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失業保険を解雇時に受給するには?条件・計算・手続きを解説

予期せぬ解雇宣告を受けたとき、当面の生活費や、収入が突然途絶えることに対する懸念が生じるのは自然なことです。

しかし、このような緊急事態において労働者を守るために、雇用保険(失業保険)という公的なセーフティネットが存在します。解雇(会社都合退職)と認められた場合は、一般的な自己都合退職と比較して、給付制限なく早期に、かつ手厚く給付金を受け取れる仕組みが整えられています。

本記事では、失業保険の受給条件や計算方法、ハローワークでの具体的な手続きの流れについて、雇用保険制度や労働関係法令の観点から客観的かつ分かりやすく解説します。さらに、2025年4月施行の法改正による最新の給付制限の変更点や、会社側とのトラブル(離職票の未発行や退職理由の相違)、不当解雇を争う場合の「仮給付」制度への対応策まで網羅しました。

正しい知識を持つことは、当面の生活基盤を守り、次なるキャリアへ向けて落ち着いて準備を進めるための強固な土台となります。まずは現在の状況を整理し、必要な手続きを一つずつ確認していきましょう。

この記事を読んでわかること
  • 解雇(会社都合退職)による失業保険の受給条件と自己都合退職との違いがわかる
  • 2025年4月の法改正を受けた最新の給付制限期間や受給スケジュールがわかる
  • 離職票の発行トラブルや不当解雇を争う際の具体的な法務・労務的対処法がわかる

1.解雇された場合、失業保険(雇用保険)はどのように受け取れるのか

解雇された場合、失業保険(雇用保険)はどのように受け取れるのか

予期せぬ解雇を言い渡された際、当面の生活費に対する懸念が生じるケースは少なくありません。しかし、雇用保険制度という公的なセーフティネットを正しく活用することで、生活の基盤を守りながら次のステップへ進む準備を整えることができます。まずは、解雇された場合の失業保険の扱いについて基本的なルールを確認していきましょう。

「会社都合退職(特定受給資格者)」となる要件

失業保険の制度において、倒産や解雇などによって「再就職の準備をする余裕なく、突然会社を辞めざるを得なくなった方」のことを「特定受給資格者」と呼びます。これが、一般的に「会社都合退職」と言われるものです。

自ら計画的に退職日を決める自己都合退職とは異なり、解雇による離職は、いわば突然の事故に巻き込まれて職を失ったような状態です。そのため、「早急に生活を立て直すための手厚いサポートが必要である」と判断され、受給条件が有利に設定されています。

具体的に「会社都合退職」として認められるのは、主に以下のようなケースです。

  • 会社都合による解雇:
    業績悪化に伴うリストラ(人員整理)、事業所の廃止、あるいは会社側の一方的な都合によって雇用契約を打ち切られた場合。
  • 会社の倒産:
    勤めていた会社が倒産して離職を余儀なくされた場合。

ここで注意が必要なのは、「解雇」であればすべてが会社都合として優遇されるわけではないという点です。

例えば、横領や無断欠勤など、労働者側に重大な責任がある「重責解雇(懲戒解雇など)」の場合は、自己都合退職と同様の扱いとなり、長期間の給付制限が適用されることが一般的です。

自身の重大な過失によらない、会社側の事情を理由とした解雇であれば、特定受給資格者として認められ、失業保険をより早く、手厚く受け取ることが可能です。

会社都合退職と自己都合退職の違い(給付日数・給付制限など)

会社都合退職(特定受給資格者)と自己都合退職(一般の離職者)では、失業保険の受け取り方に大きな違いがあります。以下の表は、それぞれの主な違いをまとめたものです。

区分待期期間給付制限所定給付日数
会社都合退職(特定受給資格者)7日間なし90日~最大330日
自己都合退職(一般の離職者)7日間原則1か月(※2025年4月法改正より)90日~150日

まず、給付日数(失業保険を受け取れる日数)について、自己都合退職の場合は被保険者期間に応じて90日~150日ですが、会社都合退職の場合は年齢と被保険者期間に応じて90日~最大330日と手厚く設定されています。

