転職活動で多くの人が直面するWeb履歴書作成。すぐに使えるテンプレートから、採用担当者の視点を踏まえた書き方、職歴の悩み別対処法まで、この記事で解説します。
履歴書は、自身の価値を伝え未来を拓くための大切なプレゼン資料です。自信を持って次の一歩を踏み出すために、ぜひご活用ください。
- すぐに使えるWeb履歴書テンプレートの入手方法
- 採用担当者に評価される各項目の具体的な書き方
- 職歴のブランクなど悩み別のケースに対応した記入例
1.はじめに:履歴書は「未来へのプレゼン資料」

履歴書作成と聞くと、少し堅苦しい、面倒な作業だと感じるかもしれません。しかし、その役割を少し違う角度から捉え直してみましょう。
履歴書は、過去の経歴を証明するだけの「書類」ではなく、未来のキャリアを共に築くかもしれない企業へ向けた、最初の「自己紹介」であり「プレゼンテーション資料」です。
採用担当者は、履歴書を通して「候補者がどのような経験を積み、何を考え、自社でどのように活躍してくれそうか」という可能性を見ています。
つまり、事実を正確に記載することはもちろん、自身の経験やスキルが、企業の求めるものとどう結びつくのかを、分かりやすく示すことが重要なのです。
この視点を持つことで、履歴書作成は「作業」から「戦略的な自己PR活動」へと変わります。
どうすれば自身の魅力が伝わるか、どうすれば「会ってみたい」と思ってもらえるか。
そうした工夫を凝らすことで、履歴書は通過するためだけの書類ではなく、その後の面接をも有利に進めるための強力な武器となり得ます。
2.【無料ダウンロード】すぐに使えるWeb履歴書テンプレート(厚生労働省推奨様式準拠)

まずは、履歴書作成の土台となるテンプレートを手に入れましょう。ここでは、現在多くの企業で標準的に利用されている「厚生労働省履歴書様式例」に準拠したテンプレートを、編集しやすい形式でご用意しました。
ご自身の使いやすいものを選んでダウンロードしてください。
パソコンでの作成に(PDF, Excel形式)
パソコンで直接入力して作成したい方向けのテンプレートです。Excel形式はレイアウトが崩れにくいのが特徴です。職務経歴書もセットになっていますので、あわせてご活用ください。
手書き用の印刷に(PDF形式)
手書きでの作成を希望される方や、企業から手書きを指定された場合にご利用ください。A4サイズ2枚で印刷できます。
参考:厚生労働省 厚生労働省が新たに作成した「履歴書様式例」を掲載しました。
なぜ今「厚生労働省推奨様式」なのか? JIS規格との違いを解説
これまで履歴書の標準とされてきた「JIS規格様式」ですが、2020年に様式例が削除されました。それに代わり、厚生労働省が公正な採用選考の実現を目指して新たな様式例を公開しました。
大きな違いは、性別欄が任意記載となり、通勤時間・扶養家族数・配偶者・配偶者の扶養義務の欄がなくなった点です。
これにより、応募者の能力や適性とは関係ない情報で選考が左右されることを防ぐ狙いがあります。
特別な指定がない限りは、この厚生労働省推奨様式を利用することが、現在の標準と考えてよいでしょう。
3.採用担当者はここを見ている!Web履歴書作成の3つの基本原則

魅力的な履歴書を作成するには、採用担当者がどこに注目しているかを知ることが近道です。
ここでは、評価される履歴書に共通する3つの基本原則をご紹介します。
原則1:読みやすさと正確性
採用担当者は、毎日多くの履歴書に目を通します。そのため、ひと目で内容がわかる「読みやすさ」は非常に重要です。
誤字脱字がないことはもちろん、適切な改行や箇条書きを用いるなど、レイアウトにも配慮しましょう。
Web作成の場合、文字サイズやフォントはテンプレートの初期設定のままで問題ありません。
空欄が多すぎると意欲が低いと見なされる可能性もあるため、書ける項目はすべて埋めるのが基本です。
原則2:企業との接点の明確化
採用担当者が知りたいのは「候補者が、自社でどのように貢献してくれるか」です。
そのため、自身の経験やスキルをただ羅列するのではなく、応募先企業の事業内容や求める人物像と、自身の経験との「接点」を意識して記述することが重要です。
特に「志望動機」や「自己PR」では、なぜこの会社でなければならないのか、自身のスキルをどう活かせるのかを具体的に示しましょう。
原則3:再現性のある強みの提示
「頑張ります」「コミュニケーション能力には自信があります」といった抽象的な表現だけでは、残念ながら採用担当者には響きません。
自身の強みをアピールする際は、具体的なエピソードや定量的な実績(数字)を交えて説明しましょう。

