転職活動やアルバイトの応募で、多くの方が一度は悩むのが「履歴書は手書きとパソコン、どちらで作成すべきか」という問題です。
どちらが有利なのか、採用担当者はどう見ているのか、気になりますよね。
そこでこの記事では、最新の採用市場の動向から、具体的な作成テクニックまで、専門家の視点から分かりやすく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
- 最新データに基づく、企業が本当に求めている履歴書の形式
- あなた自身の状況に最適な履歴書の選び方がわかる5つの診断質問
- パソコンと手書き、それぞれの履歴書作成方法を網羅した具体的な完全ガイド
1.【結論】履歴書は手書きでなくパソコン作成が7割の企業で有利

「企業の指定がなければ、履歴書は手書きでもパソコンでもどちらでも良い」。これは、ほんの数年前までの常識でした。
しかし、企業のデジタル化が進む今、その常識は大きく変わりつつあります。
2024年6月に実施された最新の調査では、驚くべき結果が報告されています。
採用担当者553名に尋ねたところ、実に68.7%が「パソコン作成の履歴書が良い」と回答したのです。
今はパソコン作成が有利
採用担当者553名の実に…
68.7%
が「パソコン作成の履歴書が良い」と回答
この数値は、もはやパソコン作成が新しいスタンダードになっていることを明確に示しています。
実際、2017年や2018年の調査では、手書きとパソコンを支持する意見はほぼ半々でした。
この数年間で、採用担当者の意識が劇的に変化したことが分かります。
パソコン作成が好まれる主な理由は「読みやすい」「管理がしやすい」といった、採用業務の効率化に直結するものです。
これは、多くの企業で採用管理システム(ATS)の導入が進んでいることの表れと言えるでしょう。
参照:履歴書は手書きじゃないと落とされる?手書きとパソコン作成のどちらがいいか、人事・採用担当者553人に本音を調査 | 株式会社キュービックのプレスリリース – PR TIMES
2.あなたは手書き、パソコンどっち?5つの質問でわかる最適な履歴書の選び方

「パソコン作成が有利なのは分かったけど、本当に自分もそれでいいのかな?」と不安に思う方もいるかもしれません。
最終的な判断は、あなた自身の状況や応募先企業に合わせて行うことが大切です。
ここでは、5つの簡単な質問に答えるだけで、あなたに最適な履歴書の形式がわかる診断を用意しました。
1. 企業の指示は絶対!募集要項を確認したか?
まず最も重要なのが、応募先企業からの指示です。
募集要項に「手書きの履歴書を郵送」や「指定のフォーマットで作成」といった記載はありませんでしたか?
YESの場合
指示に従うのが絶対! 指示通りの形式で作成しましょう。これはビジネスの基本ルールを守れる人材であることの証明になります。
2. 応募する業界・企業文化は?(IT/Web/外資系 vs 伝統的/公的機関)
一般的に業界や企業文化によっても、好まれる形式は異なります。
パソコン作成がおすすめ
IT、Web、外資系、スタートアップなど、PCスキルが重視される業界
合理的で効率的な印象を与えたい場合
読みやすく、整理された印象を与えたい場合
手書き作成がおすすめ
- 歴史のある企業、公的機関、地方の小規模な会社など
- 応募先から手書きの指定があった場合
- 丁寧で誠実な印象を与えたい場合
一般的に、IT・Web業界や外資系企業、スタートアップなどでは、パソコン作成が合理的で望ましいとされる傾向にあります。
一方で、歴史のある企業や、手書きの書類を重んじる文化が残る一部の業界、地方の小規模な会社などでは、手書きの方が丁寧な印象を与える可能性があることも覚えておきましょう。
3. アピールしたいスキルは何か?(PCスキル vs 丁寧さ・人柄)
履歴書は、あなたという商品を売り込むための「マーケティング資料」でもあります。
パソコンで作るか、手で書くか。それ自体が、実はスキルのアピールになっています。
PCスキルをアピールしたいなら
基本的なPCスキル(WordやExcelなど)に自信があることを見せたいなら、パソコン作成が断然おすすめです。きれいに整えられた履歴書そのものが、あなたのPCスキルを証明する成果物になります。
手書き作成がおすすめ
文字の丁寧さや温かみを通じて、真面目さや誠実な人柄をアピールしたいのであれば、手書きは有効な戦略です。特に、人とのコミュニケーションを重視する職種などでは良い印象に繋がる可能性があります。
もし、基本的なPCスキル(WordやExcelなど)をアピールしたいのであれば、パソコンで作成された履歴書自体がそのスキルの証明になります。
逆に、字の丁寧さや温かみを通じて、真面目さや人柄を伝えたいと考えるのであれば、手書きを選ぶのも一つの戦略です。
4. 応募する社数は?(効率性 vs 1社への熱意)
あなたの就職・転職活動のスタイルはどちらですか?