また、失業保険を受け取れない「給付制限期間」にも違いがあります。会社都合退職には給付制限がなく、7日間の待期期間を満了すれば受給の対象となります。

一方、自己都合退職の場合は待期期間の後に給付制限期間が設けられています。

ただし、2025年4月1日の雇用保険法改正により、自己都合退職の給付制限期間は原則「2か月」から「1か月」に短縮されました。さらに、離職前1年以内または離職後に国が指定する教育訓練(リスキリング講座など)を自ら受講した場合は、この給付制限期間が解除される特例も始まっています。自己都合退職であっても、以前より早く受給できる環境やスキルアップを支援する制度が整いつつあります。

参考:厚生労働省|令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます

▼あわせて読みたい

自己都合・会社都合それぞれの給付日数や待期期間の違いをさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。受給開始日の目安や手続きの流れも合わせて解説しています。

失業保険はいつからもらえる?自己都合・会社都合の日数と手続き
https://riretsuku.jp/media/contents/when-can-i-start-receiving-unemployment-insurance/

2.失業保険はいつから、いくらもらえる?受給スケジュールと計算方法

失業保険受給までのタイムライン

ハローワークで手続き

離職票を提出し、求職の申し込みを行います。

待期期間(7日間)

失業状態であることを確認する共通の期間です。

この期間のアルバイトは絶対NG!

支給対象期間スタート!
(会社都合の場合)

待期期間終了後、すぐに支給の対象となります。

※自己都合退職の場合

ここから原則2か月の給付制限があります。この期間が経過するまで支給対象になりません。

初回認定日

手続きから約4週間後。
ハローワークで失業の認定を受けます。

¥

初回振込(約1か月後)

認定日から数日〜約1週間で、指定口座に振り込まれます。

当面の生活設計を立てるためには、いつから、いくらの給付金が手元に入るのかを把握することが極めて重要です。受給開始までのスケジュールと、受け取れる金額の計算方法を解説します。

受給開始までの流れと待期期間(7日間)

ハローワークで求職の申し込みと離職票の提出を行うと、受給資格が決定されます。その日から通算して7日間は「待期期間」と呼ばれ、退職理由を問わず失業保険は支給されません。

会社都合退職の場合は、この7日間の待期期間が終わるとすぐに支給対象期間に入ります。その後、指定された認定日にハローワークで失業の認定(原則4週間に1回)を受けることで、数日後に指定口座へ給付金が振り込まれます。

初回振込の目安としては、ハローワークでの手続きから約1か月後となります。

基本手当日額と所定給付日数の決まり方

失業保険で1日あたりに受け取れる金額を「基本手当日額」と呼びます。これは、退職前6か月の給与総額(賞与を除く)を180で割った「賃金日額」のおよそ50%~80%(最大8,355円など※年齢により上限額は異なります)の範囲で算出されます。賃金が低かった方ほど高い給付率が適用される仕組みです。

この基本手当日額に、年齢や被保険者期間、退職理由によって決まる「所定給付日数」を掛けた金額が、受給できる総額の上限となります。正確な金額を知りたい場合は、ハローワークの窓口で確認するか、雇用保険の各種計算ツールなどを活用して目安を把握しておきましょう。

参考:ハローワークインターネットサービス|基本手当の所定給付日数

▼あわせて読みたい

「実際に自分はいくらもらえるの?」という疑問には、計算式と年齢別シミュレーションで具体的な受給額の目安を確認できるこちらの記事が役立ちます。

失業保険はいくらもらえる?計算式と年齢別シミュレーション
https://riretsuku.jp/media/contents/how-much-unemployment-insurance-can-i-receive/

3.解雇に伴う失業保険の手続きと必要書類

退職からハローワーク手続きまでの全体フロー

STEP 1:会社から離職票が届く

退職後、通常10日〜2週間程度で自宅に郵送されます。

退職日 10日〜2週間

⚠️ トラブル時の対応

「離職票が届かない」「自己都合退職にされている」場合は、
ハローワークへ相談・確認請求を行いましょう!

