不動産業界の志望動機の例文を探していても、表面的な言葉ばかりだと感じていませんか。
「給料」や「安定」といった本音をどう伝えればいいか悩むこともあるでしょう。
この記事では、単なる例文集ではなく、市場データやキャリア理論に基づき、説得力のある志望動機を論理的に構築する方法を解説します。
- 不動産業界の志望動機で伝えるべき「3つの柱」
- 市場データやキャリア理論で説得力を増す論理構築術
- 「給料」や「離職率」など本音の動機を強みに変える伝え方
1.まずは結論から。不動産業界の志望動機で伝えるべき「3つの柱」

不動産業界に限らず、採用担当者が志望動機で確認したいのは、次の3つのポイントです。
- なぜ他業界ではなく、不動産業界なのか
- なぜ他社ではなく、その会社なのか
- 入社後、どのように活躍・貢献してくれるのか

この3点を論理的に結びつけることが、説得力のある志望動機を作成する第一歩となります。
① なぜ不動産業界なのか(業界選択の理由)
不動産業界が持つ社会的意義(例:人々の生活基盤を支える)や、将来性(例:都市開発、DX化)、あるいは自身の経験と業界の接点など、業界全体に魅力を感じる理由を明確にします。
② なぜ「その会社」なのか(企業選択の理由)
業界の中で、特に応募先企業を選んだ理由です。その企業の強み、理念、事業内容(例:特定の分野に強みがある、地域密着型であるなど)と、自身の価値観や目標がどう一致するかを具体的に示します。
③ どのように貢献できるか(自己PR)
自身のスキルや経験が、応募先企業のどのような業務で活かせるのかを伝えます。過去の実績を交えながら、入社後に活躍できる「根拠」を提示することが重要です。
2.柱①②「なぜ不動産業界か」を補強する。データで語る業界の魅力と将来性

「人々の生活を支えたい」といった動機は立派ですが、それだけでは抽象的です。
なぜ不動産業界なのかを補強するために、客観的なデータを取り入れると説得力がアップします。
業界の経済的インパクト(例:市場規模)
例えば、国土交通省の「不動産業ビジョン2030」のような公的な資料を参照し、「不動産業が国内GDPの約1割を占める基幹産業である点に、社会を支える大きな可能性を感じた」というように、自身の動機と事実を結びつけることができます。
現在の市場動向(例:不動産価格指数)
また、「全宅連の不動産市場動向データ(2025年10月)によれば首都圏の成約価格は前年同月比で上昇傾向が続くなど、依然として高い需要があり、資産価値の創造という面で貢献したいと考えた」など、具体的な市場データを引用することで、業界研究の深さを示すことができます
参考|国全宅連の不動産市場動向データ(2025年10月)土交通省 :不動産価格指数
3.柱③「どう貢献できるか」を見つける。キャリア理論を使った自己分析

「貢献できること」を明確にするには、客観的な自己分析が不可欠です。ここでは、キャリアコンサルティングで用いられる2つのフレームワークを解説します。
「Will-Can-Must」で考える自分の立ち位置
これは、キャリアを考える際の3つの円で知られる理論です。
- Will(やりたいこと):自身の価値観や興味
- Can(できること):保有するスキルや経験
- Must(求められること):企業や社会から求められる役割

この3つの円が重なる部分こそ、最も力を発揮できる領域です。志望動機では、特に「Can(できること)」と「Must(企業の求める役割)」を一致させることが重要です。
STARメソッドで経験を「強み」に変える
過去の経験を伝える際は、STARメソッドという手法で整理すると、具体的な強みとして伝わります。

「前職で営業を頑張りました」ではなく、「(S)前職の営業で、(T)新規開拓が伸び悩む課題に対し、(A)訪問リストを再整備し、(R)結果として前年比120%の成果を出した」と語ることで、再現性のあるスキルとしてアピールできます。
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志望動機と表裏一体となるのが「自己PR」です。自身の強みをより効果的にアピールし、採用担当者に「この人と働きたい」と思わせるための書き方を、以下の記事で4つのステップに分けて詳しく解説しています。
4.【職種・経験別】不動産業界の志望動機 例文集

