
飲食店の求人に応募しようと履歴書を書き始めたけれど、志望動機で手が止まる・・・

「食べることが好き」「接客が好き」だけでは、熱意が伝わらない気がする。
そんな悩みを抱えていませんか?飲食業界の採用担当者は、毎日多くの履歴書に目を通しています。
その中で「この人に会ってみたい」と思わせるには、自分ならではの「物語」を伝えることが重要です。
本記事では、採用担当者の心に響く志望動機を作成するための具体的な方法と、状況別の例文を分かりやすく解説します。
- 採用担当者がどこを見ているか、評価されるポイント
- 自分の言葉で志望動機を作るための、具体的な3ステップ
- 未経験・経験者など、状況に合わせて参考にできる豊富な例文
1.なぜ飲食業界の志望動機で「自分の言葉」が重要なのか

多くの応募書類の中から、採用担当者の目に留まる志望動機とは、単に美しい文章ではありません。
そこには、自身の個性や仕事への熱意が「あなた自身の言葉」で表現されていることが求められます。
採用担当者は「なぜうちの店なのか?」を知りたい
採用担当者が最も知りたいのは、「数ある飲食店の中で、なぜうちの会社(店)を選んでくれたのか?」という点です。
飲食業界は、決して楽な仕事ばかりではありません。
だからこそ、「この人なら、困難があっても一緒に乗り越えてくれそうだ」と感じられるような、お店への深い理解と共感、そして熱意が伝わる志望動機が評価されます。
「好き」という気持ち+「貢献意欲」が内定への鍵
「料理が好き」「人と話すのが好き」という気持ちは、もちろん大切な志望動機の一つです。
しかし、それだけでは「お客様」としての視点と変わりません。
仕事として飲食業界に関わるには、その「好き」という気持ちを、「どのように仕事に活かし、お店に貢献できるのか」という具体的な意欲に繋げて語ることが、内定を掴むための重要な鍵となります。
2.採用担当者の心に響く!飲食店の志望動機作成3ステップ

それでは、実際に志望動機を作成していきましょう。
いきなり書き始めるのではなく、以下の3つのステップに沿って、あなただけの「物語」の要素を整理していくことが成功への近道です。
ステップ1:なぜ飲食業界?「自分の原体験」を掘り下げる
まずは、「なぜ自分は飲食業界で働きたいのか」という根本的な動機を深掘りします。
「誰かに料理を振る舞って喜ばれた」「特別な日に訪れたレストランでの感動的な体験」など、あなたの過去の経験(原体験)の中に、必ずヒントが隠されています。
その経験を通して何を感じ、なぜそれを仕事にしたいと思ったのかを具体的に言語化してみましょう。
ステップ2:なぜこの会社(お店)?「独自の魅力」を見つけ出す
次に、応募先の企業やお店が持つ「独自の魅力」を見つけ出します。
公式ウェブサイトやSNSを読み込むことはもちろん、可能であれば実際にお店を訪れてみましょう。
「食材へのこだわりに感銘を受けた」「スタッフの方々の温かい接客に惹かれた」など、あなた自身の言葉で語れる具体的な魅力を見つけることが、他の応募者との差別化に繋がります。
ステップ3:あなたは何ができる?「貢献できること」を具体的に示す
最後のステップとして、あなたの経験やスキルが、そのお店でどのように活かせるのか(=貢献できること)を具体的に示します。
経験者は即戦力となるスキルを、未経験者であっても、「前職で培ったコミュニケーション能力を接客に活かしたい」「細やかな気配りには自信がある」といったポータブルスキルをアピールすることが可能です。
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こちらの記事では自己PRを作るための手順を4ステップで解説しています。
自己分析を通し、あなたが貢献できることを言語化してみましょう。
3.【状況別】飲食店の志望動機例文8選

