就職や転職の面接で「私の強みは継続力です」と伝える人は多くいます。しかし、採用担当者の視点では、単に「辞めずに続けたこと」だけでは必ずしも高い評価にはつながりません。
では、企業が求めている継続力とは、どのような能力なのでしょうか。それは、困難に直面しても諦めず、工夫を重ねながら成果が出るまでやり抜く力です。
この記事では、自身の経験を企業が評価する継続力として翻訳し、魅力的な自己PRを作成する方法を解説します。
具体的な例文や言い換え表現も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
- 企業が求めている「本当の継続力」の定義と評価ポイント
- 「ただ続けただけ」と思われないための自己PR作成3ステップ
- 【アルバイト・部活・学業別】そのまま使えるOK例文とNG例文の改善法
1.企業が求めている「本当の継続力」とは?

継続力をアピールする際、単に一つのことを長く続けたことだけを伝えていないでしょうか。実は、求職者が考える継続力と、企業が求めるそれには認識のズレがあります。
企業が真に評価するのは、期間の長さではなく、その過程にあった工夫や困難を乗り越える行動力です。
ここでは、選考で高く評価される本当の継続力の本質と、それを効果的に伝えるためのポイントを解説します。
「ただ長く続けた」だけでは評価されにくい理由
×評価されにくいアピール例
- 3年間アルバイトを続けました
- 小中高と皆勤賞でした
こういった事実は、確かに素晴らしいことです。
しかし、ビジネスの現場においては、これだけでは採用したいという決め手に欠ける場合があります。
なぜなら、変化の激しい現代のビジネス環境では、言われたことをただ守り続けることよりも、状況に合わせて柔軟に対応し、成果を出すことが重視されるからです。
そのため、単に期間が長いだけのアピールは、次のような懸念(現状維持バイアス)を抱かれる可能性があります。
×企業に抱かれる懸念
- 新しい環境への適応が苦手なのではないか
- 現状維持を好むのではないか
評価されるのは「工夫」と「成果」を伴う継続
企業が高く評価するのは、目的を達成するために、工夫しながら継続できる力です。
〇評価されるエピソード例
- 上手くいかない時期があったが、練習方法を変えることで乗り越えた
- 単調な作業の中でも、効率化する方法を考えて実践し続けた
このように、重要なのは、期間(どれくらい続けたか)だけでなく、質(どのように続けたか)を伝えることです。

困難や壁にぶつかったとき、思考停止せずにどう行動したかというプロセスこそが、評価の対象となります。
公的機関も重視する「粘り強さ」と「行動力」
継続力の重要性は、国が定める人材評価の基準でも裏付けられています。
経済産業省が提唱する「社会人基礎力」では、社会で活躍するために必要な3つの能力の1つである前に踏み出す力(アクション)の構成要素として、粘り強さが定義されています。

参考|経済産業省:社会人基礎力
これは、失敗しても諦めずに粘り強く取り組む力を指します。
また、厚生労働省が定義するポータブルスキル(業種や職種が変わっても持ち運び可能な能力)においても、課題を遂行する力(計画立案・推進力)はキャリアを支える重要な要素とされています。
自身の継続力を、こうした公的な言葉に当てはめて考えてみることで、より説得力のある自己PRを作ることができます。
自分の継続力はどのタイプ?3つのパターンで整理する
継続力と一口に言っても、その性質は様々です。
自分の強みがどのタイプに当てはまるか整理することで、より伝わりやすい自己PRになります。

目標達成型
高い目標を掲げ、達成するまで諦めずに改善を繰り返す力。
営業職や企画職などで評価されやすいタイプです。
習慣形成型
小さな努力を毎日コツコツと積み重ね、着実に成果につなげる力。
事務職や技術職などで、正確性や勤勉さが求められる場面で強みになります。
困難克服型
予期せぬトラブルやスランプに直面しても、気持ちを切り替えて粘り強く取り組む力(レジリエンス)。
あらゆる職種で求められる基礎的な能力です。

自分がどのタイプに近いかを考えることで、アピールすべきエピソード選びがスムーズになります。
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継続力以外にも、自分にはどんな強みがあるのか気になりませんか?以下の記事では、簡単な5つのステップで自分の適性や強みを深く掘り下げる「自己分析」のやり方を解説しています。
2.評価される自己PRを作る「3つのステップ」

