履歴書の職歴欄が足りないことでお悩みではありませんか?
「転職回数が多くて行が足りない」
「派遣やアルバイトの経験が長くて書ききれない」
「無理に詰め込むと読みにくくなってしまう」
経験が豊富なことは本来素晴らしい強み(アセット)ですが、JIS規格などの一般的な履歴書フォーマットは枠が小さく、すべてを書き記すのは難しいものです。
しかし、焦って自己判断で職歴を省略してしまうと、場合によっては「経歴詐称」と誤解されるリスクもあります。
この記事では、法的に問題のない「省略OK」の境界線と、限られたスペースに情報を美しく収める「7つの解決テクニック」を解説します。
正しいルールを知れば、職歴の多さは「読みづらいノイズ」ではなく、「豊かな実績」として採用担当者に伝わります。ぜひ参考にしてください。
- 履歴書で「省略しても良い項目」と「書いてはいけない項目」の法的な境界線
- 学歴の調整や「1行化」など、物理的なスペースを確保する7つの具体的テクニック
- 派遣、アルバイト、フリーランスなど、雇用形態別のスマートな「まとめ書き」方法
1.まず確認!職歴が書ききれない主な原因と対策

職歴が書ききれない原因は人によって異なります。まずは自身の状況に当てはまる原因を確認し、最適な対策を選びましょう。
| 原因 | 状況 | 対策 |
| 原因A:転職回数が多い | 正社員としての回数が多く、行数が足りない。 | 「学歴の省略」や「入退社の1行化」でスペースを捻出。 それでも足りない場合は、「職歴欄が広いテンプレート」を使用。 |
| 原因B:派遣・バイト経験が多い | 契約期間が短い、勤務先が複数ある。 | すべてを羅列せず、「グルーピング(まとめ書き)」の技術を使う。 |
| 原因C:1社での異動・昇進が多い | 同じ会社での配属変更などの履歴が多い。 | 細かい履歴は省略し、「詳細は職務経歴書に記入」として別紙に誘導する。 |
| 原因D:テンプレートが不適切 | 新卒用やJIS規格を使っている。 | 転職者用の「職歴欄が広い履歴書」に変更するだけで解決。 |
次章から、これらの対策を具体的なテクニックとして解説します。
2.【基本編】職歴欄のスペースを賢く節約する5つのテクニック

ここでは、誰でもすぐに使える「行数節約の基本テクニック」を5つ紹介します。これらを組み合わせるだけで、数行分のスペースを確保できます。
テクニック1. 学歴は「高校卒業」から記載し、義務教育をカットする
一般的に、履歴書の学歴欄は「中学校卒業」から書くことが多いですが、職歴を優先したい場合は「高校卒業」から書き始めても問題ありません。
履歴書における義務教育の記載は必須ではないとされるため、ここをカットすることで1〜2行分のスペースが生まれます。
- 通常の書き方: 〇〇中学校卒業 → 〇〇高等学校入学 → 〇〇高等学校卒業
- 節約テクニック: 〇〇高等学校卒業(入学も省略可)
さらに、大学や専門学校などの「入学」も省略し、「卒業」のみを記載することで、さらに行数を節約可能です。ただし、最終学歴の「卒業」は必ず記載してください。
テクニック2. 「入社」と「退社」を1行にまとめる
通常は「入社」で1行、「退社(退職)」で1行を使いますが、これらを1行にまとめて記載することは、実務上広く行われている有効なテクニックです。
【通常の書き方】(2行使用)
平成〇年4月 株式会社〇〇 入社
平成〇年3月 一身上の都合により退職
↓
【節約テクニック】(1行に集約)
平成〇年4月 株式会社〇〇 入社(平成〇年3月 退職)
このようにカッコ書きで退社年月を同じ行に収めることで、職歴1社につき1行を節約できます。5社あれば5行も空くことになり、効果は大きいです。
テクニック3. 退職理由(一身上の都合等)は省略・同列記載する
「一身上の都合により退職」や「契約期間満了により退職」といった定型句は、必ずしも独立した行に書く必要はありません。
上記の「1行化テクニック」と同様に、会社名の横やカッコ内に簡潔に記載するか、スペースが厳しければ「退職」のみの記載でも許容されます。
ただし、「会社都合退職」の場合は、失業給付の受給開始時期や給付日数で優遇される可能性があるため、省略せずに「会社都合により退社」と明記することをおすすめします。
テクニック4. 異動・出向や昇進は、職務経歴書で補完する
一般的には、異動によって所属部署が変わった場合、あるいは出向で他社に勤務した期間がある場合、年月と部署名・社名を記載します。
しかし、学歴・職歴欄に書ききれない場合は、まとめて簡潔に記載しても良いでしょう。
異動・出向歴などは職務経歴書で補完できるため、履歴書のスペースに余裕がない場合は記載しなくても問題ありません。
テクニック5. 資格・免許欄は「業務に関連するもの」に絞る