「前職の営業では、〇〇という工夫で顧客単価を前年比15%向上させました」
例えばこのように記述することで、入社後の活躍イメージが湧きやすくなり、強みの説得力が格段に増します。
4.【項目別】Web履歴書の書き方を解説(記入例付き)

ここからは、履歴書の各項目について、具体的な書き方と注意点を記入例とともに解説していきます。
採用担当者は細部まで見ていますので、一つひとつ丁寧に進めましょう。
基本情報(日付、氏名、連絡先)
日付は、提出する当日の日付を記載するのが原則です。郵送なら投函日、メールなら送信日、持参する場合は持参日を記入しましょう。
氏名や住所、連絡先は、採用担当者が連絡を取るための重要な情報源ですので、絶対に間違いのないように、正確かつ丁寧に記載してください。
特に、住所は都道府県から省略せずに書き、番地や建物名、部屋番号まで明確に記します。
また、メールアドレスは、在職中の会社で使用しているものは避け、個人のPC・スマートフォンで日常的に確認できるアドレスを設定しましょう。

大学のメールアドレスも卒業後は使えなくなる可能性があるため、フリーメール(GmailやYahoo!メールなど)で構いませんので、プライベートで長く使えるアドレスを使用するのが賢明です。
学歴・職歴(入学・卒業年度自動計算表つき)
学歴は、一般的に高等学校の入学から記載します。学校名は「〇〇高校」と略さず、「〇〇県立〇〇高等学校」のように正式名称で書きましょう。
職歴は、これまでの入社・退社歴をすべて時系列で記載するのが基本です。会社名も同様に「株式会社〇〇」と正式名称で、部署名まで正確に記載します。
担当した業務内容を簡潔に書き添えることで、採用担当者はあなたの経歴をより具体的にイメージできます。
すべての職歴を書き終えたら、最後の行に「現在に至る」と記載し、その一行下に右寄せで「以上」と締めくくります。

アルバイト経験は、応募職種に関連性が高い場合や、アピールしたい経験であれば記載しても良いでしょう。その際は「株式会社〇〇 アルバイト入社」と明記してください。
免許・資格
免許・資格は、取得年月日が古いものから順に、正式名称で正確に記載します。例えば「普通免許」ではなく「普通自動車第一種運転免許」のように書くのが基本です。
応募する仕事内容に関連する資格は、たとえ級が低くても必ず記載しましょう。強力なアピール材料となります。
また、現在取得に向けて勉強中の資格があれば、「〇〇資格取得に向け勉強中(2025年〇月取得予定)」のように記入することも有効です。
これは、あなたの学習意欲の高さや、キャリアに対する前向きな姿勢を伝えることにつながります。

資格が多くて書ききれない場合は、応募職種との関連性が高いものを優先して選び、その他は職務経歴書に記載するなどの工夫をしましょう。
志望動機・自己PR
ここは、あなたの熱意と強みを伝える、履歴書の中で最も重要な項目です。
志望動機では、数ある企業の中から「なぜこの会社でなければならないのか」を、自身の言葉で具体的に説明する必要があります。
企業のウェブサイトを読み込み、理念や事業内容に共感した点を挙げ、自身の経験や価値観とどう結びつくのかを述べましょう。
自己PRでは、これまでの経験で培ったスキルや実績が、入社後にどう活かせるのか、企業にどのような貢献ができるのかを論理的にアピールします。

