経歴詐称はなぜバレる?発覚する仕組みと法的リスクを徹底解説の画像

経歴詐称はなぜバレる?発覚する仕組みと法的リスクを徹底解説

「空白期間を埋めたい」

「短期離職を隠したい」

転職活動中、少しでも自分を良く見せようとして、履歴書に事実と異なることを書きたくなる時があるかもしれません。

しかし、現代の日本において経歴詐称を隠し通すことは、構造的にほぼ不可能です。それは、応募者を探偵のように調査するからではありません。

入社後の社会保険や税金の手続きといった事務処理の中で、数字の矛盾として機械的に浮かび上がってしまうからです。

この記事では、なぜ行政手続きで嘘がバレてしまうのか、そのメカニズムと法的リスクについて、専門用語を使わずに分かりやすく解説します。

この記事を読んでわかること
  • 年金手帳や源泉徴収票などの「入社書類」から、過去の職歴や退職日がバレる仕組み
  • 近年急増している「リファレンスチェック(身元照会)」の実態とリスク
  • 法的観点から見た「解雇される嘘」と、正直に伝えて採用されるための対処法

1.経歴詐称がバレる最大の理由は「入社後の事務手続き」

経歴詐称がバレる最大の理由は「入社後の事務手続き」

経歴詐称について「採用調査でバレるのではないか」と心配する人がいます。しかし、実際には入社が決まった後、総務や経理の担当者が行う「当たり前の手続き」の中で発覚するケースが大半です。

会社は法律上、従業員を社会保険や雇用保険に加入させたり、税金を納めたりする義務があります。

この手続きには、国が管理する正確なデータが必要になります。そのため、履歴書の記述と公的な記録との間に矛盾があると、必ず違和感が生じます。

ここでは、具体的な書類ごとに、どのように発覚するのかを見ていきましょう。

経歴詐称がバレる事務手続き
年金手帳・
基礎年金番号通知書
雇用保険被保険者証
源泉徴収票と
年末調整
住民税の手続き

年金手帳・基礎年金番号通知書

会社に入ると、厚生年金に加入する手続きを行います。この時、基礎年金番号が必要になります。

旧形式の年金手帳(オレンジ色や青色)には、過去の加入記録欄が存在し、そこに事業所名称と資格取得・喪失年月日が物理的に残っているケースがあります 。

履歴書との矛盾が一目でバレるポイント

  • 履歴書に書いていない会社が手帳に載っている
  • 履歴書に「〇年働いた」と書いた会社の記録がない

現在は基礎年金番号通知書に切り替わりつつあり、手帳への直接記載はなくなっています。

しかし、会社が厚生年金の資格取得手続きを行う際、前職の喪失履歴と新しい会社の取得日が重複している場合などに、年金事務所から確認が入ることで不整合が判明するケースがあります。

年金記録は、まさに履歴書の答え合わせのような役割を果たすことがあるのです。

参考|日本年金機構:基礎年金番号・基礎年金番号通知書・年金手帳について

雇用保険被保険者証

失業保険などに関わる雇用保険の手続きには、雇用保険被保険者証が必要です。これは通常、前の会社を退職する際にもらえる小さな紙です。

この書類には、前の会社の事業所名や資格喪失日(=退職日)が記されていることがあります。また、新しい会社がハローワークで加入手続きをする際、雇用保険番号を使ってデータを照合します。

履歴書でのごまかしがバレる例

履歴書では「3月まで働いていた」としているのに、データ上の退職日が「1月」だった場合。その2ヶ月間の空白をごまかしていたことが、事務的に判明します。

参考|厚生労働省 愛知労働局:雇用保険被保険者証について

源泉徴収票と年末調整

1年の間に転職をした場合、前の会社が発行した源泉徴収票を提出する必要があります。それは、新しい会社で年末調整を行うためです。

その源泉徴収票には、以下の情報が正確に記載されています。

源泉徴収票に記載されている内容

  • 支払い金額:その年に前の会社でいくら給料をもらったか
  • 退職年月日:いつ退職したか
  • 支払者:どこの会社か

前職の虚偽申告がバレる例

  • 前の職場の年収を高く偽って伝えていた場合、この書類を出した瞬間にバレてしまいます。
  • 短期で辞めた会社を履歴書から消していても、その会社で給料をもらっていれば源泉徴収票が存在するため、提出しないと年末調整ができないという状況に追い込まれます。

経理担当者から「源泉徴収票を出してください」と言われ、出せばバレる、出さなければ「なぜ出せないのか」と怪しまれる、というジレンマに陥ることになります。

参考|国税庁:年末調整がよくわかるページ(令和7年分)

