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【例文付き】ホテルの志望動機の書き方|自己分析と業界研究のコツ

ホテル業界への就職・転職を目指す際、避けて通れないのが「志望動機」の作成です。

多くの人が「サービスに感動した」「ホスピタリティに憧れて」といった理由を挙げますが、採用現場の実情として考えると、それだけでは採用担当者の印象に残りにくいのが現実です。

この記事では、なぜ「憧れ」だけでは不十分なのかという業界背景から、自己分析に基づいたありきたりを脱却する志望動機の作成ステップまでを、具体的な例文と共に解説します。

この記事を読んでわかること
  • 志望動機を構成する3つの必須要素
  • 「原体験」を掘り起こす自己分析の4ステップ
  • 職種別・強み別で使える志望動機の例文とNG例

1.ホテル業界の志望動機、「憧れ」だけではなぜ不十分なのか?

ホテル業界の志望動機、「憧れ」だけではなぜ不十分なのか?

「あのホテルでの素晴らしい体験」は志望動機として重要なきっかけですが、それだけでは「消費者」としての感想に留まってしまいます。

採用担当者が知りたいのは、「提供者」として働く覚悟と具体的な貢献意欲です。

好調な需要とホテル業界の課題

現在、ホテル業界はインバウンド需要の好調などを背景に、全産業の中でも特に採用意欲が高い状態にあります。

日本最大手の信用調査会社である帝国データバンクの調査によると、2024年度の正社員採用予定者数が最も多い業種は「旅館・ホテル」でした。

一方で、厚生労働省の労働経済動向調査によると、「宿泊業・飲食サービス業」は深刻な人手不足が続く、構造的な課題を抱えています。この「高い採用意欲」と「深刻な人手不足」という背景こそが、採用側が志望動機を厳しく見る理由です。

企業側は、「憧れ」だけで入社し、理想と現実のギャップで早期離職してしまうことを恐れています。

参考|帝国データバンク:2024年度の雇用動向に関する企業の意識調査
参考|厚生労働省:労働経済動向調査(令和7年5月)の概況

「消費者」目線から「提供者」目線への転換が鍵

ホテルでの業務は華やかな表舞台だけではありません。

採用担当者は、地道な準備、不規則なシフト、時には体力的な負担といった「仕事のリアル」を理解した上で、それでも「なぜこの仕事がしたいのか」という強い動機を持つ人材を探しています。

そのため、「サービスを受けて感動した」という消費者目線から、その感動を自分がどう提供していきたいかという提供者目線への転換を、志望動機で示す必要があります。

2.ホテルの志望動機を構成する3つの必須要素

Will-Can-Must フレームワーク
Will:価値観
なぜ「接客業」か?
Must:業界理解
なぜ「ホテル」か?
Can:貢献意欲
なぜ「このホテル」か?

説得力のある志望動機は、多くの場合、3つの要素で論理的に構成されています。

これは、キャリアデザインで用いられる「Will-Can-Must」のフレームワークに当てはめて考えると整理しやすくなります。

要素1:なぜ「接客業」なのか(Will:価値観)

「人を喜ばせたい」「誰かの役に立ちたい」という、自身の根源的な価値観や動機(Will)です。

これは志望動機の土台となる部分です。

要素2:なぜ「ホテル業界」なのか(Must:業界理解)

数ある接客業の中で、なぜレストランや小売ではなく「ホテル業界」を選んだのか(Must)。

ホテルの特性(例:お客様の滞在全体をサポートする、非日常を提供するなど)と、自身の価値観がどう結びつくのかを説明します。

要素3:なぜ「そのホテル」なのか(Can:貢献意欲)

業界の中でも、競合他社ではなくなぜ「そのホテル」でなければならないのか

企業理念への共感や、独自のサービスへの魅力、そして自身の強み(Can)を活かしてどう貢献できるかを具体的に示します。

3.「ありきたり」を脱却する志望動機の作成4ステップ

志望動機の作成4ステップ
STEP 01
自己分析 原体験を
掘り起こす
STEP 02
企業研究 独自の魅力を
探す
STEP 03
思考整理 Will-Can
Must
STEP 04
文章化 PREP法で
組み立て

3つの要素を整理するため、具体的な4つのステップで思考を深掘りしていきます。

ステップ1:自己分析で「原体験」を掘り起こす

競合する上位記事の多くが「原体験」の重要性を指摘しています。

原体験とは、志望動機の核となる、過去の具体的な実体験のことです。

「なぜ人を喜ばせたいと思ったのか?」を自問し、過去のアルバイト経験やサークル活動などで、実際に他者から感謝されたり、課題を解決したりした具体的なエピソードを書き出します。

ステップ2:企業研究で「そのホテル」だけの魅力を探す

応募先のホテルが、他のホテルと何が違うのかを徹底的に調べます。

公式サイトやIR情報、口コミサイトなどを活用し、「企業理念」「ターゲット顧客層」「独自のサービス」「人材育成の方針」などを比較検討します。

ステップ3:Will-Can-Mustのフレームワークで思考を整理する

ステップ1(原体験=Will)とステップ2(企業研究=Must)で見つけた要素を、自身のスキルや強み(Can)と結びつけます。

例えば、「(Will)原体験で培った課題解決能力」と「(Can)自身の語学力」を、「(Must)貴社のインバウンド顧客向け新サービス」で活かしたい、というように繋げます。

この時、「ホスピタリティ」といった抽象的な言葉を使う場合は、「心からのおもてなし」といった辞書的な定義を踏まえつつ、自分なりの具体的な行動に落とし込むことが重要です。