ここからは、上記の3ステップを踏まえた具体的な志望動機の例文を、応募者の状況別にご紹介します。
01.未経験から正社員を目指す場合の例文
私が貴社を志望する理由は、食を通じて地域社会に貢献するという経営理念に深く共感したからです。
私は学生時代、地域のフードパントリーでボランティア活動を行った経験があり、食が人々にもたらす笑顔と繋がりの大切さを実感いたしました。
前職の営業職で培った、お客様のニーズを深く理解し、信頼関係を築く傾聴力を活かし、貴店の「お客様一人ひとりに寄り添う」接客を体現したいと考えております。
未経験ではございますが、一日も早く戦力となれるよう、調理技術の学習にも意欲的に取り組む所存です。
02.経験者がスキルアップを目指す場合の例文
イタリアンレストランでの5年間の勤務経験で培った調理技術と、ワインに関する知識をさらに高いレベルで磨きたいと考え、貴店を志望いたしました。
特に、貴店が公式サイトで発信されている、伝統的な調理法を尊重しつつも、現代的な感性を取り入れたメニュー開発の姿勢に強く惹かれております。
前職では、季節の食材を活かしたメニュー提案で、店の看板メニュー開発にも貢献いたしました。これまでの経験を活かし、貴店のさらなるブランド価値向上に貢献できると確信しております。
03.アルバイトに応募する場合の例文(学生)
私が貴店のアルバイトを志望する理由は、温かく活気のあるお店の雰囲気に魅力を感じたからです。
先日、友人と一緒に客として利用させていただいた際、スタッフの皆様が笑顔で連携し、お客様一人ひとりに丁寧に接している姿が印象的でした。
高校の部活動で培ったチームワークと、明るく元気な対応には自信があります。
貴店の一員として、お客様に「また来たい」と思っていただけるような、心地よい時間を提供できるよう、精一杯頑張りたいです。
04.異業種(IT)から未経験で転職する場合の例文
私が飲食業界、中でも特に貴社を志望するのは、IT業界で培った課題解決能力を活かし、新しい視点から飲食店の価値向上に貢献できると考えたからです。
前職では、顧客データ分析に基づいた業務効率化プロジェクトを担当し、生産性を15%向上させた実績がございます。
貴社が近年、DX推進に力を入れておられることを拝見し、私のスキルが店舗運営の効率化や顧客満足度のデータ分析といった面で必ずお役に立てると考えました。
一日も早く現場の業務を習得し、将来的にはITの知見を活かした店舗マネジメントにも挑戦したいです。
05.カフェへの志望動機(未経験・主婦)
子育てが一段落し、以前からの夢であった「人を癒す空間づくり」に携わりたいと考え、貴店を志望いたしました。
貴店の、一杯のコーヒーを通じてお客様の日常に安らぎを提供するというコンセプトに、深く共感しております。
また、地元の生産者から仕入れた食材を大切にしたフードメニューにも魅力を感じています。
接客経験はございませんが、PTA活動などで培ったコミュニケーション能力と、丁寧な作業を最後までやり遂げる力には自信があります。
お客様が心からリラックスできる空間づくりに貢献したいです。
06.居酒屋への志望動機(経験者・フリーター)
私は、3年間勤務した居酒屋でのホール経験を活かし、よりお客様との距離が近い個人経営のお店で働きたいと考え、貴店を志望いたしました。
貴店のSNSを拝見し、店主の〇〇様が自ら市場で仕入れた新鮮な魚介や、お客様との交流を大切にされている様子に感銘を受けました。
前職では、常連のお客様の名前や好みを覚え、パーソナライズされた接客を心がけることで、店舗のリピート率向上に貢献しました。
その経験を活かし、貴店の温かいコミュニティ作りの一助となりたいです。
07.レストラン(高級店)への志望動機(経験者)
私は、食事がもたらす感動的な「体験」を演出するプロフェッショナルになりたいという強い想いがあり、最高峰のサービスと料理を提供されている貴店を志望いたしました。
ファミリーレストランでの店長経験を通じて、店舗運営や人材育成の基礎は学んでまいりましたが、より高いレベルの接客スキルやテーブルマナー、ホスピタリティを身につけたいと考えております。
これまでのマネジメント経験を活かしつつ、一日も早く貴店の一流のサービスを吸収し、お客様にとって忘れられない時間を提供できる人材になることが目標です。
08.給食調理への志望動機(未経験)
私が貴社の給食調理スタッフを志望する理由は、「食の安全」を通じて子どもたちの健やかな成長を支えたいという強い思いがあるからです。
私自身、食物アレルギーを持つ子どもを育てる中で、安心・安全な食事が心身の健康にいかに重要であるかを痛感してまいりました。
調理経験は家庭料理の範囲ですが、栄養バランスを考えた献立作りや、徹底した衛生管理には自信があります。
貴社の厳格な衛生基準の下で専門的な知識と技術を学び、一食一食に心を込めて、子どもたちに安全で美味しい給食を届けたいです。
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こちらの記事ではAIで志望動機を作成できるツールを紹介。
AIで文章案(たたき台)を生成することで効率的に志望動機を作成できます。
4.これはNG!避けるべき志望動機と注意点

熱意を伝えようとするあまり、かえって逆効果になってしまう表現もあります。
ここでは、避けるべき志望動機の代表的な例を3つご紹介します。
待遇面や条件ばかりを強調する
「家から近い」「時給が良い」といった条件面は、応募のきっかけとしては自然なことです。
しかし、それを志望動機の中心に据えてしまうと、「条件さえ良ければ他でも良いのでは?」という印象を与えかねません。
あくまで仕事内容やお店の魅力への言及を主軸にしましょう。
どの企業にも当てはまるような抽象的な内容
「貴社の将来性に惹かれました」「社会貢献がしたいです」といった抽象的な言葉は、具体性に欠け、本気度が伝わりにくいものです。
なぜそう感じたのか、あなた自身の経験や考えと結びつけて語ることで、初めて説得力が生まれます。
「お客様目線」から抜け出せていない
「こちらの料理が大好きだから」「お店の雰囲気が素敵だから」という理由だけでは、ファンレターと変わりません。
働く側として、その料理や雰囲気を「どのようにお客様に提供し、お店に貢献していきたいのか」というプロフェッショナルな視点を示すことが重要です。
5.どうしても思いつかない時は専門家への相談も一つの手
この記事を読んでも、どうしても自分の言葉で志望動機をまとめるのが難しいと感じる方もいるかもしれません。
そんな時は、一人で抱え込まずに、キャリアセンターや転職エージェントなど、キャリアの専門家に相談してみるのも一つの有効な手段です。
客観的な視点から、あなたも気づいていない強みや魅力を引き出す手助けをしてくれるはずです。
あなたの飲食業界への挑戦を、心から応援しています。