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フリーターの年収は平均いくら?|手取り額・正社員との生涯賃金の差を解説

フリーターの平均年収の実態や、将来のキャリアに不安を感じていませんか。

この記事では、公的なデータを基にフリーターの収入事情を解説します。

単なる金額だけでなく、働き方の持続可能性や社会保険といったセーフティネットの重要性にも焦点を当てます。

将来の不安を解消し、納得のいくキャリアを築くための具体的なステップを一緒に見ていきましょう。

この記事を読んでわかること
  • 公的データに基づくフリーターの平均年収と手取り額
  • 正社員との生涯年収や社会保険制度の具体的な違い
  • 年収を上げるために意識すべき「年収の壁」と具体的なキャリア戦略
目次

1.そもそも「フリーター」とは?

「フリーター」という言葉は日常的によく使われますが、どのような人を指すのか、実は国によって一定の定義が示されています。

今後のキャリアを考える上で、まずは言葉の正確な意味を知っておくことが大切です。

厚生労働省による「フリーター」の定義

厚生労働省では、フリーターを次のように定義しています。

  • 年齢が15歳から34歳の若者
  • 雇用形態がパートタイマーまたはアルバイトである者(女性は未婚者)
  • 現在就業しておらず、パート・アルバイトの仕事を希望している者

ポイントは「年齢(若年層)」「雇用形態(非正規雇用)」です。

この定義から、学生や主婦(主夫)の方はフリーターには含まれません。

出典:厚生労働省「平成15年版 労働経済の分析」

「パートタイマー」「ニート」との違い

よく似た言葉との違いを整理すると、より理解が深まります。

  • パートタイマーとの違い
    主に、家計の補助などを目的に働く主婦(主夫)の方を指す場合が多く、上記の国の定義上はフリーターと区別されています。
  • ニートとの違い
    ニート(NEET)は、就学・就労・職業訓練のいずれも行っていない人を指します。働く意思があるフリーターとは、この点で明確に異なります。

このように、フリーターとは若者が、正社員以外の働き方で生計を立てている状態を指す言葉と理解するとよいでしょう。

ご自身の現在の働き方を客観的に把握することは、将来のキャリアプランを設計するための大切な第一歩となります。

2.フリーターの年収のリアル|平均額と手取りをデータで解説

【データで見る】フリーターの平均年収と年齢別の推移

フリーター(非正規雇用)の平均年収
203
万円
※アルバイトやパートで生計を立てる方の実態

まず、フリーターの年収について、客観的なデータから見ていきましょう。

国税庁が発表している「民間給与実態統計調査」によると、正社員やパート、アルバイトなどを含む給与所得者全体の平均給与は約458万円です。

その中で、アルバイトやパートといった非正規雇用で生計を立てるフリーターの平均年収は、約203万が実態とされています。

この記事では、この最も信頼性の高い公的な数値を基に、フリーターの平均年収の実態を「約200万円」として解説を進めていきます。

参考:国税庁「民間給与実態統計調査」

手取り16万円での一人暮らしは可能?生活費シミュレーション

では、手取り月収が約16万円の場合、一人暮らしをすることは現実的に可能なのでしょうか。

都心部を少し離れたエリアに住むことを想定し、一般的な生活費の内訳をシミュレーションしてみましょう。

【シミュレーション】手取り16万円の生活費内訳(一例)

  • 家賃:55,000円
  • 食費:35,000円
  • 水道光熱費:10,000円
  • 通信費(スマホ・ネット):8,000円
  • 交通費:5,000円
  • 日用品・雑費:5,000円
  • 医療費:5,000円
  • 娯楽・交際費:20,000円

合計支出: 148,000円

実現可能性についての考察

上記のシミュレーションでは、合計支出が148,000円となり、計算上は8,000円が手元に残る計算になります。

このため、「一人暮らしは不可能ではない」というのが一つの結論です。

しかし、これはあくまで日々の生活を切り詰めてやりくりした場合の数字です。

残った8,000円の中から、将来のための貯金や、スキルアップのための自己投資、さらには冠婚葬祭や急な病気・ケガといった予期せぬ出費にも備えなければなりません。

このシミュレーションは、フリーターという働き方で一人暮らしを続けることの、決して楽ではない現実的な側面を示しています。

日々の生活を楽しむゆとりや、将来への安心感を持つためには、収入のベースアップが重要な課題となります。

だからこそ、長期的な視点で自身のキャリアプランを設計し、収入を増やすための具体的な行動を起こすことが大切になるのです。

時給・労働時間別の手取り月収シミュレーション

では、年収200万円の場合、手取りの月収はどのくらいになるのでしょうか。

仮に時給1,200円で、1日8時間、月に21日働いた場合をシミュレーションしてみましょう。

時給1,200円の収入シミュレーション
この条件で働いた場合…
時給1,200円 × 8時間/日 × 21日/月
月収(総支給額)
201,600
年収(総支給額)
2,419,200

ここから所得税や住民税、社会保険料(年収が約130万円を超える場合)が引かれるため、手取り額は総支給額の約8割程度になります。

つまり、手取りの月収は約16万円が目安となります。

3.見過ごせない正社員との差|生涯年収とセーフティネットの違い

生涯で数千万円以上の差?正社員との生涯年収比較

生涯で数千万円以上の差?正社員との生涯年収比較

フリーターと正社員の最も大きな違いの一つが、生涯にわたって得られる収入の総額、「生涯年収」です。

フリーターは年齢を重ねても昇給や賞与(ボーナス)が見込めないケースが多く、勤続年数に応じた収入アップが期待しにくいのが現実です。

一方、正社員は定期的な昇給や賞与、退職金制度などが整っている場合が多く、長期的に見ると収入に大きな差が生まれます。

データによっては、その差は数千万円から1億円以上になるともいわれています。

参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)「ユースフル労働統計-労働統計加工指標集-2024年版

