物流業界の志望動機の書き方で悩むことはありませんか?
「社会インフラを支えたい」という動機は多くの方が持つものです。そのため、差別化が難しいのも事実です。
この記事では、物流業界の現状や課題を踏まえた志望動機の書き方を紹介します。
採用担当者に響く「型」と、キャリア別・職種別の例文、やりがちなNG例についても解説します。
- 物流業界の主な仕事内容と現状(2024年問題やDX化)
- 採用担当者に響く志望動機の「3つの構成要素」
- キャリア別・職種別の具体的な志望動機例文8選とNG例
1.物流業界の志望動機で悩む理由とは?

物流業界の志望動機を作成する際、多くの求職者が同じような悩みに直面します。
「社会インフラ」以外のアピールが難しい
物流は、人々の生活や経済活動を根底から支える「社会インフラ」であり、その貢献度の高さは大きな魅力です。そのため、「社会の役に立ちたい」「当たり前の生活を守りたい」という動機は、多くの求職者が最初に思い浮かべる王道の理由となります。
しかし、裏を返せば、多くの応募者が同じ内容をアピールするため、単に「社会インフラだから」と伝えるだけでは、その他大勢の中に埋もれてしまいがちです。
採用担当者の印象に残るためには、そこから一歩踏み込み、「なぜ他のインフラ産業ではなく物流なのか」「自分ならではの強みをどう活かせるか」という差別化の視点が必要不可欠です。
「2024年問題」など将来性が不安
テレビやネットニュースで「物流の2024年問題」や「深刻なドライバー不足」といった話題を目にする機会が増えました。
「労働環境が過酷なのではないか」「配送サービスが維持できなくなるのではないか」といったネガティブな情報に触れ、業界の将来性に漠然とした不安を感じる方も少なくありません。
志望動機は、その業界や企業への「期待」や「熱意」を言葉にするものです。しかし、業界が直面している課題の深刻さや、裏側で進む変革(改善の動き)を正しく理解できていないと、どうしても不安が先行してしまいます。
その結果、自信を持って「この業界で働きたい」と言い切れず、説得力のある志望動機が作れなくなってしまうのです。
自分の強みをどう活かせるか分からない
「体力には自信がある」「地道な作業が得意」「コミュニケーション能力がある」といった汎用的な強みを持っている方は多いでしょう。
しかし、物流業界はトラックドライバーや倉庫作業員といった現場職から、物流企画や法人営業といったオフィスワークまで、職種によって求められる適性が大きく異なります。
業界未経験の場合、具体的な業務フローが見えにくいため、「自分のこのスキルが、物流の現場で具体的にどう役立つのか」をイメージしづらいのが現実です。
その結果、本来アピールすべき強みと応募職種のミスマッチが起きたり、単なる「頑張ります」という精神論になってしまったりと、効果的な自己PRができずに悩むケースが多く見られます。
2.志望動機作成の前に|物流業界の「今」を知る

志望動機を作成するには、まず物流業界がどのような仕事で成り立っており、今どのような状況にあるのかを知ることが近道です。
物流業界の主な仕事内容(職種一覧)
物流と一口に言っても、様々な仕事が連携して成り立っています。
輸送・配送(ドライバーなど)
トラック、船、飛行機などを使って、モノをある地点から別の地点へ運びます。私たちの生活に最も身近なトラックドライバーもこの仕事に含まれます。
保管・荷役(倉庫管理・軽作業など)
倉庫(物流センター)で商品を一時的に保管し、管理します。
- 荷物の積み下ろし(荷役)
- 注文に応じて商品を集めるピッキング作業
- 検品、梱包など
情報管理・事務(一般事務・物流事務など)
モノがいつ、どこに、どれだけあるかをデータで管理します。また、物流全体がスムーズに動くための事務作業を担当します。
- 伝票の作成や電話応対
- ドライバーのサポートなど
営業・企画(法人営業・物流企画など)
「こんな商品を運びたい」という企業(荷主)に対し、裏方で物流を設計する仕事です。
- 最適な輸送プランや保管方法を提案する営業職
- 物流システム全体の効率化を考える企画職など
物流業界の現状:課題(2024年問題)と将来性(DX)
物流業界は今、大きな変化の時期を迎えています。
課題としての「2024年問題」
2024年4月から働き方改革関連法が適用され、トラックドライバーの時間外労働に「年間960時間」の上限規制が設けられました。これは、長時間の拘束が常態化していたドライバーの労働環境を改善し、健康を守るための重要な措置です。
一方で、1人のドライバーが1日に運べる距離や荷物量が制限されるため、何も対策を講じなければ「モノが運べなくなる」という深刻な輸送能力不足が懸念されています。
これが「物流の2024年問題」です。 単なる人手不足の問題にとどまらず、従来の運び方を見直し、持続可能な物流構造へと転換することが、今まさに業界全体に求められています。
将来性としての「DX(デジタル化)」
「2024年問題」のような課題を解決するため、業界全体でデジタル技術の導入(DX)が急速に進んでいます。
- AIによる最適な配送ルートの計算
- 倉庫内作業の自動化ロボットの導入
- 在庫管理システムなど
このように、「体力勝負」のイメージから、効率的でスマートな産業へと変化しようとしています。
実際に、物流の仕組みを改善する「物流企画」や「デジタル化」に関わる求人は、この10年で10倍以上に増加しているという調査結果もあります。
参考|株式会社リクルート:物流業界が直面する「2024年問題」物流企画関連求人、2014年比で17.49倍に増加
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「現場仕事は体力的にきついのでは?」「将来まで長く働けるの?」といった不安はつきものです。現場仕事の実態やリスクを踏まえた上で、長く活躍するためのキャリア戦略について、こちらの記事で詳しく解説しています。
3.物流業界に響く志望動機の「3つの構成要素」

