「留年してしまった…履歴書にどう書けばいいんだろう?」
「正直に書くと書類選考で落ちるんじゃないか…」
就職活動を前に、過去の留年経験が重い足かせのように感じられ、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
まず、深呼吸をしてください。留年経験があるからといって、キャリアが終わるわけではありません。
実際、多くの企業は「留年した事実」そのものよりも、「その経験をどう受け止め、その後の行動にどう繋げたか」を見ています。書き方のルールと、面接での伝え方さえ間違えなければ、留年は決して致命的な傷にはなりません。
この記事では、採用実務の現場における実態に基づき、「履歴書への正しい記載ルール」と、「面接でマイナスをプラスに変える回答戦略」を解説します。
法的に正しい書き方を知り、堂々と就活に臨むための準備を始めましょう。
1.結論:履歴書の学歴欄に「留年」という言葉は書かなくていい

結論から述べると、履歴書の学歴欄に、「留年」という言葉をわざわざ書く必要はありません。
履歴書は「事実を公的に証明する書類」であり、求められているのは「入学」と「卒業」の正確な年月です。留年したという事実は、入学年月と卒業年月の期間のズレから自動的に読み取れるため、備考欄や学歴の行に「留年」と明記する義務はないのです。
採用担当者は「入学・卒業年」のズレで見抜いている
「書かなくていいなら、バレないのでは?」と思うかもしれませんが、それは間違いです。
採用担当者は、何千枚もの履歴書を見てきたプロです。生年月日と高校・大学の入学・卒業年を見れば、「ここはストレートではないな」と一瞬で判断します。
重要なのは、「隠そうとしないこと」です。
「留年」と書かないのは、隠蔽工作ではなく、あくまで「書式のルール上、不要だから」に過ぎません。面接やエントリーシートで聞かれた際には、正直に答える準備が必要です。
「留年」は書かないが、「休学」は書いたほうがいいケース
「留年」は記載不要ですが、「休学」に関しては記載したほうが良いケースがあります。特に、留学や病気療養、ボランティア活動など、明確な理由があって「休学」を選択した場合です。
休学期間が半年や1年以上に及ぶ場合、学歴欄の当該学校の行の下、または備考欄に以下のように記載することで、採用担当者の疑問を先回りして解消できます。
例:
〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 入学
(平成〇年〇月~平成〇年〇月 語学留学のため1年間休学)
〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 卒業

このように記載することで、「単なる単位不足による留年」ではなく、「目的を持った期間」であったことを説明できます。
絶対にやってはいけないのは「卒業年度の偽装」
最も避けるべきなのは、留年を隠すために卒業年度をごまかして書くことです。これは明確な「経歴詐称」にあたります。
もし書類選考を通過し、内定をもらったとしても、入社手続きの際に提出する「卒業証明書」で必ず発覚します。最悪の場合、内定取り消しや、入社後の懲戒解雇の事由にもなり得ます。
「1年くらいバレないだろう」という軽い気持ちが、自身のキャリア全体を危険に晒すことになります。日付と年号は、必ず正確に記述してください。
2.【計算方法解説つき】留年経験者の履歴書学歴欄の正しい書き方見本