住民税の手続き(副業・アルバイトバレ)

「副業やアルバイトを隠していた」というケースでバレる原因になりやすいのが住民税です。

住民税は、前年の所得に基づいて計算され、会社が給料から天引きして役所に納めます(特別徴収)

会社に隠していた副業・アルバイトがバレるケース

会社が計算した住民税額よりも、役所から通知される税額が高くなることがあります。

経理担当者が「給料に対して住民税が高すぎる、他に収入があるのでは?」と気づきます。こうして、隠していた職歴が露見するのです。

2.近年増加する「リファレンスチェック」と人的ネットワーク

近年増加する「リファレンスチェック」と人的ネットワーク

採用活動において、履歴書や職務経歴書といった本人の自己申告のみを信じて合否を決める時代は終わりつつあります。

近年では、企業側がより能動的かつ多角的に候補者の実像を確認する動きが加速しています。これは、採用ミスマッチや経歴詐称のリスクを最小限に抑えるためです。

これにより、以下の項目が採用決定の重要な鍵を握るようになってきました。

  • 面接でのパフォーマンスだけでなく、第三者からの客観的な評価
  • 過去の振る舞いまでを含めた真の信頼性など

リファレンスチェックの実施率と実態

リファレンスチェックとは?

応募者の実績や勤務態度について、以前の職場の上司や同僚に問い合わせて確認することです。

かつては外資系企業を中心に行われていました。しかし、最近では日系企業でも導入が進んでいます。

ある調査によると、外資系企業では約58%、日系企業でも約23%が実施しており、特に日系企業では実施した場合の合否判定への影響度が81%と極めて高い傾向にあります 。さらに、その数は年々増加しています。

最近では、オンラインで完結する第三者調査サービスも普及しています。これは、候補者同意のもと、前職の上司などへのアンケート調査が一般的です。

ここでは在籍期間や職務内容が正確に確認されます。そのため、口頭でのごまかしは通用しにくくなっています

参考|エンワールド・ジャパン株式会社:中途採用における、リファレンスチェック実施状況調査

SNSや業界内の噂話

IT業界や広告業界などは、横のつながりが強い業界です。このような業界では、採用担当者同士で「〇〇さん、そちらの会社にいた?」といった非公式な確認が行われることも珍しくありません。

また、採用担当者は履歴書だけでなく、FacebookやX(旧Twitter)、LinkedInなどのSNSもチェックしています。

SNSから矛盾がバレるケース

履歴書では「激務でプロジェクトを率いていた」はずの時期に、SNSで長期旅行を楽しんでいる投稿がある。

これをデジタルタトゥーによる発覚と呼びます。

3.経歴詐称が発覚した場合の「法的リスク」と「解雇」

経歴詐称が発覚した場合の「法的リスク」と「解雇」

では、もし経歴詐称がバレてしまった場合、法的にはどのような処分を受ける可能性があるのでしょうか。

企業と労働者の関係は「信頼」という土台の上に成り立っています。その前提を揺るがす嘘は、厳しい法的処分の対象となり得ます。

では、具体的にどのような場合に懲戒解雇という最も重い処分が有効となるのでしょうか。

ここでは、詐称が発覚した際の法的なリスクと、その境界線について解説します。また、日本の労働法に照らし合わせながら、過去の裁判例についても紹介していきます。

懲戒解雇が有効になる「重要な経歴」とは

日本の労働法では、一度雇い入れた従業員を解雇するには、客観的で合理的な理由が必要です。そのため、ほんの些細な間違いですぐに懲戒解雇が認められるわけではありません。

しかし、裁判例において解雇が有効とされる基準があります。それは、詐称した内容が重要な経歴であるかどうかです。

重要な経歴とは

もしその真実を知っていれば、会社は採用しなかったと言えるほど重大な事項を指します。

厚生労働省の「モデル就業規則」第68条2項においても、重要な経歴を詐称して雇用されたときは懲戒解雇事由となることが明記されています。

Danger

厚生労働省「モデル就業規則」第68条2

労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。

ただし、平素の服務態度その他情状によっては、第53条に定める普通解雇、前条に定める減給又は出勤停止とすることがある。

① 重要な経歴を詐称して雇用されたとき。

…以下省略

就業規則は各社それぞれ異なりますが、厚生労働省のモデル就業規則を参考に作成している企業も多いため、「重要な経歴の詐称は、懲戒解雇の対象となることがある」という規定が一般的です 。