どんなに素晴らしい継続力があっても、伝え方によっては採用担当者にきちんと伝わりません。単なる継続した事実を、入社後に活かせる強みとして変換するためには、論理的な構成が不可欠です。
ここでは、自身の経験に説得力を持たせ、採用担当者を納得させる自己PRを作るための3つのステップを解説します。この手順に沿って情報を整理していくと、アピールの質を高めることができます。
【STEP1】「なぜ続けたのか」動機を明確にする
採用担当者は、行動の背景にある動機を知りたがっています。
「親に言われたから」「辞めると怒られるから」といった受動的な理由ではなく、自らの意思で継続を選んだ内発的な動機を示すことが大切です。
「好きだから続いた」「悔しかったから続いた」といった感情の源泉を言語化しましょう。
〇内発的な動機の例
- もっとスキルを高めたいという探究心から続けた
- チームの目標達成に貢献したいという責任感から続けた
- お客様に喜んでもらいたいという思いから続けた
このように、なぜ頑張れたのかを言語化しましょう。そうすることで、入社後も主体的に仕事に取り組める人材であると印象づけることができます。
【STEP2】数字を使って「具体性」を持たせる
以下のような抽象的な表現は、人によって受け取り方が異なります。
×抽象的な例
- すごく頑張りました
- 長く続けました
正確にかつ、客観的な事実として伝えるためには、数字を活用します。
〇数字を活用した例
- 期間:「3年間」「6年間」など
- 頻度・量:「週5回」「毎日2時間」「合計100冊の本を読破」など
- 変化・成果:「TOEIC 400点から800点へアップ」「売上を前年比120%達成」など
特に、「継続した結果、どのような変化が生まれたか」を数字で示すと説得力が高まります。
期間が短くても、密度(頻度や量)が高ければ、集中力や没頭力としてアピールすることも可能です。
【STEP3】困難をどう乗り越えたか「エピソード」で補強する
順風満帆なエピソードよりも、一度壁にぶつかり、それを乗り越えた経験の方が、人間性や問題解決能力が伝わります。
以下の「STARメソッド」というフレームワークを意識して構成すると効果的です。

- Situation(状況):どんな環境や目標があったか
- Task(課題):どんな困難や壁に直面したか(例:成果が出ない、モチベーションの低下)
- Action(行動):その困難に対し、どう工夫して継続したか
- Result(結果):その結果、どうなったか
特にAction(行動)の部分で、単に我慢したのではなく、やり方を変えたり、周囲に相談したりといった工夫のエピソードを盛り込むことがポイントです。
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「構成を考えるのが難しい」「文章力に自信がない」という方は、ツールの活用もおすすめです。以下の記事ではAIや質問形式で、採用担当者の視点を押さえた自己PRが簡単に作成できる無料ツールを厳選して紹介します。
3.【状況別】「継続力」アピールのOK例文・NG例文

構成の作り方を理解しても、実際に文章にするのは難しいものです。そこで、ここからはシチュエーション別のOK例文と、ありがちなNG例文を紹介します。
アルバイト、部活動、学業など、自身の経験に近い事例を参考に、継続力について工夫や成果がどう表現されているか確認してください。
例文を枠組みとして活用し、自身のエピソードに合わせて調整することで、説得力のある自己PRを完成させましょう。
アルバイト経験でのアピール例文
アルバイト経験では、仕事に対する責任感や、顧客・店舗への貢献意欲を示すと効果的です。
【例文】
私の強みは、課題解決のために工夫を凝らし、成果が出るまで継続する力です。
学生時代、カフェのアルバイトで新商品の販売促進に取り組みました。
当初はお客様に声をかけても断られることが多く、自信を失いかけました。
しかし、そこで諦めず、お客様の層や時間帯に合わせておすすめする商品を変えるという工夫を取り入れ、毎回の勤務後に反応をノートに記録し続けました。
この取り組みを半年間継続した結果、自身の販売数は店舗平均の2倍になり、店舗全体の売上目標達成にも貢献できました。
貴社の営業職においても、お客様の課題に向き合い、粘り強く提案を続けることで貢献したいと考えています。

断られるという困難に対し、記録と分析という工夫で乗り越えたプロセスが具体的に描かれています。
部活動・スポーツ経験でのアピール例文
スポーツ経験では、自身の成長だけでなく、チームへの貢献(フォロワーシップ)を交えると、組織での適応力が伝わります。
【例文】
私には、地道な努力を積み重ねて目標を達成する継続力があります。
大学のサッカー部では、入部当初はレギュラーになれず、悔しい思いをしました。
技術不足を補うため、全体練習後の自主練習を欠かさず行うことを決意しました。
ただ練習するだけでなく、上手な先輩のプレーを動画で分析し、自分の動きと比較して修正することを1年間毎日継続しました。
その結果、2年生の秋に初めてレギュラーに選出され、リーグ戦での勝利に貢献することができました。
仕事においても、目標達成のために必要な努力を惜しまず、着実に成長していきます。

