ビジネス言い回し一覧

このメールで失礼ではないか

とっさに正しい敬語が出てこない
そうした不安を感じる方は少なくありません。
実は、働く人の7割以上が「自分の言葉遣いに不安を抱えている」というデータもあります。
本記事では、今日から使えるビジネス言い回しを一覧で紹介します。言葉の不安をなくし、自信を持って仕事に取り組むための「お守り」としてご活用ください。
参考:ビジネスメール実態調査2023|一般社団法人日本ビジネスメール協会、敬語の指針|文化庁
- 一目でわかる「よく使う動詞・言葉」の尊敬語・謙譲語変換リスト
- 言いにくいことを角を立てずに伝える「クッション言葉」の活用法
- メール、チャット、電話それぞれの媒体に適したマナーと使い分け
1.【即効チェック】よく使うビジネス言い回し変換一覧表

ビジネスシーンで頻出する言葉の「変換リスト」です。
迷ったときにすぐ確認できるよう、基本の動詞と、自分・相手を指す言葉を整理しました。
動詞の変換(行く・来る・言う・見る・食べる)
日常会話で使う動詞を、そのままビジネスシーンで使うと稚拙な印象を与えかねません。
相手の動作には「尊敬語」、自分の動作には「謙譲語」や「丁寧語」を使い分けます。
特に「ウチ(自分・身内)」と「ソト(相手)」の関係を意識することが重要です。
ビジネス敬語変換ガイド(主要8動詞)
お越しになる
いらっしゃる
あそばす
伺う 相手の話を聞く・質問する
自分が使う言葉(弊社・わたくし・承知いたしました)
自分や身内(自社)のことを話す際は、相手への敬意を表すために控えめな表現を用います。
- 自分のこと:「わたし」「ぼく」 → 「わたくし」
- 自社のこと:「うちの会社」 → 「弊社(へいしゃ)」「わたくしども」
- 了解の返事:「了解です」「わかりました」 → 「承知いたしました」「かしこまりました」
特に「了解しました」は、目上の人に対しては失礼にあたるとされるケースが多いため、「承知いたしました」を使うのが無難であり、スマートです。
相手を立てる言葉(貴社・そちら様・おっしゃる通りです)
相手側のことや、相手の意見に触れる際は、最大限の敬意を込めた表現を選びます。
- 相手の会社(書き言葉): → 「貴社(きしゃ)」
- 相手の会社(話し言葉): → 「御社(おんしゃ)」
- 相手の場所: → 「そちら様」「貴地(きち)」(※遠方の場合など)
- 同意する時:「その通りですね」 → 「おっしゃる通りです」「ごもっともです」
2.印象を劇的に変える「クッション言葉」マジックフレーズ集