ステップ4:PREP法で論理的な文章に組み立てる

思考が整理できたら、PREP法を用いて文章化します。

PREP法とは、「Point(結論)」「Reason(理由)」「Example(具体例)」「Point(結論)」の順で構成する手法です。論理的で伝わりやすい文章を作成するときに使います。

PREP法

1.Point(結論):私が貴社を志望する理由は〇〇です。
2.Reason(理由):なぜなら、〇〇という原体験から、〇〇というホテル業界の仕事に魅力を感じているためです。
3.Example(具体例):特に貴社の〇〇という点に共感しており、私の強みである〇〇を活かせると考えます。
4.Point(結論):以上の理由から、貴社の一員として〇〇の分野で貢献したく、強く志望いたします。

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4.【職種・強み別】ホテルの志望動機 例文集

【職種・強み別】ホテルの志望動機 例文集

ここでは、上記のステップに基づいた具体的な例文を紹介します。

ただし、これらの例文をそのままコピーして使用することは避けてください。他者と内容が似通ってしまったり、ありきたりだと判断されるおそれがあります。自身の具体的なエピソードに書き換えることで、オリジナリティのある志望動機になります。

職種別の例文(フロントスタッフ)

(Point)お客様一人ひとりに寄り添い、旅の始まりと終わりを最高の体験にするフロントスタッフとして貢献したいと考え、志望いたしました。

(Reason)学生時代にカフェのアルバイトで、常連のお客様の好みを記憶し、先回りしたサービスを心がけていた経験があります。

(Example)ある時、お客様が次の予定で困っている様子に気づき、即座に交通機関や代替案を調べてご提案したところ、「あなたのおかげで助かった」と深く感謝いただけました。
この経験から、マニュアルを超えた対応でお客様の課題を解決することにやりがいを感じています。
貴社の「お客様の期待を超える感動を」という理念は、まさに私が目指すサービス像と一致します。

(Point)入社後は、この傾聴力と提案力を活かし、貴社の顔として信頼されるスタッフを目指します。

アピールしたい強み別の例文(語学力)

(Point)自身の語学力と異文化理解力を活かし、多様化する国内外のお客様に快適な滞在を提供できると考え、貴社を志望します。

(Reason)留学経験で培った英語力と、様々な国籍の友人と交流する中で養った柔軟な対応力(Can)に自信があります。

(Example)特に貴社が注力されているインバウンド向けの文化体験プログラムは、単なる宿泊施設の提供に留まらない点に強く惹かれています。
私の強みを活かし、海外のお客様と日本文化の架け橋となるような、記憶に残るホスピタリティを提供できると確信しております。

(Point)語学力だけでなく、貴社のサービス哲学を深く学び、すべてのお客様に選ばれるホテルづくりに貢献したいです。

経験者(転職)の場合の例文

(Point)現職の〇〇(例:セールス)で培った顧客折衝能力と、ホテル業界での実務経験を活かし、貴社のMICE(会議・研修など)事業の拡大に即戦力として貢献できると考え、志望いたします。

(Example)現職では、〇〇という課題に対し、〇〇を実行し、成約率を前年比〇%改善させた実績があります。
前職のホテル勤務で得た現場感覚と、現職の法人営業スキルを融合させ、貴社の〇〇という強みをさらに発展させられると確信しております。

(Point)これまでの経験を活かし、即戦力として貴社の売上向上に尽力する所存です。

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5.これは避けたい! ホテルの志望動機 NG例文

これは避けたい! ホテルの志望動機 NG例文

採用担当者を悩ませる「ありきたり」なNG例文には共通点があります。

ここでは、志望動機を話す際に注意すべきポイントを3つ紹介します。

NG例1:「憧れ」や「感動した」という感想に終始している

貴社のホテルに宿泊した際、素晴らしいサービスに感動しました。私もあのような素敵なホテルで働きたいと思い、志望しました。

NG理由

宿泊客としての感想であり、なぜ「働く側」になりたいのか、どう貢献できるのか(Can)が伝わりません。

NG例2:どのホテルにも当てはまる内容になっている

ホスピタリティを大切にする社風に惹かれました。人を喜ばせることが好きなので、貴社で頑張りたいです。

NG理由

「なぜ、そのホテルなのか」という企業研究(Must)が不足しています。

企業理念やサービスの違いに一切触れていないため、熱意が低いと判断される可能性があります。

NG例3:待遇や福利厚生面への言及が中心になっている

充実した研修制度と福利厚生に魅力を感じました。安定した環境で長く働けると考え、志望しました。

NG理由

働く上で重要な要素ですが、志望動機の中心に据えるべき内容ではありません。

「会社に何をしてほしいか」ではなく、「会社に何を貢献できるか」を伝える場であることを認識する必要があります。

6.志望動機は自己分析と企業理解を繋ぐ「設計図」

志望動機は自己分析と企業理解を繋ぐ「設計図」

ホテル業界は、高い採用意欲と人手不足という背景から、「なぜここで働きたいのか」という本質的な動機を強く求めています。

「憧れ」や「感動」というきっかけを大切にしつつも、それを「原体験」まで深掘りする自己分析(Will)と、応募先の独自性を徹底的に調べる企業研究(Must)が必要です。

そして、原体験・企業研究を自身のスキルや強み(Can)と結びつけることができれば、応募先の採用担当者に響く志望動機が作成できます。

志望動機とは、過去の経験と未来の貢献を繋ぐ、重要な「設計図」と言えるでしょう。

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