職歴欄の下にある「免許・資格欄」が書ききれない場合も同様です。保有している資格をすべて書く必要はありません。
応募職種の業務に直接関連する資格や、語学力やPCスキルなど汎用性の高い資格を優先して記載します。
趣味の検定や、業務と無関係な資格は省略することで、採用担当者が注目すべきスキルが際立ちます。
3.【応用編】派遣・フリーランス・アルバイトの「まとめ書き」術

派遣社員やアルバイト、フリーランスとして働いた期間は、書き方次第で見栄えが大きく変わります。ここでは「グルーピング(まとめ書き)」のテクニックを紹介します。
派遣社員の場合:派遣元を軸にまとめる
登録型の派遣社員として働いていた場合、派遣先が変わるたびに行を使っていると、あっという間に職歴欄が埋まってしまいます。
この場合、「派遣元(登録している派遣会社)」を軸にまとめて書く方法がハローワークの記入例などでも示されています。
【書き方の例】
平成〇年4月 〇〇スタッフ株式会社(派遣元)に登録
(派遣先:A社、B社など計3社にて事務業務に従事)
平成〇年3月 派遣期間満了につき退職
このように記載することで、派遣先が複数あってもすっきりとまとめることができます。
アルバイト・パートの場合:同職種をグルーピングする
学生時代のアルバイトや、フリーター期間のアルバイト歴が多い場合も、一つひとつ書くのではなく、職種でまとめると分かりやすくなります。
【書き方の例】
平成〇年4月 飲食店3店舗、小売店2店舗にて接客・販売業務に従事(~平成〇年3月まで)
このように「どのような業務経験があるか」が伝わるようにまとめるのがポイントです。
フリーランス・副業の場合:活動期間でまとめる
フリーランス(個人事業主)として活動していた場合は、「開業」と「廃業(または現在に至る)」で期間を示し、主な業務内容を簡潔に添えます。
【書き方の例】
平成〇年4月 個人事業主として開業(Webデザイン、ライティング業務を受託)
クライアントごとに書き分ける必要はありません。詳細な実績はポートフォリオや職務経歴書で示しましょう。
▼あわせて読みたい
アルバイト経験を履歴書でどう書くべきか、より詳しい書き方のコツと例文を知りたい方はこちらをご覧ください。
4.どうしても書ききれない時の最終手段【テクニック6・7】