ビジネスでは、依頼や断りなど、相手にとって負担になることを伝えなければならない場面があります。
そんな時に、衝撃を和らげ、配慮を示すのが「クッション言葉」です。これを挟むだけで、印象は劇的に柔らかくなります。
依頼する時(お忙しいところ恐縮ですが・差し支えなければ)
相手の時間を奪うことへの配慮を示します。
- 基本:「お忙しいところ恐縮ですが、~をお願いできますでしょうか」
- 任意のお願い:「差し支えなければ、~していただけますでしょうか」
- 確認を促す:「お手数ですが、ご確認いただけますでしょうか」
断る時(あいにくですが・ご希望に添えず恐縮ですが)
単に「できません」と伝えると冷たい印象を与えます。残念な気持ちを言葉に添えます。
- 予定が合わない:「あいにくですが、その日は先約がございまして」
- 要望に応えられない:「ご希望に添えず恐縮ですが、今回は見送らせていただきます」
- 辞退する:「せっかくのお申し出ですが、辞退させていただきます」
質問・確認する時(失礼ですが・お伺いしたいのですが)
唐突に要件に入るのではなく、相手の状況を伺う姿勢を見せます。
- 名前を聞く:「失礼ですが、お名前をお教えいただけますでしょうか」
- 不明点を聞く:「一点、お伺いしたいのですが」
- 間違いを指摘するかも:「念のため確認させていただきたいのですが」
3.知らないと恥をかく? 「間違いやすいNG言い回しと適切な表現」
丁寧に話そうとするあまり、かえっておかしな日本語になってしまうことがあります。
ここでは代表的なNG例を解説します。
「よろしかったでしょうか」はなぜNGなのか
飲食店やコンビニなどでよく耳にする「ご注文は以上でよろしかったでしょうか」という表現。これは「バイト敬語」とも呼ばれ、ビジネスシーンでは避けるべきです。
現在は目の前のことについて確認しているので、過去形にする必要はありません。
「ご注文は以上でよろしいでしょうか」が正解です。
「了解しました」と「承知いたしました」の使い分け
前述の通り、「了解しました」は「理解した」という意味ですが、敬意の度合いは低く、同僚や部下に対して使う言葉であり、目上の人には適さないとされています。
上司や取引先に対しては、へりくだる意味を含む「承知いたしました」や、謹んでお受けするという意味の「かしこまりました」を使いましょう。
二重敬語の罠(ご覧になられる・おっしゃられる)
敬語を重ねすぎると、くどい印象や、かえって心がこもっていない印象を与えてしまいます。
正しい敬語への書き換えガイド
「ご覧になる(尊敬語)」だけで十分です。「れる」を加えると過剰な二重敬語になります。
すでにある尊敬語「おっしゃる」に「れる」を重ねる必要はありません。シンプルが一番です。
謙譲語の重複を避けましょう。「伺う」または「お伺いする」が最も美しい形です。
「させていただく」の乱用に注意
「読ませていただく」など、便利な言葉として多用されがちですが、本来は「相手の許可」と「自分への恩恵」がある場合にのみ使います。
単純に自分の行為を伝える場合は「いたします」で十分です。
4.【シーン別】メール・チャット・電話の使い分けとマナー
現代のビジネスでは、連絡手段の使い分けが重要です。それぞれのツールの特性に合わせた言葉選びが求められます。
メールは「形式」を重視(書き出し・結びの定型文)
メールは公式な記録として残るため、形式が重視されます。
メールの定番フレーズ活用表
書き出しの挨拶
社外へは「お世話になっております」、社内では「お疲れ様です」が基本のビジネスマナーです。
結びの言葉
継続的な関係には「引き続き」、何かをお願いした際は「ご検討」で締めくくるのがスムーズです。
チャットは「スピード」と「簡潔さ」を重視
SlackやTeams、Chatworkなどのビジネスチャットでは、メールのような形式ばった挨拶は省略される傾向にあります。
「お疲れ様です」のみ、あるいは即座に本題に入ることが好まれる場合も多いです。
また、アルファベットの略語が使われることもあります。
- ASAP:As Soon As Possible(なるべく早く)
- FYI:For Your Information(参考までに)
- MTG:Meeting(会議)
- FMT:Format(フォーマット)
- Business to Business(企業間取引)
ただし、これらは相手との関係性や社風に依存するため、目上の人に使う際は注意が必要です。
電話・対面は「声のトーン」と「即応力」
文字情報がない電話や対面では、言葉そのものに加え「声のトーン(笑声)」や、とっさの反応が重要です。
聞き取れなかった時に「え?」と言うのではなく、「恐れ入りますが、もう一度お願いできますでしょうか」や「お電話が遠いようなのですが」といった、相手を責めないフレーズを即座に出せるようにしておきましょう。
5.言葉遣いは「円滑なコミュニケーションを支える基盤」

ビジネスにおける「正しい言い回し」は、単なるマナーテストではありません。信頼を構築するための武器となります。
「正しく伝わる」ことが心理的安全性を生む
多くのビジネスパーソンが抱える「このメールで大丈夫かな?」という不安は、業務のパフォーマンスを低下させます。
型(パターン)を身につけることは、この迷う時間を減らし、本来の業務に集中するための心理的な安全確保につながります。
丁寧な言葉遣いは、トラブルを未然に防ぐリスク管理
言葉足らずや不適切な表現は、誤解を生み、時には「ハラスメント」や「契約上のトラブル」に発展することさえあります。
相手との距離感を適切に保つ「敬語」や、相手への配慮を示す「クッション言葉」は、無用な摩擦から自分自身を守ってくれます。
自信のあるコミュニケーションが市場価値を高める
どのような専門スキルを持っていても、コミュニケーションに不安があると、その価値を正しく評価してもらえないことがあります。
逆に、基本的な言い回しがスムーズにできるだけで、「安心して仕事を任せられる人」という信頼(クレジット)が積み上がります。
6.言葉はツール。完璧を目指さず「相手への配慮」を最優先に
数多くの言い回しを紹介しましたが、最も大切なのは「相手を敬う気持ち」です。
多少の敬語の間違いがあっても、相手のために一生懸命選んだ言葉であれば、その誠意は必ず伝わります。まずは、今日ご紹介したリストの中から、よく使うものを一つずつ実際の業務で使ってみてください。
小さな成功体験の積み重ねが、やがて、自信を持って実務に取り組めるようになります。