履歴書の写真は、あなたの第一印象を左右する大切なポイントのひとつです。これまでは写真館やスピード写真機の利用が一般的でしたが、数千円の出費は決して安くありません。
近年では、スマホとコンビニ印刷を活用することで、30円程度という低コストで証明写真を用意することも可能になりました。とはいえ、「スマホの写真ではプロと差が出るのでは?」「手抜きに見えて選考で不利にならない?」と不安を感じる方もいるでしょう。
本記事では、スマホで撮影した履歴書写真に対する採用担当者の本音から、撮影時の基本ルール、自宅で実践できるプロの撮影テクニックまで、スマホでの履歴書写真撮影について徹底的に解説します。
- 履歴書写真の費用を30円に抑え、就活コストを賢く節約できる
- 採用担当者に好印象を与える履歴書写真の作り方がわかる
- 自宅の照明や背景を活かす、プロのような撮影テクニックが身につく
1.そもそもスマホ写真は履歴書に使えるの?採用担当者の本音と新常識

「スマホで撮った写真なんて、手抜きだと思われない?」という不安を持つ方も多いでしょう。ここでは、採用担当者の本音を交え、スマホの履歴書写真が就活で通用するのか、どのような点を見られているのかなどを解説します。
結論:品質基準を満たせば全く問題ない
スマートフォンで撮影した写真でも、品質基準を満たしていれば履歴書への使用は全く問題ありません。実際に、近年のスマートフォンのカメラは非常に高性能で、適切に撮影・印刷すればスピード写真と遜色ない仕上がりになります。
ある調査では、約4割の人がスマホで証明写真を撮影した経験があると回答しており、この方法はすでに新しい常識として受け入れられつつあるのです。
参照:アプリブ「証明写真の撮影方法、最多は「スピード写真」続いて「スマホで自分で撮影」」
重要なのは「どう撮ったか」より「どう見えるか」
採用担当者の視点では、写真の撮影方法そのものよりも、その仕上がりが「証明写真としてふさわしいか」が重視されます。照明が暗く、背景に私物が写り込み、自撮り特有の不自然な角度で撮られた写真は、「準備不足」「入社意欲が低い」といったマイナスの印象を与えかねません。

大切なのは、コストを抑えつつも、ビジネスの場にふさわしいプロフェッショナルな一枚を準備する、というその姿勢そのものです。
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2.証明写真で守るべき「5つの絶対ルール」

これだけは押さえておきたい「証明写真の絶対ルール」について確認しておきましょう。サイズや服装、有効期限など、5つの基本について解説します。
ルール1:サイズ(縦40mm×横30mm)とデータ形式
一般的な履歴書に貼る写真は「縦40mm × 横30mm」が絶対の基準です。これは運転免許証(3cm×2.4cm)やパスポート(4.5cm×3.5cm)とはサイズが異なるため、使い回しはできません。
写真データのみの提出を求められた場合
Web応募で写真データのみの提出を求められた場合は、以下の形式で送りましょう。
- 縦横比は4:3(例:縦560px × 横420px)
- 保存形式はJPEG
- 容量は2㎆以内
ルール2:有効期限(3ヶ月以内)の厳守
履歴書に使う写真は、撮影から3ヶ月以内のものを使いましょう。これは、写真が現在のあなた自身を正確に反映している必要があるためです。髪型や体型などが大きく変わった場合は、必ず撮り直してください。

以前の就職活動で不採用になった写真を使い回すのは、気持ちの面でも、写真の劣化の面でも避けたほうがいいでしょう。
ルール3:背景色(白・青・グレー)の効果的な選び方
背景は、白、青(水色)、グレーのいずれかの無地が基本です。相手に与えたい印象にあわせて、選びましょう。
白: 最も標準的。清潔感と明るい印象を与え、どんな業界にも向いている。
青: 爽やかで知的な印象。営業職や接客業など、活発さが求められる職種におすすめ。
グレー: 落ち着きと信頼感を演出。金融業界や公務員、専門職など堅実さが求められる職種に合う。
ルール4:服装と身だしなみ
証明写真は「最初のビジュアル面接」です。特に服装は写真の印象を大きく左右するため、慎重に選びましょう。
- 黒、紺、ダークグレーなどの落ち着いた色のスーツを選ぶ
- インナーは白のシャツやブラウスを合わせる
- 髪型は顔の輪郭や眉、耳が隠れないように整える
たとえ「服装自由」の企業であっても、履歴書は公式なビジネス文書のため、スーツで撮影するのが最も安全で無難な選択です。
ルール5:画像加工について
写真加工アプリは便利ですが、使いすぎは禁物です。 ニキビや目の下のクマ、寝癖など、一時的なコンディションによる肌トラブルの修正は問題ありません。しかし、 目の大きさや輪郭を変えるなど、恒久的な身体的特徴の変更は「偽装」と見なされるリスクがあります。
最大のリスクは、加工がバレることではなく、面接で会った際のあなたと写真の印象が大きく違うことです。「不誠実」という致命的なマイナス評価に繋がりかねません。
3.自宅がスタジオに!プロ品質を実現するスマホ撮影術

