「志望動機って、何を書けばいいんだろう…」「部活もバイトも、胸を張って言えるような経験じゃないし…」
高校生の就職活動で、多くの人が最初にぶつかる壁が「志望動機」です。すごい経歴や特別な体験がないと書けない、なんて思っていませんか?
この記事では、そうした不安を解消するためのヒントを解説します。志望動機は、派手な経験を語る場所ではありません。
日々の経験の中に眠る自身の強みを探し、それと会社の求めるものを結びつけ、入社後の活躍をイメージしてもらうための作業です。
本記事では、考え方のコツから、職種別の例文まで、3つのステップで分かりやすく解説していきます。
- 採用担当者が高校生の志望動機で本当に見ているポイント
- 特別な経験がなくても自分だけの志望動機が作れる3ステップ
- 正社員やアルバイトなど、状況別にそのまま使えるリアルな例文
1.実は難しくない!高校生の就職と志望動機

「すごい経歴なんてない…」その不安、みんな同じです。
でも、安心してください。企業の採用担当者は、高校生に社会人のような完璧な職務経歴やスキルを求めていません。
それよりも、「人柄」や「これからの可能性」を見ています。大切なのは、少しだけ視点を変えて、自分の中にある魅力を見つけ出すことです。
【安心材料】知っていますか?高校生の就職は今、とても有利な状況です
実は今、多くの企業が高校生の採用にとても積極的です。
少子高齢化の影響もあり、若い人材を大切に育てていきたいと考えている企業が増えているため、有効求人倍率は高い水準を維持しています。
また、文部科学省の調査によると、2025年3月に高校を卒業した生徒の就職率は98.0%と、非常に高い水準にあります。社会全体が、若い力を必要としているのです。
つまり、過度に不安になる必要はありません。自信を持って、就職活動の一歩を踏み出しましょう。
参考:厚生労働省:高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況
文部科学省 |令和7年3月高等学校卒業の就職状況(令和7年3月末現在)に関する調査について
2.採用担当者はここを見ている!志望動機で大切な3つのポイント
志望動機を書く前に、相手(採用担当者)が何を知りたいのかを理解しておくことが大切です。ポイントは以下の3つです。
ポイント1:会社のことをどれくらい調べてきたか(熱意)
「うちの会社のことを、ちゃんと調べてくれているな」と感じてもらえると、入社したいという熱意が伝わります。
企業のホームページを見たり、学校の先生に聞いたりして、「なぜ他の会社ではなく、この会社なのか」を自分なりに説明できると、とても良い印象を与えられます。
ポイント2:どんな人柄で、これから伸びそうか(将来性)
高校生には、無限の可能性があります。
採用担当者は、今持っているスキルよりも、入社後に素直に物事を吸収し、成長してくれそうかという「将来性」に期待しています。
真面目さ、誠実さ、新しいことに挑戦したいという意欲などをアピールしましょう。
ポイント3:「うちの会社に合っているか」(相性)
企業にはそれぞれ「社風」というものがあります。
例えば、「チームワークを大切にする会社」や「コツコツ真面目な人が多い会社」などです。性格や価値観が、その会社の雰囲気と合っているかを、採用担当者は見ています。
3.たった3ステップ!自分だけの志望動機を作ってみよう
それでは、いよいよ自分だけの志望動機を作るための具体的な3つのステップをご紹介します。
難しく考えず、一つずつ進めていきましょう。
ステップ1:「なぜ?」を掘り下げる(自己分析)
まずは自分自身について考えてみましょう。
「なぜこの仕事に興味を持ったんだろう?」「なぜこの会社で働きたいんだろう?」と、自分に問いかけてみてください。
答えは、普段の生活の中に隠されています。例えば、「細かい作業が好きだから、ものづくりに関わる仕事がしたい」「人と話すのが好きだから、接客の仕事がいいな」といったことです。
ステップ2:会社のことを知る(相手へのリサーチ)
次に、応募する会社のことを調べてみましょう。
会社のホームページを見て、「どんな製品やサービスを作っているのか」「どんなことを大切にしているのか(企業理念)」などを知ることが大切です。
先生や家族に、その会社について知っていることがないか聞いてみるのも良い方法です。
ステップ3:自分の経験と会社を結びつける(志望動機の要を作成する)
最後のステップが、一番重要です。
ステップ1で見つけた「自分の気持ち(アピールしたいこと)」と、ステップ2で知った「会社の魅力」を結びつけます。アピールしたい点と企業を結びつける「要」となります。
例えば、「細かい作業が好き(自分の気持ち)」で、会社が「精密な部品を作っている(会社の魅力)」なら、「自分の集中力を活かして、貴社の品質の高いものづくりに貢献したいです」というように、2つを繋げてみましょう。
4.【職種別】そのまま使える!志望動機例文集(正社員編)

