
面接は「評価される場」であると同時に、「企業と自分が合うかを見極める対話の場」でもあります。
面接で緊張してしまうのは、準備が不足している不安や、「うまく話さなければ」というプレッシャーが原因かもしれません。

面接直前に深くゆっくりとした「腹式呼吸」 を行うだけでも、リラックスを司る副交感神経が優位になり、不安を和らげる効果が期待できます。
作成した志望動機を丸暗記するのではなく、その「核となる要素」(なぜ清掃か、なぜこの会社か、どう貢献できるか)を自分の言葉で伝える練習をしておきましょう。
7.「好き」を「強み」に変えて自己分析しよう

清掃業の志望動機は、「掃除が好き」という気持ちをスタート地点に、「なぜ好きなのか」「どう活かせるのか」を深掘りすることで、説得力のあるアピールに変わります。
正しい自己分析のプロセス こそが、自分に合った職場を見つけ、長く活躍するための鍵となります。この記事で紹介した3つの必須要素と例文を参考に、経験と強みが伝わる志望動機を作成してください。