プロのような機材がなくても大丈夫です。自宅にあるものと少しの工夫で、専門家が撮ったような一枚を目指せます。ここでは、写真の品質を劇的に向上させる「光」「背景」「固定」「表情」の4つの要素について、具体的なテクニックを解説します。
【光】自然光を味方につけるライティング術
写真の品質は光で決まります。最も良いのは、日中の柔らかい自然光です。窓際に立ち、顔を窓に向ける形で撮影すると、顔全体に光が回り、明るく健康的な印象になります。夜間など自然光が使えない場合は、デスクライトなどを顔の正面から当てましょう。
さらにプロの技として、膝の上にA3サイズ程度の白い紙(コピー用紙や画用紙)やハンカチなどを置くと、下からの光を反射させ、顎の下の影を消す「レフ板」の効果が得られます。
【背景】生活感を出さない背景の作り方
背景は、自宅の無地の白い壁を探すのがベストです。もし適切な壁がなければ、アイロンをかけた白いシーツや大きな模造紙を壁に貼って簡易スクリーンを作りましょう。この時、壁に近づきすぎると自分の影が映り込んでしまうため、壁から1メートルほど離れて立つのがコツです。
【固定】ブレと歪みを防ぐカメラの設置方法
手ブレや角度の歪みがあると、素人っぽさが出てしまいます。手持ちでの撮影は避け、三脚、もしくは本や箱を積み重ねて作った即席スタンドにスマホをしっかり固定して撮影しましょう。レンズの高さは自分の目の高さに合わせ、地面と垂直になるように設置してください。
シャッターを押す瞬間のブレを防ぐため、セルフタイマー機能(3~10秒)の活用は必須です。
インカメラより背面カメラの方が画質がいいって本当?
はい、インカメラ(前面カメラ)と背面カメラでは、画質が異なる場合があります。これは、カメラのセンサーサイズやレンズの性能、画像処理エンジンなどが異なるためです。
少しでも印象のよい履歴書写真を撮影するためにも、撮影スタンドや友人などの助けを借りて背面カメラで撮影しましょう。
【表情】好印象を与える自然な笑顔の作り方
撮影の際は、天井から糸で吊られているようなイメージで背筋を伸ばします。顎を軽く引き、真顔ではなく、口角を少し上げた自然な微笑みを心がけましょう。撮影前に「あ・い・う・え・お」と口を大きく動かす表情筋のストレッチも効果的です。

口角を自然に上げるには、「ウィ」と発音したときの口の形を意識するのがおすすめです。
よくある失敗(メガネの反射・レンズの歪み)の回避策
メガネをかけている方は、レンズに照明が反射しないよう、顔の角度を少し上下左右に動かしてベストな位置を探しましょう。
また、スマホのレンズには「広角レンズ」が使われており、写真の中心にあるものを大きく、端にあるものを引き伸ばして写すという特性があります。画像が歪まないよう、スマホとの距離を2メートルほど離し少しズーム機能を使って上半身が収まるように調整すると、自然な写真に仕上がります。
4.目的別スマホアプリ&Webサービス徹底比較
撮影した写真を証明写真データに仕上げるためのツールをご紹介します。コスト重視や品質優先など、あなたの目的に合わせて選べるように、それぞれの特徴を徹底比較しました。
コスト最優先|「履歴書カメラ」

画像:「履歴書カメラ」
「L判印刷ハック」の代名詞的な存在の無料アプリです。スピード写真機のように複数の証明写真を1枚のL判写真データとしてレイアウトすることで、コンビニでの印刷代を30円~40円に抑えられます。ただし、背景を消す機能はないため、自宅に無地の壁があるなど、撮影環境が整っている人向けです。
品質と編集機能|「PhotoDirector」