業界の「今」を理解したら、次は志望動機を組み立てます。志望動機は以下の3つの要素で構成すると伝わりやすくなります。
①結論:なぜ物流業界で、その企業なのか
「私が貴社を志望したのは、〇〇という理由からです」と、最初に結論を明確に伝えます。次の2点が簡潔に含まれていると理想的です。
- 「数ある業界の中でなぜ物流なのか」
- 「数ある物流会社の中でなぜその会社なのか」
②具体例:結論に至った原体験やエピソード
なぜ①の結論に至ったのか、その根拠となる具体的なエピソードを伝えます。下記のような、自分だけの体験を盛り込んでみましょう。
- 「過去のアルバイトで在庫管理の重要性を痛感した」
- 「前職で非効率な配送プロセスを改善した経験がある」など
③貢献意欲:入社後にどう活かせるか
最後に、自分の経験や強みを活かして、入社後にどう貢献したいかを述べます。企業の取り組みと自分の強みを結びつけアピールしましょう。
- 「前職で培ったPCスキルを活かし、貴社の進める在庫管理システムの導入に貢献したい」など
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「構成は理解できたけれど、自分の言葉にするのが難しい」と悩んでいませんか?最近ではAIを活用して、あなたの経験から魅力的な志望動機を作成できるツールも充実しています。効率的に作成したい方はこちらの記事が必見です。
4.【キャリア別】物流業界の志望動機 例文4選

ここからは、応募者のキャリア(新卒・中途)や経験の有無に合わせた4つの志望動機例文を紹介します。立場によって、アピールすべき強みや視点は異なります。
ご自身の状況に最も近い例文を参考に、具体的なエピソードを調整して、オリジナルの志望動機を作成してみてください。
例文①:新卒(社会貢献と成長意欲)
私が貴社を志望したのは、社会インフラとしての物流を支える使命感と、業界の変革期に挑戦できる環境に魅力を感じたからです。
大学時代、飲食店でのアルバイトで、食材が時間通りに届くことの「当たり前」が、多くの人の緻密な連携で成り立っていることを実感しました。
貴社は、業界に先駆けてAIを活用した配送管理システムを導入されるなど、喫緊の課題である「2024年問題」にも積極的に取り組まれています。
学生時代に学んだデータ分析の基礎知識を活かし、一日も早く貴社の効率的な物流ネットワーク構築に貢献できるよう努力いたします。
例文②:中途・未経験者(ポータブルスキルをアピール)
私が貴社を志望したのは、前職の営業事務で培った「調整力」を、物流業界という社会の基盤を支えるフィールドで活かせると考えたからです。
前職では、複数の部署間の板挟みになりながらも、納期遅延が発生しないよう粘り強くスケジュール調整を行ってまいりました。
物流の仕事は、荷主様、ドライバー、倉庫担当者など、多くの関係者との連携が不可欠だと認識しております。
未経験の分野ではありますが、持ち前の調整力を活かし、物流事務として円滑な業務遂行をサポートしてまいります。
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例文③:中途・経験者(ドライバー)
私はこれまで5年間、中距離ドライバーとして無事故・無違反を継続してまいりました。現職での経験を活かし、より地域社会に密着した配送に貢献したいと考え、貴社を志望いたしました。
現職では、決められたルート配送に加え、配送先のお客様から「次はこんな商品が欲しい」といったご要望を伺い、営業担当へフィードバックすることを心がけてきました。
地域密着型の配送サービスに強みを持つ貴社で、単に荷物を運ぶだけでなく、お客様との信頼関係を築けるドライバーとして貢献したいと考えております。
例文④:中途・経験者(倉庫管理)
私は倉庫管理スタッフとして3年間、入出庫管理および在庫管理を担当してまいりました。特に業務の「見える化」による効率改善の経験を、DX化を推進されている貴社で活かせると考え、志望いたしました。
前職では、アナログな在庫管理によるミスが多発していたため、Excelマクロを活用した簡易的な在庫管理ツールを自作し、ミスの8割削減に成功しました。
貴社が新たに導入されるWMS(倉庫管理システム)の安定稼働に向け、現場のリーダー候補として、これまでの経験を総動員して貢献する所存です。
5.【職種別】物流業界の志望動機 例文4選

