自分の長所は「協調性」だと思うけど、自己PRでアピールするのはアリ?と、気になる方も多いかと思います。
「主体性がないと思われるのではないか」
「ありきたりで埋もれてしまうのではないか」
自己PRで「協調性」をアピールすることに不安を感じる求職者は少なくありません。
しかし、ビジネスの現場において、組織の成果を最大化するための真の協調性は、求められるスキルの一つです。
本記事では、経済産業省が定める社会人基礎力の定義に基づき、協調性を評価されるビジネススキルへと変換するロジックを解説します。さらに、職種別の言い換え戦略、例文を紹介します。
- 就活生の10人に1人が使う「協調性」で埋没せず、差別化するための戦略
- 経済産業省の定義に基づき、協調性を「主体的な巻き込み力」としてアピールする方法
- 営業、エンジニアなど、職種別の言い換え表現と例文
1.自己PRで「協調性」をアピールするのはアリか?

結論から言えば、自己PRで協調性をアピールするのは「アリ」です。なぜなら、組織で働く上で不可欠な資質だからです。
しかし、単に「周囲と仲良くできます」と伝えるだけでは、数多くの応募者の中に埋もれ、選考を通過するのは困難でしょう。
実は協調性は、伝え方を誤ると主体性がないと判断されるリスクも潜んでいます。
結論:アリだが「差別化」が必須である理由
人材業界のデータによると、就活生の約10.0%が自己PRの強みとして協調性を選択しています。コミュニケーション能力・行動力・企画力などさまざまな強みがあるなかで、第4位として協調性が選ばれているとおり、多くの求職者が協調性をアピールしていることが分かります。

他にも傾聴力・問題解決能力・成長意欲・責任感・計画性・企画力・正確性など、さまざまな強みをアピールしていることが分かりました。多岐にわたる強みのなかで、「協調性」というキーワードは比較的メジャーな内容だといえます。
つまり、採用担当者は日々、膨大な数の応募書類に目を通しているため、ありきたりな仲良くする能力だけを主張しても、記憶に残ることは難しいでしょう。

他の多くの応募者の中に埋没してしまうリスクを避けるためには、独自の定義と具体的なエピソードによる差別化が不可欠です。
参考|日研トータルソーシング: 協調性の自己PR例文と効果的な「言い換え」
多くの人が陥る「受動的な協調性」の罠
多くの求職者が陥りがちなのが、協調性を「受動的な姿勢」として伝えてしまうことです。
×受動的な協調性の例
- 「誰とでも仲良くできます」
- 「喧嘩をしたことがありません」
- 「周りの意見に合わせることが得意です」
これらは、ビジネスの現場では「主体性がない」「指示待ち人間である」というネガティブな評価につながる可能性があります。
企業が求めているのは、波風を立てないことではなく、異なる意見や利害を調整し、組織としての成果を生み出す力です。
したがって、アピールすべきは受動的な協調性(ただ合わせる)ではなく、能動的な協調性(自ら働きかける)となります。
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自己分析をすることで、「自分の強み」を明確にしましょう。自分の持ち味が本当に「協調性」なのか?初めてでも簡単にできる、自己分析の具体的な方法を解説しています。
2.企業が本当に求めている「協調性」の正体(経済産業省モデル)
では、企業が高く評価する能動的な協調性とは、具体的にどのような能力を指すのでしょうか。
ここで指標となるのが、経済産業省が提唱している「人生100年の社会人基礎力」というフレームワークです。
社会人基礎力とは、3つの能力と12の能力要素を内容としつつ、能力を発揮するにあたって、自己を認識してリフレクション(振り返り)しながら、目的、学び、統合のバランスを図ることが、自らキャリアを切りひらいていくことを指します。

つまり、ビジネスの現場では、単に同調するだけでなく、多様な人々とともに目標に向けて協力する力が求められます。
この公的な定義を理解し、自身の経験を紐づけることを意識しましょう。そうすることで、自己PRは主観的な感想から企業視点の説得力あるアピールへと進化します。
参考|経済産業省:社会人基礎力
社会人基礎力における「チームで働く力」とは
社会人基礎力において、協調性はチームで働く力(チームワーク)として定義されています。
これは、多様な人々とともに、目標に向けて協力する力を指します。
ビジネスにおける協調性とは、単なる性格上の優しさではありません。
組織の目標達成のために、立場や意見の異なる他者と関わり、協力関係を築くビジネススキルであると認識する必要があります。
協調性を構成する「6つの要素」
チームで働く力は、さらに以下の6つの要素に分解されます。
自己PRを作成する際は、まず自身の強みがこの6つのどれに当てはまるかを特定しましょう。
そうすることで、漠然とした協調性でなく、解像度の高いアピールが可能になります。
協調性の6要素
- 発信力:自分の意見をわかりやすく伝える力
- 傾聴力:相手の意見を丁寧に聴く力
- 柔軟性:意見の違いや立場の違いを理解する力
- 情況把握力:自分と周囲の人々や物事の関係性を理解する力
- 規律性:社会のルールや人との約束を守る力
- ストレスコントロール力:ストレスの発生源に対応する力
(例)
私の協調性は、異なる意見を持つメンバーの考えを理解する「柔軟性」と、それらを調整して合意形成を図る「発信力」にあります。