動画分析という具体的な行動を入れることで、単なる根性論ではない、論理的な思考プロセスを示せています。
学業・資格取得でのアピール例文
学業や資格のエピソードは、実務能力の向上意欲や、自律的に学ぶ姿勢(自己研鑽)をアピールするのに適しています。
【例文】
私の強みは、苦手な分野でも逃げずに取り組み、克服する継続力です。
英語に対して苦手意識がありましたが、将来の選択肢を広げるためにTOEIC 800点取得を目標に掲げました。
スコアが伸び悩み、モチベーションが下がった時期もありましたが、通学時間の30分を必ずリスニングにあてると決め、学習を習慣化しました。
また、間違えた問題の原因を分析するノートを作成し、同じミスをしないよう徹底しました。
この学習を1年間継続した結果、当初450点だったスコアを810点まで伸ばすことができました。
入社後も、新しい知識やスキルを貪欲に吸収し続けたいと考えています。

スランプの時期を習慣化とミスの分析で乗り越えた点が評価ポイントです。
よくあるNG例文と改善ポイント
【NG例文】
私には継続力があります。飲食店で3年間アルバイトを続けました。
大変なこともありましたが、休まずに頑張りました。
この経験から忍耐力がつきました。貴社でも頑張ります。
×改善が必要な点
- 具体的でない:大変なことが何かわからず、どう乗り越えたかが見えません。
- 受動的:休まず頑張っただけでは、当たり前のことと受け取られる可能性があります。
- 工夫がない:思考停止して耐えていたように見え、再現性が感じられません。
このような場合、次のようなエピソード付け加えるだけで、良い自己PRになります。
〇付け加えると効果的な文章
- 大変だった具体的なエピソード(例:クレーム対応、繁忙期のオペレーション)
- それをどう乗り越えたか(例:マニュアルを作成した、声掛けを工夫した)
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継続力以外のアピール方法や、職種別のより詳しい例文が見たい方はこちらをご覧ください。未経験から経験者まで、状況に合わせて使える豊富な例文とテンプレートを掲載しています。
4.面接で「継続力」を質問されたときの対策

書類選考を通過し、面接に進んだ際、継続力をアピールする上で気をつけるべき点があります。
特に、対面でのコミュニケーションでは、継続力が頑固さや変化への拒絶と誤解されるリスクがあるのです。
採用担当者は、何を目的として継続したのかを深掘りしてきます。
ここでは、ネガティブな評価を避け、柔軟性を伴った真の継続力をアピールするための回答のポイントを解説します。以下の項目を確認し、深掘り質問に備えましょう。
「頑固そう」と思われないための伝え方
一つのことを長く続けていると、「融通が利かないのではないか」と懸念されることがあります。
これを払拭するためには、「柔軟性(フレキシビリティ)」をあわせて伝えることが重要です。
「目標は変えずに継続しましたが、やり方は周囲のアドバイスを取り入れて柔軟に変えていきました」
このように伝えることで、芯は強いが、頭は柔らかいという理想的な人物像を印象づけることができます。
「辞めないこと」自体を目的にしない
「なぜ辞めなかったのですか?」と聞かれたときに、「辞めるともったいないから(サンクコストへの執着)」と答えるのは避けましょう。
「この目標を達成するためには、この経験が必要だと判断したからです」
こういった、未来に向けた目的意識を持って継続したことを強調してください。論理的な判断ができる人材であると評価されます。
逆に、目標と異なると判断して、あえて辞める(環境を変える)という決断も、戦略的な柔軟性として評価される場合があります。
逆質問で「学習意欲」を示して補強する
面接の最後にある逆質問の時間を活用し、継続して学ぶ意欲を示すのも有効な戦略です。
学習意欲を示す質問例
- 「活躍されている社員の方々に共通する行動特性はありますか?」
- 「入社までに準備しておいた方が良いスキルや勉強はありますか?」
このような質問は、入社後も成長し続けようとする学習型継続力の証明となり、自己PRの内容を裏付けることができます。
5.「継続力」は、「目標に向かって、工夫しながら適応し続ける力」
単に長く続けたという事実だけでなく、次の項目をセットで伝えましょう。そうすることで、継続力は企業にとって魅力的なスキルとなります。
- なぜ続けたのか(動機)
- どう工夫したのか(行動)
- どんな変化があったのか(成果)
自身の経験を振り返り、自信を持ってアピールできるストーリーを見つけてみてください。
特にAI技術が進化する現代において、新しいスキルを学び続ける学習型継続力は、将来にわたり高く評価される資産となります。