大学院生の履歴書は「修了」が命!研究成果の書き方【見本付】の画像

大学院生の履歴書は「修了」が命!研究成果の書き方【見本付】

大学院生の内定率は約90%という高い水準にあり、市場価値は非常に高い状態です。

しかし、学部生と同じ感覚で履歴書を作成してしまうと、「常識がない」「扱いづらい」といった誤解を招くリスクがあります。

この記事では、労働法規や実務マナーに基づく「形式的なミスの回避」と、採用市場の論理に基づく「研究成果のビジネス翻訳」の両面から、書類選考を確実に突破するための履歴書作成術を解説します。

参考:マイナビ|「2025年卒大学生活動実態調査」

この記事を読んでわかること
  • 「卒業」と「修了」の違いなど、大学院生が絶対に守るべき3つの表記ルール
  • 「単位取得退学」や「留学」など、複雑な経歴の正しい書き方
  • 専門的な研究内容を、人事担当者に伝わる「ビジネススキル」へ変換する方法

1.【鉄則】学部生とは違う!大学院生が守るべき3つの表記ルール

Rule 01

「卒業」はNG!

「修了」の絶対ルール
Rule 02

長くても省略不可!

「正式名称」の重要性
Rule 03

年号の統一

計算ミス防止

大学院生の履歴書において、最も注意すべきは「公的書類としての正確性」です。

研究に没頭するあまり、社会人としての基本的なマナーをおろそかにしていると判断されないよう、以下のルールを徹底してください。

「卒業」はNG!「修了」の絶対ルール

学部課程を終えることは「卒業」と言いますが、修士課程や博士課程を終えることは「修了」と表現します。これは学位規則に基づく厳密な区別です。

面接などの口頭では「院卒」という言葉を使うこともありますが、履歴書という公的な文書においては、必ず「修了」と記載してください。

この使い分けができていないだけで、採用担当者に「基本的な言葉の定義を疎かにしている」という印象を与えかねません。

区分正しい表記間違った表記
学部〇〇大学 〇〇学部 卒業修了
修士課程〇〇大学大学院 〇〇研究科 修了卒業
博士課程〇〇大学大学院 〇〇研究科 修了卒業

長くても省略不可!「正式名称」の重要性

履歴書の学歴欄では、あらゆる名称を省略せずに記載することが求められます。大学院生の場合、記述が長くなる傾向がありますが、面倒がらずに正式名称を調べて記入しましょう。

よくある間違いとして、「〇〇大学大学院」と書くべきところを、「〇〇大学院」と省略してしまうケースが見受けられます。また、研究科だけでなく、専攻や課程まで書くのが正式なルールです。

NG例:明大 理工学部

OK例:明治大学大学院 理工学研究科 機械工学専攻 博士前期課程

自身の所属が「修士課程」なのか「博士前期課程」なのかは、大学によって呼称が異なります。必ず学生証や大学の公式サイトを確認し、正確な名称を記載してください。

年号の統一と計算ミス防止

履歴書全体を通して、西暦(2026年など)か和暦(令和8年など)のどちらかに統一します。

どちらを使用しても構いませんが、エントリーシートや送付状も含め、すべての書類で統一感を持たせることが重要です。

大学院生は、学部卒業から大学院入学、そして修了と、年号の計算が複雑になりがちです。

特に、浪人や留年、休学などを経ている場合は、計算ミスが起きやすいポイントです。インターネット上の「入学・卒業年度早見表」などを活用し、間違いのないよう確認することをお勧めします。

▼あわせて読みたい

履歴書の基本的な書き方について、さらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。新卒向けの全項目の書き方を網羅的に解説しています。

新卒の履歴書の書き方完全ガイド|全項目の見本&NG例を解説
新卒の履歴書の書き方完全ガイド|全項目の見本&NG例を解説
この記事では、履歴書作成の基本的なルールから各項目の具体的な書き方、採用担当者の方がどのような点を見ているかまで、分かりやすく解説します。
https://riretsuku.jp/media/contents/resume-of-the-new-college-graduate/

2.【ケース別】学歴欄の書き方・完全シミュレーション

学歴欄の書き方・完全シミュレーション

ここでは、大学院生特有の経歴パターンに応じた、具体的な学歴欄の書き方を解説します。

王道パターン:学部卒→修士修了

最も一般的な、学部を卒業してそのまま修士課程へ進んだケースです。

学部の「卒業」と修士の「修了」を明確に書き分けます。なお、学歴欄の最後に「現在に至る」と書く必要はありません(職歴欄で使用する表現です)。

平成〇年 3月 〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 卒業
平成〇年 4月 〇〇大学大学院 〇〇研究科 〇〇専攻 博士前期課程 入学
令和〇年 3月 同上 修了見込み