効率的に多くの企業へアプローチしますか? それとも、第一志望の1社に情熱を注ぎますか?
複数社に応募する場合(効率重視)
パソコン作成が圧倒的に効率的です。一度マスターデータを作れば、企業ごとに志望動機などを修正するだけでOK。スピーディーに応募書類を準備できます。
「この一社だけ」にかける場合(熱意重視)
「どうしてもこの会社に入りたい!」という強い想いがあるなら、時間をかけて丁寧に手書きで作成するのも一つの手です。その熱意が採用担当者に伝わるかもしれません。
5. 自分の文字に自信はあるか?
これは手書きを選ぶ場合の、非常に重要な最後のチェックポイントです。
採用担当者は多くの履歴書に目を通すため、読みにくい字はそれだけでマイナスの印象を与えてしまうリスクがあります。
「丁寧で、誰が読んでも読みやすい字が書けること」が、手書きのメリットを活かす大前提となります。
3.パソコンと手書き履歴書作成のメリット・デメリット比較

ここで、それぞれの作成方法のメリットとデメリットを、分かりやすくまとめて比較してみましょう。
パソコン作成
- 作成や修正が効率的で、管理しやすい
- 読みやすく、採用担当者が内容を把握しやすい
- 基本的なPCスキルをアピールできる
- データの再利用ができる
- 個性や人柄が伝わりにくいと感じられることがある
- データの使い回しによるケアレスミスが起こりやすい
手書き作成
- 熱意や人柄が伝わりやすいと言われることがある
- 丁寧な印象を与えることができる
- 作成に時間がかかり、修正が大変
- 字が綺麗でないと、かえってマイナスイメージになる
- 読み手によっては読みにくいと感じる場合がある
4.パソコンで履歴書を作成する完全ガイド
推奨テンプレート
迷ったら厚生労働省の公式様式を使いましょう。公的機関の標準フォーマットで安心です。
フォントと文字サイズ
フォントは「明朝体」、サイズは「10.5pt~11pt」が基本。読みやすさを第一に考えましょう。
データの使い回しは危険!
他社への志望動機などを使い回すミスに注意。提出前に応募先ごとに最適化されているか最終確認を。
提出はPDFが常識
Word形式ではなく必ずPDFに変換して提出。レイアウト崩れや改ざんを防ぎます。
証明写真のデータ貼付
写真のサイズに注意し、指定の枠内にきれいに収まるよう調整。鮮明なデータを使用しましょう。
ここでは、実際にパソコンで履歴書を作成する際の具体的な手順と注意点を解説します。
推奨テンプレート:厚生労働省の公式様式
どのテンプレートを使えば良いか迷ったら、厚生労働省が公開している履歴書の様式例を使いましょう。
これは公的機関が示している標準的なフォーマットであり、どの企業に提出しても失礼にあたることはありません。
インターネット上で無料でダウンロードできます。
フォントと文字サイズの黄金ルール
読みやすさを第一に考え、フォントは「明朝体」、文字サイズは「10.5pt~11pt」を基本としましょう。
これは、ビジネス文書で最も一般的に使われている設定です。奇抜なフォントは避け、シンプルで見やすいレイアウトを心がけてください。
データの使い回しは危険!応募企業ごとに最適化するコツ
パソコン作成の最大のメリットは効率性ですが、それが裏目に出ることもあります。
特に多いのが、他社への志望動機をそのまま使い回してしまうミスです。
提出前には、必ず「会社名」「志望動機」「自己PR」が応募先企業に合わせて最適化されているか、声に出して読み返すなどして最終確認をしましょう。
提出はPDFが常識!その理由と変換方法
作成した履歴書は、Wordなどの編集可能な形式ではなく、必ずPDF形式に変換してから提出してください。
PDFは、相手の閲覧環境に左右されずレイアウトが崩れる心配がなく、第三者による改ざんを防ぐ役割もあります。
ほとんどの文書作成ソフトには、標準でPDF保存機能が付いています。
証明写真のデータ貼付方法
証明写真のデータを履歴書ファイルに貼り付ける際は、サイズに注意しましょう。
写真が大きすぎたり小さすぎたりすると、全体のバランスが悪くなります。
指定の枠内にきれいに収まるようにサイズを調整し、写真データが鮮明であることも確認してください。
5.手書きで想いを伝える履歴書作成ガイド
筆記用具の選び方
黒のボールペン(0.5~0.7mm)が基本。消せるボールペンや鉛筆はNGです。
修正液・修正テープはNG
書き間違えた際に修正液やテープを使うのはビジネスマナー違反です。信頼性を損なう原因になります。
美しいレイアウトのコツ
文字の大きさや間隔を揃え、全体のバランスを意識しましょう。鉛筆での下書きがおすすめです。
間違えた時の心構え