STEP 2:必要書類を準備する

離職票のほか、マイナンバーカード(身分証)、写真2枚、本人名義の預金通帳などを用意します。

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STEP 3:ハローワークで手続き

管轄のハローワーク窓口に行き、求職の申し込みと失業保険の手続きを行います。

失業保険を受け取るための手続きは、退職した会社から必要書類を受け取るところから始まります。手続きの流れと、トラブルが起きた際の対処法を確認します。

離職票の受け取りとハローワークでの手続き

失業保険を受け取るための第一歩は、退職した会社から「離職票」を受け取ることです。退職からハローワークでの手続きまでの具体的な流れを、3つのステップで確認していきましょう。

ステップ1:会社から離職票が届くのを待つ
退職後、会社はハローワークでの手続きを経て、「雇用保険被保険者離職票(離職票-1、離職票-2)」を発行し、自宅へ郵送します。法律上、会社は退職日(離職日)の翌日から起算して10日以内に手続きを行う義務があるため、手元に届くのは退職日から10日〜2週間程度が目安となります。

届いた書類のうち、「離職票-2」には退職理由や離職前の賃金状況が記載されています。特に解雇の場合は、手続きを進める前に、退職理由の欄が事実通り「会社都合」となっているかを必ず確認することが重要です。
ステップ2:必要書類を準備する
離職票が手元に届いたら、手続きのための持ち物を準備します。主な必要書類は以下の通りです。

・雇用保険被保険者離職票(離職票-1、離職票-2)
・マイナンバーが確認できる書類(マイナンバーカード、通知カードなど)
・身元確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど、写真付きのもの)
・最近撮影した証明写真2枚(縦3.0cm×横2.5cm)
・本人名義の預金通帳またはキャッシュカード(給付金の振込先となる口座)
ステップ3:管轄のハローワークで手続きを行う
準備が整ったら、現住所を管轄するハローワークの窓口へ向かいます。

失業保険は「働く意思と能力があり、仕事を探している状態」の方に支給される制度です。そのため、窓口では離職票の提出と同時に、「求職の申し込み(求職者登録)」を必ず行います。

担当者が書類の内容を確認し、問題がなければ「受給資格の決定」が行われます。その後、雇用保険の仕組みを学ぶ「受給説明会」や、失業状態を確認する「初回認定日」の日程が案内され、本格的な受給スケジュールがスタートします。

会社が離職票を発行してくれない場合・自己都合を強要された場合の対処法

「会社が離職票を発行してくれない」「解雇なのに離職票の退職理由が『自己都合』にされている」といったトラブルは少なくありません。
離職票が届かない場合は、まず会社へ状況を確認します。それでも発行されない場合は、ハローワークへ相談することで、ハローワークから会社へ発行を促すことができます。

また、会社都合であるにもかかわらず自己都合での退職を強要されたり、離職票の記載が事実と異なる場合は、離職票の離職理由欄にある「異議あり」にチェックを入れてハローワークに提出してください。

その際、解雇予告通知書や解雇理由証明書、メールのやり取りなど、会社側の都合による解雇であることを客観的に証明できる資料を提示して「確認請求」の手続きを行うことで、ハローワークの調査を経て会社都合退職として認められる道が開かれます。

▼あわせて読みたい

離職票の受け取り以外にも、退職後にはさまざまな手続きが必要です。健康保険の切り替えや年金手続きなど、退職後にやるべきことをリスト形式で確認できる記事もご参照ください。

【退職手続きやることリスト】円満退職準備~退職後の手続きまで解説
【退職手続きやることリスト】円満退職~退職後の手続きまで解説
退職の法的権利から円満な進め方、業務引継ぎ、退職後の健康保険手続きまで解説。2週間前申し出の権利と実際の円満退職のコツ
https://riretsuku.jp/media/contents/resignation-to-do-list/

4.不当解雇を争う場合の特例「仮給付」制度とは

不当解雇を争う場合の特例「仮給付」制度

不当解雇を争う(雇用契約の継続を主張)

「私はまだこの会社の社員だ!」と主張している状態です。

本来は「失業保険NG」

失業状態(退職していること)が前提の制度であるため、原則として受給できません。

特例措置

「仮給付」が受けられる!

