「やりたい仕事って、なんだろう」「周りは将来のことを考えているのに、自分だけ熱中できるものが見つからない…」
その焦りや不安は、あなただけが抱える特別な悩みではありません。
この記事では、なぜ多くの人が「やりたい仕事が見つからない」という悩みを抱えるのか、その原因を一緒にみていきましょう。あわせて、具体的な自己分析の方法や明日からすぐに始められる行動プランについても、わかりやすく解説していきます。
「これからどう働いていけばいいのかな」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
- 「やりたい仕事がない」と悩む原因についてわかる
- 簡単な診断で、自分でも気づかなかった「強み」や「価値観」が見つかる
- 明日から何をすべきか、具体的な行動プランがわかる
1.多くの人が「やりたい仕事」ではない現実

「やりたい仕事がわからない」と悩んでいると、「自分だけなのかな…」と孤独を感じてしまうかもしれません。しかし、データを見ると、実は多くの人が同じように悩んでいることがわかります。
つまり、多くの人が理想と現実の間で悩みながら、日々の仕事に取り組んでいるのです。「やりたいことが見つからない自分」を責める必要はありません。まずは「自分だけじゃないんだ」と知ることで、心を少し軽くして、次へ進むための第一歩にしましょう。
参照:
en人事のミカタ「68%の求職者は、転職活動の開始当初「やりたい仕事が決まっていない」!」
厚生労働省「労働安全衛生調査(実態調査)」
2.「やりたい仕事」が見つからない4つの原因

気持ちが少し楽になったら、次になぜそう感じてしまうのか、その原因を探ってみましょう。原因は一つだけでなく、いくつかの理由が合わさっていることが多いです。代表的な4つの原因を見ていきましょう。
原因1:完璧な「天職」を求めすぎている
「仕事とは、情熱をすべて注げるような運命的なものであるはず!」
「どうせなら、一生続けられる完璧な仕事じゃないと意味がない!」
このように「天職」への期待が大きすぎると、かえって選べる仕事が少なくなってしまいます。どんな仕事にも、面白い部分もあれば、地味で大変な部分もあるでしょう。
「100点満点の仕事」を探し始めると、どの仕事も欠点が目についてしまい、結局何も選べなくなってしまうのです。
原因2:自分自身の「強み」と「価値観」を理解できていない
「自分には、人にアピールできるような特別なスキルはない」と感じていませんか?実は多くの場合、実際に能力がないのではなく、自分の経験をうまく言葉にできていないだけなのです。
また、自分が仕事をする上で何を大切にしたいのかという「価値観」がはっきりしていないと、会社を選ぶときの「ものさし」がありません。そのため、たくさんの選択肢を前にして、どうしていいか分からなくなってしまいます。
その結果、どの仕事もしっくりこないと感じてしまうのです。
原因3:世の中にある「仕事」の選択肢を知らなすぎる
私たちは、自分が知っている仕事の中からしか、やりたい仕事を選ぶことができません。普段の生活で目にする職業は、実は世の中に存在する仕事のほんの一部です。
自分の知っている範囲だけで考えていると、すぐ近くに自分にぴったりの仕事があるのに、その存在にすら気づけない、ということが起こります。情報が多すぎて選べないと感じる一方で、実は知っている選択肢が少なすぎる、ということもよくあるのです。

例えば「自動車に関わる仕事」ひとつをとっても、多くの人がすぐに思い浮かべる販売店やデザイナーだけでなく、テストドライバーや品質管理、自動車整備士など幅広い仕事があるのです。
原因4:「失敗したくない」という気持ちが強すぎる
将来の大きな決断を前に、失敗を恐れるのは自然なことです。「自分に合う仕事なんて、本当にあるんだろうか…」と悩む方も多いでしょう。しかし、この気持ちが強すぎると、新しいチャレンジができず、「何もしない」という選択になってしまうのです。
つまり、失敗を恐れるあまり、やりたいことを見つけるための最も重要な第一歩である「自分を知る」という行動ができなくなってしまっているのです。これが、仕事が見つからない大きな原因の一つです。
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やりたい仕事が見つからない原因は、人それぞれの状況によって異なります。以下の記事では、「転職活動中にやりたい仕事が見つからない場合」や「30代になってやりたいことが分からなくなってしまった場合」など、具体的なケースごとに詳しく解説しています。
3.自分だけの「仕事の軸」を見つける3つのステップ