決してインターネット上の例文をそのまま使うのではなく、あなた自身の経験に基づいたオリジナリティのある内容を心がけてください。この二つが一貫していると、説得力が格段に増します。
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「志望動機がうまくまとまらない」とお悩みなら、AIアシスタントツールの活用も一つの手です。最新のAIを使えば、あなたの経歴や強みを基に、採用担当者に響く魅力的な志望動機を効率的に作成できます。以下の記事ではおすすめのツールを比較紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
本人希望記入欄
原則として「貴社規定に従います。」と記載します。複数の職種を募集している企業で特定の職種を希望する場合や、勤務地に希望がある場合など、絶対に譲れない条件がある場合にのみ具体的に記入します。
給与などの待遇面については、この段階で記載するのは避けるのが一般的です。
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履歴書とセットで提出する職務経歴書の作成は進んでいますか?職務経歴書は、あなたのスキルや実績を具体的にアピールするための重要な書類です。採用担当者に伝わる書き方のコツや、すぐに使えるテンプレートを以下の記事で詳しく解説しています。
5.作成後に差がつく!提出方法とマナー

心を込めて作成した履歴書も、提出時のマナーで印象を損ねては台無しです。最後まで気を抜かず、丁寧に対応しましょう。
データをメールで送る場合(PDF変換の推奨)
WordやExcelで作成した履歴書は、必ずPDF形式に変換してからメールに添付します。
PDFにすることで、第三者による改ざんを防ぎ、どのパソコン環境でも同じレイアウトで表示されるためです。
ファイル名は「履歴書(氏名).pdf」のように、誰の何の書類か一目でわかるようにしましょう。
印刷して郵送・持参する場合(封筒の書き方)
履歴書を印刷する場合は、A4サイズの白い用紙を使用するのが一般的です。郵送する場合は、A4用紙が折らずに入る「角形A4号」または「角形2号」の白い封筒を用意します。
表面に赤字で「履歴書在中」と記載し、裏面には自身の住所・氏名を忘れずに書きましょう。
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履歴書を郵送する際、封筒の書き方一つで第一印象は大きく変わります。以下の記事では宛名の書き方から切手の選び方、書類の正しい入れ方まで、ビジネスマナーとして知っておくべきポイントを網羅的に解説しています。提出前に最終確認しておきましょう。
6.【お悩み別】こんな時どう書く?ケース別対処法Q&A

履歴書作成では、個別の事情で書き方に悩むことも少なくありません。ここでは、よくあるお悩み別の対処法を解説します。
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職歴が多くて書ききれない
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職歴が多くて欄に収まらない場合は、応募職種との関連性が高いものを優先して記載し、詳細は職務経歴書に譲るという方法があります。
すべての職歴を記載する必要がある場合は、レイアウトを工夫したり、職歴欄が多いテンプレートを選んだりするとよいでしょう。
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転職回数が多い
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転職回数の多さが気になる場合は、職務経歴書で一貫したキャリアの軸や、転職によって得られたスキル・経験を前向きにアピールすることが重要です。
それぞれの転職に「スキルアップのため」といったポジティブな理由があったことを示し、場当たり的な転職ではないことを伝えましょう。
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アピールできる職歴や資格がない
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特別な職歴や資格がないと感じる場合でも、諦める必要はありません。例えば、アルバイト経験からでも「後輩の指導を通じてリーダーシップを学んだ」「売上目標達成のために工夫した」など、アピールできる要素は見つけられます。
自己分析を丁寧に行い、これまでの経験を「ポータブルスキル(持ち運び可能なスキル)」として捉え直してみましょう。
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療養などの空白期間(ブランク)がある
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病気療養や家庭の事情などで職歴に空白期間がある場合、正直に伝えることが大切です。例えば「病気療養のため離職しておりましたが、現在は完治しており、業務に支障はありません」と簡潔に記載します。
大切なのは、現在では就業に問題がないことを明確に伝えることです。
7.自信を持って、キャリアの次の一歩を踏み出そう
Web履歴書の作成は、自身の価値を伝えるための戦略的な自己PR活動です。
採用担当者の視点を意識し、これまでの経験が企業の未来にどう貢献できるかを具体的に示すこと。それができれば、履歴書は通過だけでなく、面接まで見据えた強力な武器となります。
この記事が、皆様の活動の一助となれば幸いです。