生活を保障するため、争っている期間中も暫定的に失業保険を受け取ることができます。

争いが解決した結果によって扱いが変わります

ルートA:会社に戻る / 賃金を得る
  • 解雇無効となり、会社に復職する
  • 未払い賃金(バックペイ)が支払われる形で合意退職する
【全額返還】

※賃金と失業保険の二重取りになるため、受け取った仮給付は全額返還します。

ルートB:退職を受け入れる
  • 復職せず、合意退職する
  • 解決金などの名目で、未払い賃金(バックペイ)としての支払いがない
【そのまま正式な給付へ】

※退職が確定したため、返還の必要はなく、正式な失業保険の受給に切り替わります。

解雇の理由に納得がいかず、労働審判や裁判等で「不当解雇」として争う場合でも、失業保険を受け取る道は残されています。それが「仮給付」という制度です。

仮給付の手続きと必要なもの

不当解雇を争うということは「自分はまだその会社の従業員である(雇用契約は継続している)」と主張することになるため、本来であれば「失業」の状態には当てはまらず、失業保険は受け取れません。しかし、争いが長期化した場合の生活保障という観点から、特例として失業保険の「仮給付」が認められています。

仮給付の手続きには、通常の必要書類に加えて、不当解雇を争っている事実を証明する書類(労働審判の申立書の写しや、弁護士への依頼を証明する書類(受任通知など)、あるいは地位確認請求訴訟の訴状の写しなど)をハローワークに提出し、事情を説明する必要があります。

解雇が撤回され復職した場合の返還について

仮給付はあくまで「仮」の措置です。もし争いの結果、解雇が無効となって復職が決まったり、和解等により未払い賃金(バックペイ)が支払われたりした場合には、仮給付として受け取った失業保険は全額ハローワークに返還しなければなりません。

一方で、復職せずに合意退職として解決し、賃金相当額が支払われなかった場合は、仮給付はそのまま正式な失業保険の給付として扱われます。将来的な返還のリスクも念頭に置きつつ、当面の生活を維持するための制度として理解しておきましょう。

5.失業保険受給中の注意点と再就職活動への影響

失業保険受給中の注意点と再就職活動への影響

失業保険を正しく受給し続けるためには、ルールを守った行動が求められます。特に注意すべき点と、再就職活動への影響について解説します。

待期期間中や受給中のアルバイトについて

失業保険の手続き後、7日間の待期期間中は完全に失業している必要があるため、一切のアルバイトやパートをすることはできません。わずかな収入であっても待期期間が延長されてしまうため注意が必要です。

待期期間経過後や受給期間中については、ハローワークへ正しく申告することを条件に、一定の範囲でアルバイトをすることが認められています。ただし、1日の労働時間が4時間以上の場合はその日の失業保険が支給先送りとなり、4時間未満の場合は収入額に応じて失業保険が減額されることがあります。

また、週20時間以上の就労は雇用保険の加入要件を満たす「就職」とみなされるため、アルバイトの働き方には十分な注意とハローワークへの事前相談が不可欠です。

履歴書の退職理由はどう書くべきか

会社都合で解雇された場合、履歴書や職務経歴書の退職理由をどう記載すべきか悩む方は多いでしょう。

基本的には「会社都合により退職」と事実を記載するのが誠実な対応です。面接等で理由を聞かれた際は、業績悪化や事業縮小など、会社側の経営事情によるものであれば、それを客観的かつ簡潔に伝えます。

自身のスキル不足や人間関係が理由とされている場合は、感情的にならずに事実を受け止めつつ、その経験から何を学び、応募先企業でどう活かしていくのかという前向きな姿勢(自己の強みや課題解決能力への転換)を示すことが、選考においてマイナスイメージを払拭する鍵となります。

6.正しい知識で当面の生活を守り、次のステップへ

解雇という予期せぬ事態においても、雇用保険制度などの公的なセーフティネットと正しい法務・労務知識を活用することで、当面の生活基盤を守りながら、不当な扱いには適切に対処し、次へのステップを冷静に踏み出すことができます。

特に2025年4月の法改正により、自己都合退職時の給付制限が短縮され、教育訓練を受講した場合の制限解除など、労働者を支援する制度は拡充されています。万が一、不本意な形で会社を去ることになったとしても、一人で悩みを抱え込まず、ハローワークの窓口や労働問題の専門機関などを積極的に頼りながら、ご自身の権利を守り、次のキャリアに向けた準備を進めていくことが重要です。

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