博士課程・ポスドク・オーバードクターの場合

博士後期課程に進学した場合、単位は取得したものの博士号を取得せずに退学するケースがあります。

この場合、単に「中途退学」と書くと、何か問題があって辞めた(ドロップアウトした)ようなネガティブな印象を与えかねません。

このような場合は、「単位取得退学」または「単位取得満期退学」と記載することで、所定の課程を修め、単位を取得した事実をアピールできます。

※大学によっては「研究指導認定退学」等の呼称を用いる場合もあるため、ご自身の大学の規定を確認してください。

令和〇年 4月 〇〇大学大学院 〇〇研究科 〇〇専攻 博士後期課程 入学
令和〇年 3月 同上 単位取得退学

ポスドク(博士研究員)は「職歴」へ

ポスドクとして大学や研究機関に所属していた期間は、雇用契約を伴うため「学歴」ではなく「職歴」欄に記載します。

下記のように書き、プロの研究者としてのキャリアであることを明確に示しましょう。

令和〇年 3月 〇〇大学 〇〇プロジェクト 博士研究員 入職

留学・休学・編入のイレギュラー対応

留学については、学位取得を目的とした1年以上の正規留学であれば学歴欄に記載します。

夏休みなどを利用した短期の語学留学などは、学歴欄ではなく「自己PR欄」などで経験として触れるのが適切です。

休学については、理由がポジティブなもの(留学や長期インターンシップなど)であれば、カッコ書きで理由を添えることで、空白期間の理由を明確にできます。

病気療養などの場合は、回復して業務に支障がないことを備考欄などで補足する方法もあります。

▼あわせて読みたい

履歴書全体の作成方法について、テンプレートを活用しながら効率的に作成したい方は、こちらの記事をご覧ください。スマホでも完結できる方法を紹介しています。

【無料】スマホの履歴書テンプレート|職種別のアピール方法も
【無料】スマホの履歴書テンプレート|職種別のアピール方法も
本記事では、スマホだけで完結できる無料の履歴書作成ツールやテンプレートの紹介に加え、採用担当者に評価される書き方のコツ、職種別のアピール方法まで、わかりやすく解説します。
https://riretsuku.jp/media/contents/free_smartphone_resume_template/

3.【核心】研究課題を「ビジネススキル」に翻訳する技術

研究課題を「ビジネススキル」に翻訳する技術

専門性の高い研究内容は、そのまま伝えても採用担当者に理解されないことがほとんどです。

キャリア支援の理論では、研究内容そのものではなく、そのプロセスで培った能力を伝えることが重要とされています。

企業が見ているのは「研究成果」ではなく「プロセス」

企業が見ているのは「成果」ではなく「プロセス」

「研究の凄さ」より「課題へのアプローチ」が重要。以下の力は、あらゆるビジネスで通用するスキルです。

仮説検証能力 論理的思考力 粘り強い試行錯誤

企業が知りたいのは、「どれだけすごい研究をしたか」ではなく、「未知の課題に対してどのようにアプローチし、解決策を導き出したか」というプロセスです。

研究活動を通じて培った「仮説検証能力」「論理的思考力」「粘り強い試行錯誤」といった資質は、ビジネスの現場でもそのまま通用するポータブルスキル(持ち運び可能なスキル)です。

これらをアピールするために、専門用語を極力排し、誰にでもわかる言葉で説明する必要があります。

専門用語禁止!「専門外の人にも伝わる」翻訳フレームワーク

研究概要を書く際は、以下の4つのステップで構成すると、ビジネス文書として伝わりやすくなります。

  1. 背景(Why):なぜその研究が必要なのか?(社会課題や業界のボトルネック)
  2. 課題(Task):何が未解明だったのか?(直面した困難)
  3. アプローチ(Action):どうやって攻略したか?(独自の工夫、泥臭い作業)
  4. 成果・貢献(Result):何がわかったか?(社会やビジネスへの貢献可能性)

【文系・理系別】翻訳ビフォーアフター実例

理系の例

Before:タンパク質Xのリン酸化反応における触媒Yの影響解析

After:新薬開発のスピードを2倍にするための、実験プロセスの効率化検証

文系の例

Before:明治期における〇〇派の文学的変遷に関する考察

After:膨大な過去文献のデータ化と分析に基づく、流行の周期性に関する法則の発見

このように、「何をしたか」ではなく「どのような価値を生み出したか」という視点で書き換えることがポイントです。

4.【差別化】TA・学振・学会発表を戦略的に配置する

Teaching Assistant

TAは立派な
「職歴」だ

教育指導経験・
マネジメント能力の証明
職歴または自己PRへ
Research Fellow

学振は
「プロの研究者」の証

予算獲得能力・
プロジェクト推進力
職歴欄に記載必須
Achievements

論文・学会発表の
スマートな扱い

情報の取捨選択・
「別紙参照」の活用
別紙へ誘導する

大学院生ならではの経験であるTA(ティーチング・アシスタント)学振(日本学術振興会特別研究員)への採用は、強力なアピール材料となります。

TA(ティーチング・アシスタント)は立派な「職歴」だ

TAの経験は、単なるアルバイトとは一線を画すものです。大学との雇用契約に基づき、学部生への指導や授業運営の補助を行う業務は、「教育指導経験」や「マネジメント能力」の証明になります。

