履歴書の「学歴」欄を記入する際、多くの大学生の手を止めてしまうのが「最終学歴」の定義です。
「現在大学に通っているのだから、最終学歴は大学ではないのか?」
「まだ卒業していない場合は高卒になるのか?」
このような疑問は、就職活動やアルバイト応募の現場で頻繁に見受けられます。
結論、履歴書における最終学歴の書き方は、その履歴書を提出する「目的(就職活動か、アルバイトか)」によって、法的な解釈と実務上の正解が異なります。
本記事では、「教育水準」という定義の原則と、状況別の正しい書き分けルールを完全解説します。
- 「最終学歴」の本当の意味(時間的な最後ではなく、教育水準の高さ)
- 【新卒・就活】と【アルバイト】での書き方の決定的な違い
- 大学中退、大学院、留学など、判断に迷うケースの正しい記載ルール
1.そもそも「最終学歴」とは?意外と知らない定義の落とし穴

就職や転職活動の第一歩となる履歴書作成。その中で、意外と多くの人が勘違いしているのが「最終学歴」の定義です。
多くの人は「最終」という言葉から「一番最後に在籍していた学校」と解釈しがちですが、実は公的な定義においては、必ずしも時系列の最後を指すわけではありません。
ここを誤解していると、自身の正当な評価が損なわれたり、面接で無用な混乱を招いたりするリスクがあります。
言葉のイメージに惑わされない、正しい定義をしっかり押さえておきましょう。
「最後に通った学校」ではない!「教育水準」の原則
「最終学歴」とは、文字通りの最後の時系列ではなく、最も教育水準が高い教育機関の卒業歴を指します。
総務省統計局の国勢調査等における定義においても、学歴は学校の種類によって区分されています。

より上位の教育課程を修了(卒業)したものが最終学歴となります。
一般的な教育水準の序列は以下の通りです。
| 順位 | 教育機関 | 備考 |
|---|---|---|
| 1 (最高) | 大学院(博士・修士) | 修了が必要 |
| 2 | 大学 | 卒業が必要 |
| 3 | 短大・専門学校(認可校)・高専 | 専門士等の称号、または卒業※専修学校のうち、都道府県知事の認可を受けた『認可校』のみが学歴として認められます。 |
| 4 | 高等学校 | 卒業が必要 |
この原則に基づいた例を紹介します。
- 大学院 卒 最高
- 大学 卒
- 短大・高専・専門 卒
- 高等学校 卒
(教育水準:高い)
(時系列:こちらが最後)
大学在学中の人の法的な最終学歴は「高卒」
上記の原則に照らすと、現在大学に在学中の方は、まだ大学卒業という教育課程を修了していません。
したがって、現時点での確定した最終学歴は、一つ前の段階である高等学校卒業(またはこれに準ずるもの)となります。
しかし、履歴書の学歴欄に単に「高校卒業」とだけ書くと、現在大学で学んでいるという重要な事実や、今後の卒業見込みが伝わりません。

そこで実務上は、履歴書の提出目的に応じて在学中や卒業見込みといった表現を使い分けるルールが存在します。
2.【ケース別】履歴書への正しい書き方・見本

前述の通り、在学中の学生の法的な最終学歴は「高卒」となりますが、実務上の履歴書では現在の学びの状況を正確に伝える必要があります。
ここで重要になるのが、何のために提出する履歴書かという目的です。
実は、採用側が求めているのが将来の正社員としての契約なのか、それとも現時点での労働力なのかによって、適切な記載ルールは異なります。
自身の状況に合わせて正しく書き分けるための、具体的な基準と見本を見ていきましょう。
ケース1:新卒就職活動(正社員)の場合
この場合、採用側が求めているのは将来の正社員としての契約となります。
正解:卒業見込み
新卒採用の選考においては、必ず卒業見込みと記載します。
「見込み」には、単位取得状況などから判断して卒業がほぼ確実であるというニュアンスが含まれています。そのため、ビジネス文書としてより適切とされています。
法務・労務的根拠
新卒採用の労働契約(内定)は、法的には始期付解約権留保付労働契約と解釈されます。
これは、入社日(4月1日)までに大学を卒業できることを条件として成立する契約です。
したがって、企業側は現在学生であること以上に、入社日までに確実に学位を取得(卒業)できるかという契約履行の確実性を確認する必要があります。