では、具体的にどう書けばよいのか、ケース別の書き方を見ていきましょう。
まずは、ご自身の入学・卒業年度を正確に把握することがスタートです。
まずは確認!入学・卒業年度の計算方法
基本的には、「入学した年」+「在籍した年数(4年+留年年数)」=「卒業する年」となります。留年した年数分だけ、卒業年が後ろにズレることになります。
留年と卒業年のズレ
入学年 + 在籍年数 = 卒業年
(ストレート)
(+1年)
たとえば、上記のように2022年4月に入学した4年制大学で、1年留年した場合、本来の卒業予定は2026年3月ですが、実際の卒業年月は2027年3月となります。
多くの履歴書作成サイトやアプリには「年号早見表」機能がついていますので、それらを活用して、西暦・和暦のミスがないように確認しましょう。
ケース1:1年留年した場合の記入例(正直に書く勇気)
最も一般的な、単位不足などで1年留年したケースです。
前述の通り、「留年」の文字は入れず、事実のみを淡々と記載します。
【記入例】
平成31年 4月 〇〇高等学校 普通科 入学
令和 4年 3月 〇〇高等学校 普通科 卒業
令和 4年 4月 〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 入学
令和 9年 3月 〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 卒業
※通常なら令和8年3月卒業のところ、1年プラスして記載します。これだけで十分です。
ケース2:留学により卒業が遅れた場合の記入例(ポジティブな理由)
留学によって卒業が遅れた場合は、それが「積極的な活動」であったことをアピールするためにも、理由を併記することをおすすめします。
【記入例】
令和 4年 4月 〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 入学
(在学中、米国〇〇大学へ1年間の交換留学)
令和 9年 3月 〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 卒業
ケース3:留年と休学が混在している場合の記入例
「1年休学して、その後復学したが単位が足りず留年もした」といった複雑なケースでも、原則は同じです。休学の事実は(理由がポジティブまたはやむを得ない場合)記載し、留年の事実は年号のズレのみで表現します。
【記入例】
令和 4年 4月 〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 入学
(平成〇年〇月~平成〇年〇月 病気療養のため1年間休学)
令和10年 3月 〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 卒業
上記の場合、入学から卒業まで計6年かかっていますが、1年は休学と明記されているため、採用担当者は「残りの1年は留年など別の事情だな」と推測し、面接で確認します。
▼あわせて読みたい
履歴書の学歴欄は留年以外にも「どこから書くか」「在学中の書き方」など迷うポイントがたくさんあります。新卒向けですが、基本ルールは共通なのでぜひ参考にしてください。
3.なぜ「留年」は就活で不利と言われるのか?人事の本音と対策

「留年すると就職できない」という噂を聞くことがありますが、これは大きな誤解です。
文部科学省の学校基本調査などのデータを見ても、既卒者や留年経験者を含む大学卒業者の就職率は非常に高い水準で推移しています。
では、なぜ「不利」と言われるのでしょうか? 企業の採用担当者が懸念しているポイントを知ることで、対策が見えてきます。
参考:令和7年3月大学等卒業者の就職状況 (4月1日現在)を公表します|厚生労働省
人事が本当に心配しているのは「留年そのもの」ではない
採用担当者が留年経験者に対して抱く懸念は、主に以下の3点です。
- 計画性の欠如: 「スケジュール管理や自己管理ができないのではないか?」
- 意欲の低下: 「仕事に対してもモチベーションを維持できないのではないか?」
- ストレス耐性: 「嫌なことから逃げてしまう傾向があるのではないか?」
つまり、「留年した事実」ではなく、「入社後も同じような問題を起こさないか」という将来のリスクを心配しているのです。
逆に言えば、面接でこれらの懸念を払拭できれば、留年はハンデではなくなります。
データで見る安心材料:大卒就職率は98%という事実
過度な不安は、面接での表情を暗くし、本来の魅力を損なってしまいます。
客観的なデータを見てみましょう。文部科学省と厚生労働省の調査によると、令和6年3月大学卒業者の就職率(4月1日現在)は98.1%という高水準です。
この中には、当然ながら留年経験者も含まれています。「留年=人生終了」というのは、不安が生み出した認知の歪みに過ぎません。
多くの先輩たちが、留年を乗り越えて社会で活躍している事実を自信に変えてください。
参考:令和6年3月大学等卒業者の就職状況 (4月1日現在)を公表します|厚生労働省
4.履歴書には書かないが面接では必須!留年理由のポジティブな伝え方