画像:「PhotoDirector」
AIによる高精度な背景除去や、高度な美肌補正機能が特徴のアプリです。自宅に白い背景などがない場合や、プロが撮影したようなクオリティを追求したい場合におすすめです。
手軽さ|「ピクチャン」

画像:「ピクチャン」
アプリのインストールに抵抗がある方は、Web上ですぐに利用できるサービスが便利です。「ピクチャン」は、撮影した写真をアップロードするだけで履歴書写真として加工され、コンビニ印刷用の予約番号が発行されるシンプルなサービスです。
機能比較一覧表
ツール名 | 種類 | 費用(サービス料+印刷代) | 主要機能・メリット | 最適なユーザー |
---|---|---|---|---|
履歴書カメラ | アプリ | 無料 + 印刷代30円~(L判) | 基本的な美肌補正、サイズテンプレート ※背景除去機能なし | 自宅の撮影環境が良く、コストを最優先する人 |
PhotoDirector | アプリ | 無料(一部機能有料)+ 印刷代30円~ | AI背景除去、高度な美肌・レタッチ機能、総合写真編集機能 | 最高の品質と編集の自由度を求める人 |
ピクチャン | Webサービス | 無料 + 印刷代200円(証明写真) | 簡単なサイズテンプレート、公式証明写真サービス、アプリインストールが不要 | アプリを使わず、簡単に証明写真を印刷したい人 |
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5.コンビニのマルチコピー機操作ガイド

データが完成したら、いよいよ最終ステップの印刷です。コンビニの機械の前で「どうやるんだっけ?」と戸惑わないよう、セブン、ファミマ、ローソン各社での具体的な操作手順を解説します。
コンビニで履歴書写真をプリントする2つの方法
まずは、コンビニで利用できる履歴書写真の印刷方法についてみていきましょう。
L判写真プリント(30円ハック)
料金は1枚30~40円と、コストパフォーマンスが抜群の印刷方法です。ただし、事前に「履歴書カメラ」などで、複数の証明写真を1枚のL判画像としてレイアウトしておく必要があります。また、印刷後に自分で切る必要があるため、多少手間がかかります。
公式の「証明写真プリント」サービス
料金は1シート200円~と高めですが、撮影から印刷、履歴書写真として使用するまでがスムーズです。マルチコピー機のメニューで「証明写真」を選び、撮影した単体の写真データを転送するだけで、機械が自動でレイアウトして印刷してくれます。
どちらにもそれぞれのメリットがあります。手間・費用・時間的な余裕に応じて、自分に合った方法を選びましょう。
セブン-イレブンでの印刷手順
セブン-イレブンでの印刷手順は、以下の通りです。
- スマホに「かんたんnetprint」等のアプリを入れ、印刷したい写真(L判レイアウト済みのもの)をアップロードし、「プリント予約番号」またはQRコードを取得します。
- マルチコピー機のメニューで「プリント」→「ネットプリント」を選択します。
- 予約番号を入力するか、QRコードをかざします。
- プレビューを確認し、料金を投入して「プリントスタート」を押します。
ファミリーマート・ローソンでの印刷手順
ファミリーマートとローソンは、同じ印刷システムを利用しています。以下で手順をみてきましょう。
- スマホに「PrintSmash」等のアプリを入れるか、ネットワークプリントサービスに写真を登録し、10桁の「ユーザー番号」を取得します。
- マルチコピー機のメニューで「プリントサービス」→「ネットワークプリント」を選択します。
- ユーザー番号を入力します。
- ファイルを選び、用紙を「写真用紙」→「L判」に設定。料金を投入してプリントします。
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スマホからのコンビニ印刷については、以下の記事でも詳しく解説しています。コンビニ印刷ならではの注意点や、よくある質問への回答も掲載しているので、ぜひ一度目を通してみてください。
6.スマホ写真は賢い選択!自信を持って提出しよう
今回は、履歴書写真をスマホとコンビニで手軽に準備する方法をご紹介しました。スマホで撮影するとなると、「本当にこれで大丈夫?」「印象が悪くならないかな」と不安に感じる方もいるかもしれません。ですが、ポイントを押さえて工夫することで、スマホ写真でも十分にきちんとした印象を与えることができます。
大切なのは、履歴書写真に求められる規則やマナーを理解し、それにきちんと沿って準備することです。さらに、明るく清潔感のある一枚が撮れれば、誠実さや真剣さをしっかり伝えられるでしょう。
ぜひ本記事を参考に、あなたらしい一枚をスマホで用意してみてください。