原因がわかったら、いよいよ具体的な解決策に入りましょう。「やりたいこと」がすぐに見つからなくても大丈夫です。まずは、あなただけの「仕事選びの軸」を見つけることから始めてみましょう。
【STEP1】「やりたくないことリスト」で選択肢を絞る
「やりたいこと」を考えるのが難しいのであれば、逆から考えてみましょう。「これだけは絶対にやりたくないこと」「苦手なこと」を書き出すのです。
■例えば…
・毎日同じことの繰り返しは嫌だ
・数字のノルマに追われるのは苦手
・転勤はしたくない
・大勢の前で話すのは無理など
このように「やりたくないこと」をはっきりさせることで、たくさんの選択肢を消去法で減らすことができるのです。そうすることで、自分に合った仕事が自然と見えてくるでしょう。
【STEP2】「Will-Can-Must」フレームワークで現状を整理する
次に、自己分析でよく使われる「Will-Can-Must」という方法で、自分のことを客観的に整理してみましょう。図のように3つの円を描き、その中に「やりたいこと」「できること」「やるべきこと」を書き出していきます。

・Will(やりたいこと)
好きなことや「こうなりたい」という理想、大切にしたい価値観など
・Can(できること)
これまでのスキルや経験、得意なこと、人から褒められることなど
・Must(すべきこと)
会社や社会から求められている役割や仕事など
この3つの円が重なる部分が、あなたにとってやりがいを感じやすく、力を発揮しやすい仕事のヒントになります。ポイントは、「Can(できること)」をできるだけたくさん書き出すことです。
【STEP3】第三者の視点(客観的意見)を取り入れる
一人での自己分析に行き詰まったら、信頼できる人に話を聞いてもらいましょう。自分では当たり前だと思っていることが、他の人から見ればすごい「強み」だった、ということは珍しくありません。
「相談相手に迷う」という方は、以下を参考にしてください。
- 仲の良い友人や家族
- サークルやバイト先の先輩
- 大学のキャリアセンター
- キャリアの専門家である転職エージェントやキャリアコンサルタント
特に専門家は、客観的な目であなたを分析し、自分でも気づいていない可能性を見つける手伝いをしてくれます。「人に相談すること」は弱さではなく、問題を解決しようと行動する「強さ」の証です。
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「もうちょっと自己分析を深めたい」という方には、以下の記事もおすすめです。キャリア心理学などの分野で実際に使われている、信頼性の高い自己分析の方法を多数紹介しています。
4.強みと価値観が見える無料の適職診断ツール 3選
「自分のことを客観的に見るのは難しい…」という方も多いでしょう。そんなときは、「適職診断ツール」がおすすめです。いくつかの質問に答えるだけで、あなたの性格や価値観、向いている仕事のタイプなどを客観的に教えてくれます。
グッドポイント診断(リクナビNEXT)

質問に答えることで、18種類の中からあなたの「隠れた5つの強み」を具体的に教えてくれます。診断結果を、そのまま応募書類の自己PRに活用できる点も魅力です。
こんな人におすすめ
自分のアピールポイントが分からず、自己PRに悩んでいる人
キャリアタイプ診断(doda)

あなたの性格や能力の傾向から、向いている「仕事のスタイル」や「企業の風土」まで、多角的に分析してくれます。
こんな人におすすめ
どんな会社や働き方が自分に合っているのか、総合的に知りたい人
16タイプ性格診断