参考|厚生労働省:労働契約の終了に関するルール

参考|厚生労働省:モデル就業規則

具体的な判例ケース(学歴・犯罪歴・スキル)

炭研工業事件(最高裁 昭和61年)では、大学中退の学歴および刑事裁判の公判係属中であることを秘匿していたことが、企業における秩序維持や適正な配置を困難にするとして、懲戒解雇を有効と判断されました。

メッセ事件(東京地裁 平22年)では、採用時の経歴と職歴に虚偽申告があったことが労使間の信頼関係を破壊するもので、周知されていた就業規則の懲戒規定に該当するとして解雇が有効と認められました 。

解雇が有効になる経歴詐称の例

  • 学歴の詐称:「高卒」を「大卒」と偽るなど。企業の給与体系や人事制度の根幹に関わるため、重大な背信行為とみなされます。
  • 犯罪歴の隠蔽:過去の服役期間を「海外留学していた」と偽るなど。信頼関係を破壊する嘘をついたケース。
  • スキルの詐称:「即戦力」や「専門職」として採用されたのに、実際にはその能力がなかったケース。

学歴詐称、犯罪歴の隠ぺい、スキルの詐称の3つは、会社との信頼関係を根底から破壊します。

解雇されても文句が言えないリスクの高い行為です。

ただし、職務遂行能力に直接関係しない軽微な事項については、解雇が無効とされるケースもあります。

私文書偽造や詐欺罪になる可能性

履歴書の内容自体は虚偽記載であっても直ちに犯罪とはなりにくいです。しかし、学位や官公職を詐称することは軽犯罪法違反に問われる可能性があります 。

有印私文書偽造・同行使罪に問われる可能性がある例

以下の書類を偽造・変造して会社に提出した場合

  • 大学の卒業証明書
  • TOEICのスコア表
  • 免許証など

詐欺罪に問われる可能性がある例

持っていない資格を持っていると偽って、資格手当などを不正に受け取っていた場合

参考|e-GOV 法令検索:第百五十九条(私文書偽造等)

▼あわせて読みたい

経歴についてどう伝えるか?という準備は、なにも書面だけではありません。転職の際の面接でよく聞かれる質問の意図と、適切な回答方法を知りたい方は、こちらの記事で50の質問例と回答例文を確認できます。

【2025年最新】転職面接で聞かれること50選|質問の意図と回答例文をデータで徹底解説
転職面接で聞かれること50選|質問の意図と回答例文も紹介
この記事では、企業の採用担当者の「本音」をもとに、よく聞かれる質問や、その回答方法を、分かりやすく解説していきます。
https://riretsuku.jp/media/contents/questions-for-job-interview/

4.【悩み別】よくある詐称リスクと正しい対処法

【悩み別】よくある詐称リスクと正しい対処法

「少しでも自分を良く見せたい」

「不利な情報を隠したい」

転職活動では、これらのような焦りから、つい経歴に手を加えたくなる誘惑に駆られることがあります。

しかし、軽い気持ちで行った書き換えが、後に入社手続きや公的書類によって露見し、内定取り消しなどを招くケースは後を絶ちません。

ここでは、多くの求職者に当てはまる、以下の内容について解説します。

  • 多くの求職者が陥りやすい「ごまかし」のパターン
  • なぜバレるのか
  • 嘘をつかずにネガティブ要素をカバーする「正しい伝え方」

学歴のごまかし(中退を卒業とする等)

大学中退だと印象が悪いから、卒業したことにしよう。

このように考えるのは非常に危険です。入社手続きの際に卒業証明書の提出を求められた時点で、100%発覚します。

正しい対処法

履歴書には正直に「〇〇大学 中途退学」と記載しましょう。

その上で、面接では「なぜ中退したか」の言い訳をするのではなく、「その後、どのように挽回したか」「その経験から何を学んだか」を前向きに伝えることが大切です。

▼あわせて読みたい

大学中退後の最終学歴や、履歴書での正しい書き方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。

大学中退の就職は厳しい?現実の就職率33.9%から逆転する全戦略
大学中退の最終学歴は「高卒」?就職を成功させるコツ徹底解説
https://riretsuku.jp/media/contents/what-is-the-highest-level-of-education-for-someone-who-drops-out-of-a-university/