これまでのテクニックを使ってもまだ書ききれない場合は、履歴書のフォーマット自体を見直すか、役割分担を変える「残り2つのテクニック」をとります。
テクニック6.「職歴欄が広い」履歴書テンプレートを使う
市販されている履歴書には、主に「JIS規格(新卒・一般用)」と「転職者用」の2種類があります。
- JIS規格: 学歴・職歴欄と自己PR欄のバランスが均等。職歴が少ない人向け。
- 転職者用: 自己PR欄などが小さく、その分職歴欄が広く(行数が多く)作られている。
職歴が多い方は、迷わず「転職者用」や「職務経歴書重視型」のテンプレートを選んでください。Web上でも無料でダウンロードできるフォーマットが多数あります。
テクニック7.「別紙参照」と記載して職務経歴書に全振りする
エグゼクティブ層や、専門職で非常に多くのプロジェクトに関わってきた方の場合、履歴書には最低限の学歴と、直近の職歴のみを書き、残りは「詳細は職務経歴書に記入」として省略する方法もあります。
【書き方の例】
平成〇年4月 株式会社A 入社
(以降の職歴については、別紙職務経歴書に記載いたします)
ただし、これはあくまで最終手段です。
採用担当者はまず履歴書で全体像を把握したいと考えるため、可能な限り履歴書上でキャリアの流れがわかるように努力し、どうしても入りきらない細かい部分を職務経歴書に譲るというスタンスが好ましいでしょう。
参考:厚生労働省|職務経歴書の作り方 – ハローワークインターネットサービス
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職務経歴書の具体的な書き方やフォーマット選びについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
5.これはNG!やってはいけない「職歴省略」のルール
- 株式会社A社 入社
- 株式会社A社 退社
- 株式会社C社 入社
- 株式会社A社
- (資格喪失)
- ⚠️ 株式会社B社(短期)
- 株式会社C社
※短期間でも社会保険に加入していた事実は、入社後の手続きで必ず会社に知られます。
スペースを空けるためとはいえ、「やってはいけない省略」があります。
これをしてしまうと、最悪の場合「経歴詐称」とみなされ、内定取り消しや解雇のリスクにつながる可能性があります。法的な視点から解説します。
企業名ごとの省略は「職歴詐称」のリスクあり
社会保険(雇用保険や厚生年金)の加入履歴や雇用保険被保険者証には、過去の勤務先が記録されています。
入社後の手続きで提出する「雇用保険被保険者証」などの書類から、履歴書に書かれていない職歴が会社に発覚することは珍しくありません。
「意図的に隠した」と判断されれば、信頼を大きく損ないます。短期間であっても、入社し社会保険に加入した事実は必ず記載しましょう。
「株式会社」を「(株)」と略すのはマナー違反
行を詰めるために「株式会社」を「(株)」、「有限会社」を「(有)」と略したくなるかもしれませんが、履歴書などの公的な応募書類においては正式名称で書くのがマナーです。
略称を使用すると、「ビジネスマナーが身についていない」「雑な仕事をする人」という印象を与えかねません。
どうしても1行に入りきらない場合は、文字サイズを少し小さく調整するか、2行に分けて記載する方が誠実です。
▼あわせて読みたい
履歴書全体の正しい書き方や、各項目の記入ルールについて、例文付きで詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。
6.よくある質問(FAQ)

履歴書を作成していると、行間や文字サイズなど細かい部分で迷ってしまうことがあります。ここでは、職歴を書ききれないときによくある疑問にお答えします。
-
職歴と学歴の間は1行空けるべきですか?
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基本的には1行空けるのがマナーとされていますが、行数が足りない場合は詰めて書いても問題ありません。空白を作って書ききれなくなるより、情報をすべて記載することの方が優先順位は高いです。
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「現在に至る」と「以上」は同じ行に書いてもいいですか?
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はい、大丈夫です。通常は「現在に至る」の次の行に、右寄せで「以上」と書きますが、スペースがない場合は「現在に至る 以上」のように、同じ行の右端に「以上」を配置することで1行節約できます。
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パソコン作成でフォントを小さくしていいですか?
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視認性を損なわない範囲であれば可能です。一般的な履歴書のフォントサイズは10.5pt〜11ptですが、9pt程度までであれば縮小しても許容範囲とされます。それ以上小さくすると採用担当者が読みづらくなり、逆効果となるため注意してください。
7.履歴書は見やすさが鍵。不安なら専門家の視点を借りよう
職歴が書ききれないことは、決してネガティブなことではありません。それは積み重ねてきた経験の証です。
大切なのは、その経験を「相手が読みやすい形」に整理して届けることです。
- 学歴の省略や1行化テクニックで行数を確保する
- 細かい実績は「職務経歴書」に任せる
- 企業名の隠蔽など、信頼を損なう省略はしない
これらのポイントを押さえれば、職歴の多さを強みとしてアピールできる履歴書が完成します。
もし「自分の場合はどこまで省略していいのか判断できない」「作成した履歴書が採用担当者の目から見てどう映るか心配」と感じる場合は、転職エージェントなどの専門家に添削を依頼するのも一つの賢い方法です。
客観的なアドバイスを受けることで、自信を持って選考に臨めるようになります。豊富な経験が、正当に評価される一助となれば幸いです。
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履歴書と職務経歴書の役割の違いや、それぞれの効果的な書き分け方について理解を深めたい方は、こちらをご覧ください。