在学中という記述では、「いつ卒業するのか」「本当に卒業できるのか」が不明確であり、採用担当者に不安を与えてしまいます。
【記載例】
202X年 4月 〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 入学
202X年 3月 〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 卒業見込み

なお、卒業予定ではなく卒業見込みと書くのが一般的です。
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新卒の履歴書作成には、学歴欄以外にも独自のルールやマナーが存在します。志望動機や自己PRなど、全項目の書き方とNG例を網羅したこちらの完全ガイドで、ミスのない完璧な履歴書を完成させましょう。
ケース2:アルバイト・インターンシップ応募の場合
この場合、採用側が求めているのは現時点での労働力となります。
正解:在学中
アルバイトやパートタイム、インターンシップへの応募では、在学中と記載します。
法務・労務的根拠
アルバイト契約においては、将来の卒業の有無よりも、現在どのような身分(ステータス)であるかが重要視されます。これは以下のような実務上の理由によります。
- シフト管理: テスト期間や授業による時間制約があるか。
- 税務処理: 「勤労学生控除」の対象となるか。
- 年金・保険: 学生納付特例制度等の兼ね合い。

現在の身分を証明するために、最終行に在学中と明記することが求められます。
【記載例】
202X年 4月 〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 入学
現在、同大学 在学中
(または一行下に)現在に至る
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アルバイトの応募では、正社員とは異なるアピールポイントが求められます。シフト希望の書き方から受かる志望動機まで、バイト履歴書特有のコツを凝縮したこちらの記事もぜひ参考にしてください。
3.最終学歴の迷いやすい複雑なパターン(Q&A)

履歴書を書く際、すべての人が「入学」から「卒業」へと一直線に進むわけではありません。中退、大学院進学、留学など、現代のキャリア形成は非常に多様化しています。
しかし、特殊なケースだからといって自己流で記載するのは危険です。書き方を間違えると、悪意がなくとも「経歴詐称」とみなされ、内定取り消しなどの重大なトラブルに発展する恐れがあります。
判断に迷いやすい複雑なケースについて、正しい記載ルールを確認しておきましょう。
大学生編
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大学を中退した場合はどう書く?
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「中途退学」と明記してください。この場合、最終学歴は「高卒」になります。
学生の中には、留学や家庭の事情、進路変更など、様々な理由で退学を選択する人もいます。
中退した場合、その課程を修了していないため、学歴としてはカウントされません(最終学歴は高校卒業に戻ります)。
中退を隠して「卒業」と偽ることはもちろん、在籍事実を隠して空白期間を作ることも、後のバックグラウンドチェックで経歴詐称と判断されるリスクがあります。必ず「中途退学」と事実を記載しましょう。

もし、やむを得ない理由や前向きな理由がある場合は、備考欄や自己PR欄で補足します。
そうすることで、ネガティブな印象を払拭することが可能です。
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中退歴の記載には不安が伴いますが、書き方次第で前向きなアピールに変えることができます。具体的な記載例や面接での回答方法まで、中退者の履歴書作成を徹底サポートするこちらの記事も併せてご覧ください。
大学院生編
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大学院生(修士・博士)の書き方は?
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「卒業」ではなく「修了」という用語を使用します。
大学と大学院では教育水準の位置づけが異なり、使用する用語も異なってきます。
大学院の課程(修士課程・博士課程)を終えることは、学術的に「修了」と呼びます。
なお、博士課程において、単位は取得したものの論文審査等の理由で学位を取得せずに退学した場合は、「満期退学」または「単位取得後退学」と記載するのが、アカデミア(学院、学園、専門学校、協会、学会、学士院など)および高度専門職の慣例です。
【記載例】
202X年 4月 〇〇大学大学院 〇〇研究科 博士前期課程 入学
202X年 3月 〇〇大学大学院 〇〇研究科 博士前期課程 修了見込み