空白期間・在籍期間の操作

3ヶ月の無職期間(ブランク)を隠すために、退職日を後ろにずらそう。

こういった操作も、前述した雇用保険や年金記録の日付ですぐにバレてしまいます

正しい対処法

期間は正確に書きましょう。

空白期間については「資格の勉強をしていた」「キャリアを見つめ直していた」など、その時間をどう有効に使っていたかを説明できれば問題ありません。

嘘をついて不安なまま働くより、堂々と説明する方が信頼を得られます。

雇用形態の偽装(派遣を正社員とする等)

派遣社員や契約社員だった期間を「正社員」として記載しよう。

偽りの記載するのもリスクが高い行為です。雇用保険の加入履歴や、リファレンスチェックで発覚する可能性があります。

正しい対処法

雇用形態をごまかすのではなく、「業務内容」や「実績」でアピールしましょう。

「契約社員でしたが、正社員と同等の責任ある仕事を任されていました」と、STARメソッド(状況・課題・行動・結果)などのフレームワークを用いて、具体的な成果を論理的に伝えることが有効です 。

5.詐称リスクを負わずに選考を通過するための戦略

詐称リスクを負わずに選考を通過するための戦略

ここまで解説してきた通り、行政手続きのデジタル化やリファレンスチェックの普及により、経歴の透明性はかつてないほど高まっています

「これくらいならバレないだろう」という安易な期待は、現代の採用システムにおいて有効ではありません。

一時の内定を得るために、懲戒解雇や業界内での信用喪失といった人生を左右するリスクを負うのは、あまりに代償が大きすぎます。

では、経歴に自信がない場合はどうすればよいのでしょうか。

これからのキャリア戦略において賢明なのは、事実を偽ることではなく、事実をどう武器に変えるかという視点の転換です。

ネガティブな経歴を「強み」にリフレーミングする

事実は変えられなくても、その解釈は変えられると考えます。これをリフレーミングと呼びます。

リフレーミングの例

  • 短期離職は、決断力のなさと捉えることもできます。しかし、ミスマッチを早期に見極め、キャリア修正を行う行動力があると言い換えることもできます。
  • 失敗体験は、学習能力や課題解決能力をアピールする材料になります。

隠すのではなく、どう伝えるかを工夫することにエネルギーを使いましょう。

面接での誠実な説明が信頼を生む

採用担当者が最も恐れるのは、「能力不足」よりも「信頼できない」人物を採用してしまうことです。

経歴の傷そのものよりも、それを隠そうとする不誠実な態度の方が、評価を大きく下げます。

自分の弱みや失敗を率直に認め、それを克服しようとする姿勢を見せることは、誠実さの証明になります。

正直に話してくれる応募者に対して、企業は「この人なら信用して仕事を任せられる」と感じるものです。

▼あわせて読みたい

大学中退後の最終学歴や、履歴書での正しい書き方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。

大学中退の就職は厳しい?現実の就職率33.9%から逆転する全戦略
大学中退の最終学歴は「高卒」?就職を成功させるコツ徹底解説
https://riretsuku.jp/media/contents/what-is-the-highest-level-of-education-for-someone-who-drops-out-of-a-university/

6.経歴は詐称するのではなく、ネガティブな要素を「学び」や「強み」に変換して伝える

経歴は詐称するのではなく、ネガティブな要素を「学び」や「強み」に変換して伝える

本記事では、経歴詐称が「なぜバレるのか」という仕組みと、それに伴う重大なリスクについて解説しました。

社会保険や税務などの行政システムが連携した現代において、経歴の嘘を隠し通すことは不可能です。

万が一発覚すれば、懲戒解雇や法的責任を問われる恐れがあります。その代償は採用のメリットを遥かに上回ります。

大切なのは、事実を隠蔽することではなく、ネガティブな要素を学びや強みに変換して伝えることです。

誠実な説明は信頼の証明となり、長期的なキャリア形成において確かな土台となります。

▼あわせて読みたい

履歴書全体の書き方を確認したい方は、こちらの記事で基本ルールから採用担当者に響くアピール術まで網羅的に解説しています。

【例文・テンプレ付き】「選ばれる1枚」になる履歴書の作成方法
【例文・テンプレ付き】「選ばれる1枚」になる履歴書の作成方法
この記事では、履歴書作成の基本的なルールから、採用担当者に響く戦略的なアピール術、そして作成中に感じるであろう疑問や不安との向き合い方まで、網羅的に解説します。
https://riretsuku.jp/media/contents/how_to_write_a_resume/

履歴書・職務経歴書の作成なら
『リレツク』

リレツクはスマホでかんたんに履歴書・職務経歴書が作成できるサービスです!会員登録不要で気軽に作成することが可能なので、ぜひご活用ください。