物流業界は職種によってアピールすべきポイントが大きく異なります。ここでは「事務」「営業」「倉庫管理」「企画・DX」の4つの職種別に、業務特性を踏まえた例文を紹介します。
志望する職種で求められる能力と、自身のエピソードをどう結びつけるか、構成の参考にしてください。
例文⑤:事務職(PCスキル・正確性)
私が物流事務職を志望したのは、前職で培った正確なデータ入力スキルとPCスキルを活かし、物流という社会の血液を裏方から支えたいと考えたからです。
現職の経理事務では、1円のミスも許されない環境下で、VLOOKUP関数やピボットテーブルを用いたデータ集計・分析を担当し、月次報告の時間を半分に短縮しました。
物流事務においても、伝票処理や在庫データの管理にはスピードと正確性が求められると存じます。持ち前のスキルを活かし、ドライバーや倉庫スタッフが安心して本来の業務に集中できる環境づくりに貢献いたします。
例文⑥:営業職(課題解決力)
私が貴社の物流営業職を志望したのは、単にモノを運ぶサービスを売るのではなく、顧客の経営課題そのものを解決する物流ソリューションの提案に魅力を感じたからです。
前職のIT機器販売の営業では、顧客の潜在的なニーズをヒアリングし、単なる機器の入れ替えではなく、業務フロー全体の改善案をセットで提案することで、継続的な取引関係を築いてまいりました。
物流業界は今、2024年問題など大きな課題に直面しているからこそ、顧客に寄り添った課題解決型の提案が不可欠だと考えます。前職で培ったヒアリング力と提案力を活かし、貴社の「運送+α」の価値提供に貢献したいです。
例文⑦:倉庫管理・軽作業(体力・几帳面さ)
私は、学生時代から続けているスポーツで培った体力と、自身の「几帳面さ」という強みを活かせると考え、貴社の倉庫管理スタッフを志望いたしました。
前職のコンビニエンスストアでのアルバイトでは、商品の検品と陳列を担当し、バックヤードの在庫を常に整理整頓することで、欠品による販売機会の損失を防ぐよう努めてまいりました。
倉庫内でのピッキングや検品作業は、体力と同時に、商品の取り違えを防ぐ正確さが求められると認識しております。持ち前の体力と几帳面さを活かし、迅速かつ正確な入出庫作業に貢献いたします。
例文⑧:物流企画・DX(業界課題への着目)
私が貴社の物流企画職を志望したのは、物流の2024年問題という社会課題に対し、デジタル技術の力で真正面から向き合う貴社の姿勢に強く共感したためです。
私は現職の社内SEとして、営業部門の業務効率化プロジェクトに参加し、RPAツールの導入を担当しました。現場の抵抗もありましたが、丁寧にヒアリングを重ねることで、最終的に月間50時間の工数削減を実現しました。
物流業界のDX化は、ITと現場業務の「橋渡し」が成功の鍵だと考えます。SEとして培った技術的知見と、現場の業務を理解しようとする姿勢を活かし、貴社の物流改革に貢献したいです。
6.やりがちな志望動機のNG例と改善ポイント

最後に、物流業界の志望動機で避けるべき「NG例」を紹介します。
NG例①:漠然とした「社会貢献」
NG例:「人々の生活を支える物流業界で、社会貢献がしたいと思いました。」

なぜ他のインフラ(電気、ガス、通信など)ではなく物流なのか、なぜその会社なのかが十分伝わりません。
具体的なエピソード(例文①など)と結びつける必要があります。
NG例②:待遇面が主な理由になっている
NG例:「給与水準が高く、福利厚生も充実している点に魅力を感じました。」

待遇は大切な要素です。、それを志望動機の主軸に据えると「条件さえ良ければ他社でも良いのでは?」と思われてしまいます。
あくまで、仕事内容への意欲をメインに伝えましょう。
NG例③:どの企業にも当てはまる内容
NG例:「貴社の安定した経営基盤に魅力を感じました。」

その企業の「どこに」安定性を感じたのかが不明確です。その企業ならではの特徴と結びつけることが重要です。
- 「地域密着型の配送網に強みを持つ点」
- 「業界に先駆けてDX投資を行っている点」など
7.志望動機は物流業界の課題と自身の強みを結びつけて
物流業界は「2024年問題」という大きな課題に直面しています。だからこそ、それを乗り越えようと「DX化」や「業務改善」に本気で取り組んでいます。
志望動機を作成する際は、「社会インフラ」といった大きな言葉に目を向けがちです。しかし、業界が直面する「具体的な課題」にも注目してみましょう。
それに対して自分の経験や強み(体力、PCスキル、調整力など)がどう役立つかを結びつけることが重要です。
この記事で紹介した3つの構成要素と例文を参考に、志望動機を作成してみてください。
ご自身の言葉で伝えることで、採用担当者に意図が伝わりやすくなります。