ここでは、上記のポイントを踏まえた志望動機の例文を解説します。
【例文1】不動産営業(未経験)|熱意とポータブルスキルをアピール
「前職(例:飲食業)で培った傾聴力と信頼関係構築力を活かせると考え、不動産営業職を志望しました。
不動産は高額な商材であり、お客様の不安に寄り添う力が不可欠だと理解しています。(STARメソッドでの具体例)。
貴社の『お客様第一主義』の理念のもと、前職で培ったこの強みを活かし、一日も早く戦力となれるよう尽力します。」

未経験であっても、前職の経験から「持ち運び可能なスキル(ポータブルスキル)」を抽出し、不動産業界で求められる力(例:傾聴力)と結びつけると有効です。
【例文2】不動産営業(経験者)|即戦力となる実績をアピール
「前職では主に投資用ワンルームマンションの販売に従事し、年間(〇〇円)の売上実績を上げてまいりました。
特に(STARメソッドでの具体例)といった工夫で、顧客満足度と成果の両立を追求しました。
今後は、個人の居住用物件という、よりお客様の人生に深く寄り添う分野で経験を積みたいと考え、その領域に強みを持つ貴社を志望しました。」

定量的な実績(数字)と、具体的な行動(STAR)が明確です。さらに、なぜ同業他社ではなく「貴社」なのかという理由(事業領域の違い)が示されています。
【例文3】賃貸仲介|顧客視点と信頼構築力をアピール
「(学生時代の経験など)で、多様なニーズを持つお客様に最適な提案をすることにやりがいを感じ、賃貸仲介職を志望しました。
貴社が(例:特定のエリアや学生・単身者向け物件)に強みを持ち、地域密着で深い信頼を得ている点に強く惹かれています。(STARメソッドでの具体例)。
お客様の新生活のスタートを誠実にサポートし、貴社の信頼の一端を担いたいです。」

「なぜ賃貸仲介か」という動機と、「なぜその会社か」(地域密着など)がリンクしています。
【例文4】開発・仕入れ|分析力と交渉力をアピール
「前職(例:金融機関)で培った市場分析力と、利害関係者との調整・交渉力を活かし、不動産開発(用地仕入れ)というスケールの大きな仕事に挑戦したいと考え志望しました。
特に貴社が手がける(具体的なプロジェクト名)に感銘を受け、社会的な価値を創造する仕事に魅力を感じています。
(STARメソッドでの分析・交渉の具体例)。これまでの経験を活かし、貴社のプロジェクト推進に貢献します。」

開発・仕入れ職に求められる専門スキル(分析力、交渉力)を、前職の経験(Can)と結びつけてアピールできています。
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志望動機のイメージが固まったら、それを履歴書全体に落とし込みましょう。以下の記事では、採用担当者の視点を踏まえた履歴書の作成ルールから、評価されるための戦略までを網羅的に解説しています。
5.「給料」や「安定」はNG? 本音の動機を強みに変える伝え方

「給料が高いから」「安定していそうだから」といった動機は、本音として持っていても当然のことです。
しかし、それをそのまま伝えると「条件さえ良ければ他社でも良いのでは?」と受け取られかねません。
大切なのは、その本音を「強み」に転換するロジックです。
「給与・安定」は当然の動機。調査データが示すZ世代のホンネ
事実、株式会社ペンマークの【Z世代の就活意識調査】(2024年)では、企業選びで最も重視する項目として「給与・待遇が良い」(78.1%)が1位となっています。