職歴欄に記載するか、あるいは自己PR欄で「後輩へのわかりやすい指導で授業満足度を向上させた」といった具体的なエピソードとして盛り込むのが効果的です。

学振(特別研究員)は「プロの研究者」の証

学振(特別研究員)に採用されている場合は、国から給与を得て研究を行うプロフェッショナルであるとみなされます。

これは極めて高い競争倍率を勝ち抜いた実績であり、職歴欄に堂々と記載すべき事項です。「研究能力」だけでなく、「予算獲得能力」や「プロジェクト推進能力」の高さを示す証拠となります。

学会発表・論文リストのスマートな扱い

研究実績が多い場合、履歴書の狭いスペースにすべてを書ききろうとすると、文字が小さくなり読みづらくなってしまいます。

履歴書には、代表的な学会発表や論文を1〜2つ記載するにとどめ、「その他の業績については、別紙『研究業績書』をご参照ください」と案内するのがスマートです。

情報の取捨選択ができることも、ビジネススキルのひとつと評価されます。

5.「扱いづらい」を「即戦力」へ!専門性と協調性を両立する書き方

「扱いづらい」を「即戦力」へ!専門性と協調性を両立する書き方

大学院生に対して、「頭でっかちで扱いづらいのではないか」「協調性がないのではないか」といった偏見を持つ採用担当者も少なからず存在します。こうした懸念を払拭する戦略が必要です。

「専門性」×「柔軟性」のハイブリッド戦略

研究で培った「論理性」や「専門性」をアピールするのは当然ですが、それだけでは「扱いにくい」と思われるリスクがあります。

そこで、以下のようなエピソードを組み合わせる「ハイブリッド戦略」が有効です。

ハイブリッド戦略

  • 研究室運営での役割: 後輩の指導や予算管理など、組織への貢献を示すことで「協調性」をアピールします。
  • 共同実験のエピソード: チームで成果を出した経験を通じて「柔軟性」を証明します。

また、実験の失敗や仮説が外れた経験などの「失敗談」をあえて盛り込むのも効果的です。

そこからどう立ち直ったかを語ることで、打たれ強さ(レジリエンス)をアピールでき、完璧主義でプライドが高いというイメージを覆して親しみやすさを演出できます。

博士課程の「空白期間」や「年齢」への対処法

年齢が学部生より高いことは、決してネガティブな要素ではありません。視点を変えて、以下のようにポジティブな要素として言い換えましょう 。

ネガティブをポジティブに変換

  • 年齢が高い → 「落ち着き」や「精神的成熟」がある
  • 社会人経験がある → 実務と理論の両方を知る「即戦力」である

6.大学院生の履歴書|仕上げとチェックリスト

仕上げとチェックリスト

履歴書を提出する前に、以下のポイントを最終確認しましょう。形式的なミスは、それだけで「注意力が足りない」と判断される材料になりかねません。

写真の裏書き: 万が一剥がれた時に備え、裏面に氏名・学校名を記入します

誤字脱字の最終確認: 特に「修了」を「終了」、「課程」を「過程」と書く変換ミスが多発しています。指差し確認を行いましょう。

第三者チェック: 専門外の友人やキャリアセンターに見てもらい、研究内容の説明が伝わるか確認してもらうことが重要です。

7.研究者の誇りを「ビジネスの武器」に変えて内定を掴む

履歴書作成は、単なる事務作業ではありません。それは、大学院で培った「知の探究」というアカデミックな価値を、企業の課題解決という「ビジネスの価値」へと変換する、最初のプレゼンテーションです。

「修了」などの形式的なルールを遵守することは、社会人としての信頼の土台となります。そして、研究プロセスを専門外の人にも伝わる言葉で翻訳することは、自身のポテンシャルを証明する最大の武器となります。

高い内定率が示す通り、社会は論理的思考力と粘り強さを兼ね備えた大学院生を求めています。自信を持って、研究者からビジネスパーソンへの第一歩を踏み出してください。

履歴書・職務経歴書の作成なら
『リレツク』

リレツクはスマホでかんたんに履歴書・職務経歴書が作成できるサービスです!会員登録不要で気軽に作成することが可能なので、ぜひご活用ください。