このように語ることで、協調性という言葉が、採用担当者に具体的かつ実務的なスキルとして伝わります。
3.【職種別】「協調性」の評価ポイントと言い換えマトリクス

協調性は便利な言葉ですが、抽象度が高く、そのままでは強みが正確に伝わりません。
そのため、志望する職種の業務内容に合わせて、より具体的なビジネス用語に翻訳することが重要です。
例えば、対人折衝が多い営業職と、プロジェクト進行が主の技術職では、求められる連携の質は全く異なります。
ここでは、協調性を職種ごとの評価ポイントに変換し、採用担当者に即戦力として認識してもらうための言い換えテクニックを解説します。
営業・接客職なら| 「関係構築力」と「調整力」
営業や接客業において求められる協調性は、顧客との信頼関係を築く力や、顧客の要望と自社の事情をすり合わせる力です。
言い換えのキーワード
「関係構築力」「調整力」「傾聴力」
アピールポイント
- 顧客の潜在的なニーズを引き出すヒアリング能力
- 社内の開発部門・法務部門と連携して顧客への提案を実現する調整プロセスなど
事務・管理系なら|「サポート力」と「柔軟性」
事務職や管理部門では、組織全体の業務が円滑に進むよう、周囲の状況を察知して動く力が重視されます。
言い換えのキーワード
「状況把握力」「柔軟性」「ホスピタリティ」
アピールポイント
- 突発的なトラブルやイレギュラーな業務が発生した際に、臨機応変に対応してチームの負担を軽減した経験
- 部署間の連携をスムーズにした実績など
エンジニア・技術職なら|「チーム開発力」と「仕様調整」
開発現場において、一人で完結する仕事はほとんどありません。
チームでコードを共有し、仕様変更に対応する力が不可欠です。
言い換えのキーワード
「チーム開発力」「共有・伝達力」
アピールポイント
- コードレビューにおける建設的な議論
- 仕様変更が生じた際のメンバーへの迅速な共有
- デザイナーやディレクターといった他職種との円滑なコミュニケーション能力など
リーダー・企画職なら|「巻き込み力」と「合意形成」
リーダー候補や企画職では、自ら周囲に働きかけ、プロジェクトを推進する力が求められます。
言い換えのキーワード
「巻き込み力」「ファシリテーション力」「合意形成力」
アピールポイント
- バラバラだったメンバーの意見をまとめて共通のゴールを設定した経験
- 関係各所を説得して協力を取り付けたプロセスなど
4.脱・受動的!「主体的な協調性」をアピールする3つの戦略

協調性と主体性は対立する概念ではありません。むしろビジネスにおいては、自ら周囲に働きかけてチームの成果を最大化する主体的な協調性こそが大きな強みとなります。
単に空気を読むだけの姿勢は、時に指示待ちや、事なかれ主義と誤解されるリスクがあります。
ここでは、受動的な印象を払拭し、採用担当者に組織を動かす力があると伝えるための3つの構成テクニックを解説します。
主体的な協調性のアピール戦略
目的志向を示す
自分起点の行動を語る
対立を恐れない姿勢
戦略1:目的志向(何のための協力か)を示す
×「みんなと仲良くしました」
〇「組織の目標を達成するために協力体制を築きました」
このように、単に協調性をアピールするのでなく、目的志向を示すことが重要です。
なぜ、そこで協調性が必要だったのかという背景には、常にビジネス上の課題や目標が存在しているはずです。
そのゴールを共有することが、プロフェッショナルな態度の証明となります。
戦略2:自分起点の行動(Action)を語る
エピソードを語る際は、「話し合いました」「協力しました」という結果だけでなく、「自分は何をしたのか」という具体的なアクションを明記します。
×「みんなで話し合って解決しました」
○「私からミーティングを招集し、全員が発言できるルールを提案しました」
このように、自ら働きかけた行動(Action)を記述することで、主体性が伝わります 。
戦略3:対立(コンフリクト)を恐れない姿勢
真の協調性とは、対立を避けることではありません。
必要な対立を恐れずに議論し、より良い結論を導き出すこと(止揚:アウフヘーベン)です。
「意見が割れた際に、安易な妥協ではなく、双方のメリットとなる第三の案を提示した」
こういったエピソードは、高い調整能力と問題解決能力の証明となります。
5.自己PR作成のフレームワーク(PREP法+STAR法)

抽象的になりがちな協調性を、論理的かつ説得力を持って伝えるには、フレームワークの活用が近道です。
最適な組み合わせは、まず、全体の構成をPREP法で整えます。そして、中核となるエピソードをSTAR法で深掘りする手法です。
結論を先に伝えて論理性を保ちつつ(PREP)、状況・課題・行動・結果を整理して具体性を高める(STAR)。