ここでは、正社員を目指す高校生向けに、職種別の例文をご紹介します。自分に合うものを見つけて、アレンジして使ってみてください。
製造業の例文
私は、子どもの頃からプラモデル作りが好きで、一つのものをコツコツと作り上げることに集中力と達成感を感じます。
貴社が〇〇(製品名)という高い技術を要する製品を製造していることを知り、私の強みである集中力を活かして、日本のものづくりを支える一員になりたいと強く思いました。学校では、技術の授業で常に高い評価をいただいています。
未経験ではありますが、一日も早く技術を身につけ、貴社の生産に貢献できるよう精一杯努力いたします。
販売・接客業の例文
私は人と話すことが好きで、相手の笑顔を見ることにやりがいを感じます。
貴社の店舗を利用した際、店員の方がお客様一人ひとりに合わせた丁寧な対応をされている姿に感動し、私もこの場所で働きたいと思いました。
学校の文化祭では、販売担当としてクラスの売上目標達成に貢献しました。この経験で培ったコミュニケーション能力を活かし、お客様に「また来たい」と思っていただけるような温かい接客を目指したいです。
事務職の例文
私は、部活動でマネージャーとして部員のスケジュール管理や備品整理を担当し、仲間をサポートすることに喜びを感じてきました。この経験から、誰かの役に立ち、組織全体を支える事務の仕事に魅力を感じています。
貴社を志望したのは、「縁の下の力持ち」として社員の方々が働きやすい環境を作ることに貢献したいと考えたからです。パソコンの授業では特にWordとExcelの操作を得意としており、正確かつ迅速な作業には自信があります。
5.【状況別】困ったときの例文集(アルバイト編)

アルバイトの志望動機でよくあるシチュエーション別の例文です。
家が近いことをアピールしたい場合
自宅から近く、学業と両立しながら無理なく勤務できるため、志望いたしました。地域の一員として、お店の役に立ちたいという気持ちも強くあります。
長く続けていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
学業と両立したいことを伝えたい場合
こちらの店舗は週2日から勤務可能とのことで、学業や部活動と両立しながら働ける点に魅力を感じました。
限られた時間の中でも、与えられた仕事には責任を持って真剣に取り組み、少しでも早くお店に貢献できるよう頑張ります。
仕事内容に興味がある場合
以前からカフェの仕事に興味があり、お客様に安らぎの時間を提供する一員になりたいと考えておりました。
特に貴店の落ち着いた雰囲気が好きで、ぜひここで接客スキルを学びたいと思い、応募いたしました。
6.これはNG!もったいない志望動機とOK改善例

せっかくの熱意が伝わらない「もったいない」志望動機の例と、それを改善するポイントを紹介します。
NG例1:どこでも言えそうな内容 → OK例:その会社だけの理由を入れる
NG:「社会に貢献したいと思いました」
OK:「貴社の〇〇という製品が、地域の人々の生活を支えていると知り、私もその一員として社会に貢献したいと思いました」
NG例2:受け身な姿勢が見える → OK例:自分から学びたい意欲を示す
NG:「色々なことを学ばせていただきたいです」
OK:「貴社の高い技術を一日でも早く吸収し、将来的には〇〇の作業も任せていただけるよう、積極的に学んでいきたいです」
NG例3:給料や待遇のことだけ → OK例:仕事への貢献意欲を伝える
NG:「時給が高いので応募しました」
OK:「(仕事内容への興味を伝えた上で)こちらの店舗では、頑張り次第で昇給もあると伺いました。仕事への貢献が評価される環境で、自身の成長につなげたいと考えています」
7.どうしても書けない…「アピール材料がない」と悩んだときのヒント

特別な経験がなくても大丈夫です。日常にこそ、アピールのヒントは隠れています。
文部科学省の調査では、高校生が自身の将来について「職場の人間関係がうまくいくか」といった不安を抱えていることが示されています。
特別な経験がないと感じるだけでなく、対人関係への不安から、自分をアピールすることにためらいを感じるのは、決して珍しいことではありません。
学校生活(部活・委員会・授業)にヒントは隠れている
些細なことでも、仕事に繋がる強みになります。
- 例:「3年間、無遅刻無欠席だった」
- → 「真面目で責任感がある」という立派なアピールになります。
- 例:「文化祭の準備を頑張った」
- → 「チームで協力して何かを成し遂げる力」の証明になります。
趣味や好きなことを仕事に結びつけてみよう
「好き」という気持ちは、仕事へのエネルギーになります。
- 例:「SNSで発信するのが好き」
- →「情報を分かりやすく伝える力」があると言えます。
- 例:「ゲームが好き」
- →、「目標達成のために戦略を考える力」や「集中力」があるかもしれません。
短所は、見方を変えれば長所になる
自分の短所だと思っていることも、実は企業が求めている強みかもしれません。
- 例:「心配性」
- → 「慎重で丁寧な仕事ができる」という長所になります。
- 例:「頑固」
- → 「一度決めたことをやり遂げる責任感がある」と言い換えられます。
8.自信を持って、自分自身の言葉で伝えよう
志望動機は、素晴らしい人材を企業に知ってもらうための最初の資料です。この記事で紹介した3つのステップを使えば、自信をもった志望動機が書けるはずです。
大切なのは、完璧な文章を書くことではなく、自分自身の言葉で、一生懸命に伝えようとすることです。この記事が、就職活動への一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。