画像:16タイプ性格診断
世界中で利用されている有名な性格診断で、あなたの性格を16のタイプに分類し、その特徴や強み・弱みを詳しく解説してくれます。
こんな人におすすめ
根本的な自分の性格や、人との関わり方のクセを知りたい人
5.診断結果を活かす!具体的な行動プラン

自己分析や診断で自分の「軸」が少し見えてきたら、次は行動に移してみましょう。いきなり就職活動を始める必要はありません。小さな一歩で大丈夫です。
行動プラン1:興味のある業界・職種の情報を集める
自己分析で少しでも「面白そう」と感じた業界や職種があれば、まずは情報を集めてみましょう。企業のサイトや求人情報を見るだけでなく、その業界で働く人のインタビュー記事を読んだり、関連するニュースをチェックしたりするのも有効です。

知ることで視野が広がり、新たな「やりたいこと」の候補が見つかるかもしれません。
行動プラン2:短期の仕事や副業で「お試し」してみる
「この仕事、興味はあるけど自分にできるかな?」と不安なら、リスクの少ない形で「お試し」してみるのがおすすめです。短期のアルバイトやインターンシップなどで関わってみると、仕事のリアルな部分がわかります。
もし「合わないな」と感じても、「無駄だった」と感じる必要はありません。「自分には合わないことがわかった」という大きな成果と捉えて、次に活かしましょう。
行動プラン3:キャリアの専門家に相談する(厚生労働省ジョブ・カード活用)
もっと本格的に自分のキャリアを考えたいなら、キャリアコンサルティングを受けてみるのも良いでしょう。
キャリアコンサルティングとは?
キャリアコンサルティングは、仕事や働き方に関する悩みを、専門の相談員(キャリアコンサルタント)と一緒に整理し、自分に合った選択や行動につなげていくための支援です。
将来のキャリアや転職、スキルアップなどについて、一人で悩まず、プロの視点を取り入れて考えることができます。
特に、転職エージェントなどにいる専門家は、無料で利用でき具体的な会社を紹介してくれるので、ぜひ活用してみましょう。
また、国が進めている「ジョブ・カード」という制度を利用するのも一つの手です。これは、自分の能力や経験を整理して、将来の計画を立てるための公的なツールで、ハローワークなどで専門家のアドバイスを受けながら作ることができます。
6.「やりたい仕事がない」に関するQ&A

最後に、多くの人が持つ疑問についてお答えします。
Q. とりあえず安定してそうな公務員を目指すのはアリ?
A.もし「安定」があなたにとって一番大事な価値観なら、選択肢として「アリ」
ただし、「やりたいことがないから、とりあえず」という理由だけで選ぶのは少し待ってください。公務員の仕事も様々で、社会のために働くという使命感が求められます。

まずは公務員がどんな仕事をするのかをよく調べて、自分の価値観と合っているかを考えてみましょう。
Q. 就職せず、フリーターになるのは危険?
A.あまりおすすめできません
はっきりした計画なしにフリーターになるのは、経済的に不安定だったり、将来正社員になりたいと思ったときに不利になったりする可能性があるためおすすめしません。
しかし、「資格の勉強に集中するため」や「短期の仕事でいろんな経験を積むため」といった明確な目的があるなら、戦略的な選択肢にもなり得るでしょう。

その場合も、生活費をしっかり準備しておくことが大切です。
7.やりたい仕事が見つからないときは診断ツールを活用しよう
「やりたい仕事が見つからない」という悩みは、求職者の過半数が抱える悩み事です。完璧な天職を求めすぎたり、自分の強みや価値観を理解できていないことが主な原因となっています。
解決のカギは、「やりたくないことリスト」で選択肢を絞り、Will-Can-Mustフレームワークで自分を整理し、適職診断ツールや第三者の意見を活用することです。
重要なのは、完璧な答えを一度に見つけようとせず、興味のある分野の情報収集や短期の仕事での「お試し」など、小さな行動から始めることです。やりたい仕事は見つけるものではなく、行動を通じて育てていくものといえるでしょう。