この2つを掛け合わせることで、採用担当者に伝わる自己PRが完成します。
説得力を生む「PREP法」の基本構成
PREP法とは
- Point(結論):私の強みは、立場の異なる意見を調整し、チームをゴールへ導く協調性です。
- Reason(理由):プロジェクトの進行には、多様な価値観を統合し、全員が納得して動ける環境作りが不可欠だと考えているからです。
- Example(具例):前職のプロジェクトにおいて…(※ここでSTAR法を使用)
- Point(結論):この強みを活かし、貴社の〇〇業務においても、チームのハブとして成果に貢献したいと考えています。
エピソードを最強にする「STAR法」
具体例(Example)の部分は、以下の4要素で構成します。そうすることで、状況と行動が鮮明に伝わります 。
STAR法
- Situation(状況):どのような困難や課題があったか。
- Task(課題・役割):その中で自分は何を解決すべきだったか。
- Action(行動):課題解決のために、自分自身がどのような行動をとったか。(※最重要)
- Result(結果):その結果、どのような成果が得られたか(可能な限り定量的に)。
6.【状況・職種別】そのまま使える自己PR例文

ここからは実践編です。前述した主体的な協調性の戦略とフレームワークを実際に適用した、例文を紹介します。
新卒の学生時代のエピソードから、転職者の専門職まで、状況別に構成しました。

ただし、重要なのはリアリティです。これらを単なるテンプレートとしてではなく、構成の型として活用し、自身の経験に合わせてカスタマイズしてください。
NG例とも比較することで、より精度の高いアピールが完成します。
新卒向け(アルバイト・ゼミ)
転職者向け(営業・エンジニア)
【NG例文】避けるべき表現
×【受動的すぎる例】
「私には協調性があります。前職では人間関係を大切にし、誰とでも仲良く仕事をしてきました。
上司の指示には素直に従い、波風を立てないように心がけていました。
貴社でも、皆さんと仲良く働きたいと思っています。」
【解説:なぜNGなのか?】
「仲良くした」「指示に従った」だけでは、主体性が感じられません。
企業は「仲が良い人」を探しているのではなく、「利益に貢献するプロ」を探しています。
「波風を立てない」ことは、時として「問題があっても見て見ぬふりをする」という事なかれ主義と捉えられるリスクがあります。
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例文を見たものの「自己PRの構成を考えるのが難しい」「どんな順序で書いたらいいか分からない」という方は、ウェブツールの活用もおすすめです。以下の記事ではAIや質問形式で、採用担当者の視点を押さえた自己PRが簡単に作成できるツールを紹介しています。
7.面接での「協調性」深掘り質問対策

自己PRで協調性をアピールした際、採用担当者は「それは単に周りに流されているだけではないか?」という疑いの目を向けます。
その懸念を検証するために投げかけられるのが、現場のリアリティを伴った深掘り質問です。
これらは本質を試すストレステストと言えます。意見の対立や同調圧力への指摘に対し、どう論理的に切り返すか。
真の協調性を証明し、内定を手繰り寄せるための回答テクニックを解説します。
「意見が対立したらどうしますか?」への回答
この質問は、協調性がただの同調でないかを試すものです。
回答のポイント
感情的な対立ではなく、目的達成のための議論であると捉える姿勢を示します。
回答例:まず相手の意見を尊重し、なぜそう考えるのかという背景を丁寧にヒアリングします。
その上で、私たちの共通の目的(プロジェクトの成功など)に立ち返り、どの選択が最も目的に適うかという視点で話し合い、解決策を見出します。
「周りに流されやすいと言われませんか?」への切り返し
協調性をアピールすると、主体性のなさを懸念されることがあります。
回答のポイント
柔軟性と信念のバランスを説明します。
回答例:確かに、周囲の意見を尊重するため、柔軟な対応を心がけています。
しかし、ただ流されるのではなく、組織としての目標達成やコンプライアンスといった「譲れない」に関しては、しっかりと自分の意見を主張し、周囲を説得するよう努めています。
8.協調性はビジネスを動かすエンジン

自己PRにおける協調性は、伝え方一つで主体性のない受動的な態度にも、組織を成功に導くリーダーシップにもなり得ます。
重要なのは、経済産業省の「社会人基礎力」でも示されているように、協調性をチームで成果を出すための能動的なビジネススキルとして定義し直すことです。
- 仲良しアピールではなく、目的達成のための協力を語る。
- 受動的な態度ではなく、自分から働きかけたアクション(巻き込み力)を示す。
- 職種に合わせて、具体的で解像度の高い言葉(調整力、傾聴力など)に変換する。
これらのポイントを押さえれば、協調性は、採用担当者の目に留まる強みとなるはずです。
9.協調性を効果的な自己PRの要素として入れるために

この記事でみてきた通り、協調性をアピールする際には、単なる仲良くできるという意味ではなく、目標達成のために自ら機動力となることができるという能動的な言い換えをするのがおすすめです。
そうすることで、より魅力的に、採用担当者の目に留まりやすくなります。
具体的なエピソードとともに、ビジネススキルを動かすエンジンとしての協調性をアピールしてください。
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