履歴書で「書類選考」を通過したら、次は面接です。ここでは高確率で「なぜ卒業が遅れたのですか?」と聞かれます。
ここが勝負の分かれ目です。言い訳に終始するのではなく、「成長の物語」として語りましょう。
「反省」+「改善」+「成長」の3段構成で信頼を勝ち取る
留年理由を伝える際は、以下の基本となる3ステップで構成すると、採用担当者に好印象を与えられます。
- 反省(事実を認める)
言い訳せず、自分の至らなさを素直に認める。「誠実さ」のアピールになります。 - 改善(具体的な行動)
その失敗から何を学び、どう行動を変えたか。「問題解決能力」のアピールになります。 - 成長(現在の姿)
その経験を経て、今の自分はどう変わったか。「将来の貢献可能性」のアピールになります。
【理由別】そのまま使える回答例文
面接で「なぜ留年したのですか?」と聞かれた時、言葉に詰まってしまわないよう、具体的な回答例文を用意しました。
以下に示す5つのパターンから自分の状況に近いものを選び、自身の言葉でアレンジして、自信を持って語れるように準備しましょう。
パターン1:学業不振・遊びが原因の場合(反省と改善)
「お恥ずかしい話ですが、入学当初はサークル活動や趣味に熱中しすぎてしまい、学業をおろそかにしてしまいました。(反省)
留年が決まった時、両親への申し訳なさと自分の甘さを痛感しました。そこからは『毎朝必ず1限目から出席する』『スケジュール帳で課題の締切を管理する』など生活を一変させました。(改善)
この経験から、目標達成のために優先順位をつける重要性と、地道な努力を継続する大切さを学びました。御社でもこの教訓を活かし、基本を大切に業務に取り組みたいと考えています。(成長)」
パターン2:経済的理由・アルバイト過多の場合(タフネスと効率性)
「学費と生活費を自身で賄う必要があり、アルバイトに時間を割きすぎてしまったことが原因です。(反省)
しかし、このままでは本末転倒だと気づき、奨学金制度の活用やシフトの見直しを行い、学業と仕事の両立を図るタイムマネジメントを徹底しました。(改善)
結果として、限られた時間の中で最大の成果を出す効率性と、厳しい状況でも投げ出さない精神力を身につけることができました。
社会人としても、この粘り強さを活かして貢献したいです。(成長)」
パターン3:病気・ケガによる療養の場合(自己管理と完治のアピール)
「大学2年次に体調を崩し、治療に専念するために1年間休学(または留年)いたしました。(事実)
現在は完全に回復しており、主治医からも就労に全く問題ないとの許可をいただいております。この経験を通じて、健康管理の重要性を深く理解し、規則正しい生活とストレスコントロールを徹底するようになりました。(改善)
健康に働けることへの感謝を忘れず、体調管理を万全にして、長く安定して御社に貢献したいと考えております。(成長)」
パターン4:留学・長期インターンシップの場合(目的意識と行動力)
「語学力と異文化適応力を養うため、1年間の語学留学を選択したためです。(理由)
卒業は遅れましたが、現地では日本人がいない環境にあえて身を置き、TOEIC〇〇点の取得や現地ボランティア活動など、目標を持って行動しました。(行動)
この経験で培った『未知の環境でも物怖じせずに挑戦する力』は、グローバル展開を進める御社で必ず活かせると確信しております。(成長)」
パターン5:進路の悩み・転部などが原因の場合(納得感と意欲)
「入学当初、専攻していた分野と自分のやりたいことの間にギャップを感じ、進路について深く悩んだ時期があったためです。(事実)
しかし、悩み抜いた末に『やはり自分は〇〇(現在の志望分野)の仕事に就きたい』という確固たる答えを見つけ、学部を変えて(または心機一転して)一から勉強し直しました。(改善)
遠回りはしましたが、その分、この仕事に対する熱意と覚悟は誰にも負けません。迷いなく仕事に打ち込めると確信しています。(成長)」
▼あわせて読みたい
面接では留年理由だけでなく、様々な質問が飛んできます。転職面接でよく聞かれる質問50選と、企業の質問意図、効果的な回答例文をまとめました。
5.留年経験者の履歴書提出前の最終チェックリスト

最後に、履歴書を提出する前に以下のポイントを必ずチェックしてください。
- 入学・卒業年度の計算に間違いはないか?(早見表などで再確認!)
- 「留年」という文字を書いていないか?(「休学」の場合は記載OK)
- 学校名、学部、学科は正式名称で書いているか?(「高校」ではなく「高等学校」)
- 誤字脱字はないか?
- 面接で聞かれた時の回答準備はできているか?
▼あわせて読みたい
履歴書の基本的な書き方全般について不安がある方は、こちらの記事もご覧ください。テンプレートや例文付きで、選ばれる1枚の作り方を解説しています。
6.留年は「終わり」ではない。過去を受け入れ、自信を持って就活を進めよう
履歴書の作成において、留年は隠すべき「汚点」ではなく、正しく記載すべき「事実」の一つに過ぎません。
- 履歴書には「留年」とは書かず、正しい入学・卒業年を記載する。
- 卒業年度の偽装(経歴詐称)は絶対にしてはいけない。
- 面接では、留年経験を「反省・改善・成長」のストーリーとして語る。
過去を変えることはできませんが、過去の「解釈」と、これからの「行動」は変えられます。
留年という経験があるからこそ、人の痛みがわかり、失敗から立ち上がる強さを持っているはずです。
その強さを履歴書と面接で正しく伝え、自分らしいキャリアの第一歩を踏み出してください。