また、マイナビの「2026年卒大学生就職意識調査」でも「安定している会社」「給料が良い」を選ぶ学生が増加傾向にあります。
これは恥ずべきことではなく、働く上で当然の権利意識です。問題は、それをどう「仕事への意欲」と結びつけるかです。
「給与」を「成果への意欲」に変換するロジック
不動産業界、特に営業職は成果主義(インセンティブ)の側面が強い場合があります。
NG例:「給料が高いから志望しました。」
OK例:「成果が正当に評価・還元される環境に魅力を感じています。前職で培った(〇〇)のスキルを活かし、早期に成果を出すことで貴社に貢献し、その結果として正当な評価(給与)を得たいと考えています。」

「給与」を「成果への意欲」や「正当な評価」という言葉に置き換えることで、主体的な意欲として伝わります。
6.高い離職率をどう捉えるか? 業界の「厳しさ」を踏まえた覚悟の示し方

不動産業界は、一部で離職率の高さが指摘されることもあります。
このネガティブに見える情報を、あえて志望動機に組み込むことで、深い覚悟を示すことができます。
データで見る不動産業界の離職率
厚生労働省の調査(令和4年3月卒業者)によれば、新規大卒就職者の3年以内離職率は「不動産業、物品賃貸業」で38.3%となっており、全産業平均(33.8%)と比較して高い傾向にあります。
この「事実」から目をそらさず、自分なりの解釈を持つことが重要です。
参考|厚生労働省:新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)
ネガティブ情報を「覚悟」と「貢献意欲」に変える伝え方
NG例:「離職率が高いと聞きましたが、自分は大丈夫です。」(根拠がない)
OK例:「不動産業界は成果が求められる厳しい環境であり、それ故に人の入れ替わりも他業界より多いと(データなどで)認識しています。しかし、私には前職で培った(例:高いストレス耐性、目標達成への執着心)があります。この厳しさを乗り越え、貴社で長く活躍し続けることで、専門性を高め貢献したいと考えています。」

- 「厳しさを理解している」という客観的視点
- 「その上で自分はこう乗り越えられる」という根拠(Can)
- 「だから長く働きたい」という意思(Will)
- 示すことで、単なる憧れではない、本気の志望動機として際立ちます。
7.避けるべき志望動機のNGパターン

最後に、どんなに熱意があっても、伝え方一つで評価を下げてしまう可能性のあるNGパターンを紹介します。
NG例1:「学びたい」という受け身の姿勢
「貴社で学び、成長したいです」という表現は、一見謙虚に見えますが、企業は学校ではありません。
あくまで「自分が持つスキル(Can)で、どう貢献できるか」をアピールする場です。
「学ぶ」姿勢は当然のこととし、まずは「貢献」の意思を前面に出しましょう。
NG例2:待遇面の話が中心になっている
前述の通り、「給与」や「安定」を「成果への意欲」に変換することは重要ですが、志望動機の中心が待遇面(給与、福利厚生、残業時間など)になってしまうと、自己中心的な印象を与えます。
これらはあくまで「貢献」の先にある結果として捉えましょう。
NG例3:どの企業にも当てはまる抽象的な内容
「貴社の将来性に惹かれました」「社会貢献がしたいです」といった理由は、具体的ではありません。
なぜその会社の将来性なのか、なぜ不動産業界での社会貢献なのか、という「自分ごと」としての具体的なエピソードや分析が不可欠です。
8.不動産業界の志望動機は3点を論理的に結びつける
不動産業界の志望動機を作成する上で重要なのは、既存の例文を暗記することではありません。
- 客観的なデータ(市場規模や動向)で業界選択の理由を補強し、
- キャリア理論(Will-Can-Must, STAR)で自己分析を深め、
- 「給料」や「離職率」といった本音や現実を直視し、それを「貢献意欲」や「覚悟」に転換する
この3点を論理的に結びつけることで、初めて「自分自身の言葉」で語る、説得力のある志望動機が完成します。
ぜひ、この記事を参考にご自身の経験を棚卸ししてみてください。