単位取得後退学とは、「課程博士」において、修業年限以上在学し、必要な単位を取得したが学位(博士号)未取得で退学した状態を指します。これは、学界では一定の評価対象となります。
留学経験者編
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留学経験はどう書くべき?
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1年以上の正規留学(学位取得や交換留学)であれば学歴欄に記載します。
学生生活の中で、留学を経験する人もいるでしょう。その期間により記載方法も異なります。
学校教育法上の教育課程に相当する、または単位認定を伴う1年以上の留学であれば、学歴欄に期間と国名、学校名を記載します。
反対に、数週間の語学留学や短期プログラムは、通常「学歴」とはみなされません。そのため、「自己PR」欄や「資格・スキル」欄でアピールするのが適切です。
【記載例1】交換留学の場合(日本の大学に在籍しながらの留学)
日本の大学の学歴のすぐ下に、期間と国名、大学名を記載します。
202X年 4月 〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 入学
202X年 9月 アメリカ合衆国 〇〇大学へ交換留学(202X年 6月まで)
202X年 3月 〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 卒業
【記載例2】海外の大学へ正規入学・卒業した場合
海外の高校や大学を卒業した場合は、日本の学校と同様に「入学」「卒業」と記載します。
202X年 9月 イギリス 〇〇州立大学 〇〇学部 〇〇学科 入学
202X年 6月 イギリス 〇〇州立大学 〇〇学部 〇〇学科 卒業
専門学校・短大から大学への編入
専門学校・短大から編入した場合最終学歴は「大学卒業(見込み)」となります。
しかし、履歴書には編入前の学校(短大等)の入学・卒業も時系列ですべて記載するのがルールです。
4.履歴書作成のミスを減らすためのチェックリスト

ここまで学歴の定義やケース別の対処法を見てきました。しかし、どんな経歴も、記載のマナーが守られていなければ台無しです。
誤字脱字や表記の不統一といったケアレスミスは、単なる不注意ではなく基本的な事務処理能力の欠如として厳しく評価されることがあります。
内容の正確さだけでなく、読み手への配慮が行き届いているかも重要なアピールポイントです。
ここでは、履歴書作成時によくあるミスや注意点を紹介します。
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「義務教育はどこから書く?」「浪人や留年は?」など、学歴欄の記入には多くの疑問がつきものです。人事視点での「完璧な学歴欄」の書き方を解説したこちらの記事も、あわせて確認しておくことをおすすめします。
履歴書の完成度を上げる最終チェック
最後に、履歴書の完成度を底上げするチェックリストを確認しましょう。
西暦と和暦(元号)の統一
履歴書全体でどちらかに統一します。混在はNGです。
学校名は正式名称で
「高校」ではなく「○○県立○○高等学校」や「私立〇〇高等学校」と書きます。
「同校」などの省略も避け、面倒でも正式名称を繰り返します。
詳細まで記載
大学名だけでなく、学部、学科、専攻、コースまで正確に記載することで、専門性をアピールできます。
5.正確な履歴書は信頼の第一歩
履歴書の学歴欄は、単なる記録ではなく、自身の現在の状況と、未来への約束(卒業)を示す法的な意味を持つ記述です。
たかが書き方と思わず、提出する目的(就職活動かアルバイトか)に合わせて「卒業見込み」と「在学中」を正しく使い分けましょう。そして、教育水準の原則を理解しておくことも必要です。
正確な記載は、信頼性のあるビジネスパーソンとしての第一歩となります。