たった一文字でも間違えたら、潔く新しい用紙に書き直すのが原則。丁寧な姿勢が評価されます。
手書きならではの良さを活かすためには、いくつか押さえておくべきマナーがあります。
筆記用具の選び方:黒のボールペンが基本
履歴書を書く際は、黒色のボールペン(ゲルインクがおすすめ)を使用するのが基本です。
太さは0.5mm~0.7mmが一般的で、読みやすい字が書けるものを選びましょう。
消せるボールペンや鉛筆、シャープペンシルの使用は絶対に避けてください。
絶対NG!修正液・修正テープは使わない
もし書き間違えてしまった場合、修正液や修正テープを使うのはビジネスマナー違反です。
履歴書は公的な性格を持つ書類であり、修正された書類は信頼性を損なうと見なされます。
美しいレイアウトのコツ
いきなり書き始めるのではなく、まずは鉛筆で薄く下書きをするか、別の紙で見本を作成することをおすすめします。
文字の大きさや間隔を揃え、全体としてバランスの取れたレイアウトを意識するだけで、格段に読みやすくなります。
間違えたら?潔く書き直す心構え
たった一文字でも間違えてしまったら、面倒でも新しい用紙に最初から書き直すのが原則です。
この丁寧な姿勢が、あなたの真摯な態度として評価される可能性があります。予備の履歴書用紙を多めに用意しておくと安心です。
6.履歴書の手書き、パソコン作成に関するよくある質問

ここまでで基本的な選び方や作成方法はご理解いただけたかと思います。
しかし、まだ「こんな場合はどうなんだろう?」といった個別の疑問が残っているかもしれませんね。
ここでは、そうしたよくあるご質問に、一つひとつ丁寧にお答えしていきます。
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指定がない場合はどちらが無難ですか?
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2025年現在では、パソコン作成が無難です。 最新のデータが示す通り、約7割の採用担当者がパソコン作成を好んでいます。特にこだわりがなければ、読みやすさと管理のしやすさからパソコンで作成することをおすすめします。
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履歴書のサイズはA4とB5どちらが良いですか?
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企業からの指定がなければ、A4サイズが一般的です。 ビジネス文書の標準サイズがA4であるため、他の応募書類(職務経歴書など)とサイズを揃えることができ、採用担当者が管理しやすくなります。
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公務員応募の場合はどちらが良いですか?
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公務員の応募では、手書きが求められるケースも依然として存在します。しかし、近年は自治体や省庁によってもデジタル化が進み、オンラインでの出願が増えています。必ず応募先の募集要項を詳細に確認し、その指示に厳密に従ってください。
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アルバイトの応募でも同じですか?
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基本的には同じと考えて良いでしょう。 特に、チェーン展開している飲食店や小売店などでは、応募情報をデータで一元管理していることが多いため、パソコン作成の方が歓迎される傾向にあります。ただし、個人経営のお店などでは、手書きの方が親しみやすい印象を与える場合もあります。
7.あなたの価値が伝わる履歴書を作成するために
今回は、履歴書を手書きとパソコンのどちらで作成すべきかについて、最新のデータと専門家の視点から解説しました。
結論として、2025年の就職・転職活動においては、企業の指定がない限り「パソコンでの作成」が新しいスタンダードです。
これは、採用業務のデジタル化という大きな流れを反映したものであり、あなたの基本的なPCスキルを示す上でも有効な手段となります。
しかし、最も大切なのは形式そのものではなく、「読み手である採用担当者にとって、分かりやすく、丁寧で、魅力的な内容になっているか」ということです。
今回ご紹介したポイントを参考に、あなた自身の価値が最大限に伝わる履歴書を作成し、希望のキャリアへの第一歩を踏み出してください。