年収額以上に重要な「社会保険」というセーフティネット

年収額以上に重要な「社会保険」というセーフティネット

年収の額面以上に、働き方の安定性を左右するのが「社会保険」の存在です。

正社員の場合、厚生年金や健康保険に加入し、保険料の半分を会社が負担してくれます。

これにより、将来受け取る年金額が増えるだけでなく、病気やケガで働けなくなった際の「傷病手当金」や、失業した際の「失業保険(雇用保険)」の給付も手厚くなります。

フリーターの働き方では、これらのセーフティネットが不十分な場合があり、万が一の事態に直面した際に生活が不安定になるリスクを抱えています。

4.フリーターが知っておくべき「年収の壁」とは?

フリーターが知っておくべき「年収の壁」とは?

税金の壁(103万円の壁)

年収が103万円を超えると、所得税が発生します。また、親や配偶者の扶養から外れるため、家族全体の税負担が増える可能性があります。

扶養の範囲内で働きたい場合は、この「103万円の壁」を意識する必要があります。

社会保険の壁(130万円の壁)

年収が130万円(条件によっては106万円)を超えると、社会保険への加入義務が発生し、保険料を自分で支払う必要が出てきます。

これにより、年収は増えても手取り額が一時的に減ってしまう「働き損」の状態になる可能性があります。

ただし、社会保険に加入することは、将来の年金額が増えたり、保障が手厚くなったりといったメリットもあるため、長期的な視点で判断することが大切です。

なお、社会保険の適用範囲は段階的に拡大されており、2024年10月からは従業員数51人以上の企業も対象となります。こうした法改正の動向も働き方を考える上で重要です。

5.フリーターが年収を上げるための具体的な5ステップ

フリーターが年収を上げるための具体的な5ステップ

将来の安定と収入アップを実現するためには、短期的な視点と中長期的な視点を組み合わせた、計画的なステップを踏むことが重要です。

ここでは、その具体的な5つのステップを解説します。

ステップ1:現状の働き方で収入を最大化する

まずは、現在の働き方の範囲で、すぐに着手できることから収入を増やす方法を考えます。

具体的には、より時給の高い仕事を探したり、深夜手当や休日手当がつく時間帯にシフトを入れたり、複数の仕事を掛け持ちしたりといった方法が考えられます。

これは、次のステップに進むための資金を確保するという意味でも重要です。

ステップ2:資格を取得して専門性を高める

次に、自身の市場価値を客観的な形で証明するためのステップです。

例えば、事務職を目指すなら日商簿記やMOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)、IT業界に興味があるならITパスポートなど、目指す業界や職種に関連する資格を取得することで、専門性と学習意欲をアピールできます。

これは、未経験からの就職活動において大きな武器となります。

ステップ3:市場価値を高める「ポータブルスキル」を身につける

資格のような専門性に加え、業種や職種が変わっても通用する「ポータブルスキル」を意識的に磨くことも大切です。

例えば、お客様への提案で培った「課題解決能力」や、後輩の指導で身につけた「リーダーシップ」など、これまでのアルバイト経験を振り返り、自身の強みとして言語化できるように準備しておきましょう。

ステップ4:正社員登用制度のあるアルバイト先を選ぶ

もし現在のアルバイト先に満足しており、その仕事を続けたいという気持ちがあるなら、「正社員登用制度」の有無を確認してみましょう。

この制度がある職場では、アルバイトとしての勤務態度や成果が評価されれば、正社員としてステップアップできる可能性があります。

働き慣れた環境で、安定したキャリアを築くための現実的な選択肢の一つです。

ステップ5:正社員就職で、キャリアの安定と成長を目指す

そして、最も確実かつ効果的に年収を上げ、キャリアの安定を図る最終目標が「正社員就職」です。

安定した月給や賞与、手厚い社会保険や福利厚生はもちろん、研修などを通じて継続的にスキルアップできる機会も得られます。

自身のキャリアを主体的に設計していく「キャリアデザイン」の観点からも、正社員という選択肢は非常に重要です。

掛け持ちしたりといった方法が考えられます。

6.将来の安定を選ぶ|フリーターから正社員になるためのポイント

ポイント

まずは自己分析で「自分だけの強み」を見つける

正社員就職を目指す第一歩は、自己分析です。

これまでのアルバイト経験などを通じて、何が得意で、何にやりがいを感じるのかを深く掘り下げてみましょう。

自分では当たり前だと思っていることの中に、企業から評価される「自分だけの強み」が隠れているかもしれません。

未経験からでも挑戦しやすい職種を知る

「特別なスキルがないから…」と不安に感じる必要はありません。

人手不足が深刻な業界や、ポテンシャルを重視する「未経験者歓迎」の求人は数多く存在します。

例えば、営業職や販売・サービス職、事務職、ITエンジニアなどは、未経験からでもキャリアをスタートしやすい代表的な職種です。

まずは情報収集から始めてみましょう。

7.フリーターの年収事情を理解し、キャリアを選択していこう

この記事では、フリーターの平均年収という現実的なデータから、正社員との生涯年収や社会保険制度の違い、そして収入を上げるための具体的なキャリア戦略について解説しました。

重要なのは、目先の収入額だけでなく、将来にわたって持続可能で、安心できる働き方を選択することです。

この記事が、自身のキャリアをデザインし、納得のいく未来へ踏み出すための一助となれば幸いです。

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