運送業への転職を考える際、「志望動機がうまく書けない」「未経験なのでアピールできる強みがない」と悩んでいませんか?
特に運送業は、社会インフラを支える重要な役割を担う一方で、採用側には特有の視点があります。
この記事では、運送業の採用担当者が見ているポイントを踏まえ、自身の経験を「強み」として言語化し、説得力のある志望動機を作成するための具体的なステップを解説します。
- 運送業の採用担当者が志望動機で重視する「3つの視点」
- 未経験でもアピールできる「強み(資質)」の見つけ方
- 職種別(ルート・長距離等)の具体的な志望動機例文とNG例
1.運送業の「今」と志望動機の重要性

運送業は今、ドライバー不足という大きな課題に直面しています。
だからこそ、企業は「長く安全に働いてくれる人」を見極めるため、志望動機を重視している状況です。
なぜ今、運送業が注目されるのか(2024年問題とドライバー不足)
現在、日本の物流は大きな転換点にあります。ECサイト(ネット通販)の利用拡大により荷物量は増え続ける一方、ドライバー不足は深刻化しています。
2024年4月からは「働き方改革関連法」の猶予期間が終了し、ドライバーにも時間外労働の上限規制が適用され、人手不足に拍車がかかっています。この「物流の2024年問題」への対応が急務となっています。
国土交通省の資料によれば、このまま対策を講じない場合、2030年度には輸送能力が34.1%不足する可能性が示されています。
いわゆる「物流の2024年問題」やドライバー不足という社会課題の解決に直接貢献できる点が、運送業の仕事の大きな意義です。
採用担当者は「志望動機」で何を見ている?
運送業の採用担当者は、志望動機を通じて「長く、安全に、責任をもって働いてくれるか」を厳しく見ています。
運送業は、荷物を預かる責任や、公道で車両を運転する安全性、そして新人教育にかかるコストの側面から、「すぐに辞めてしまう」リスクを避けたいという意識が他業種より強い傾向があります。
そのため、志望動機はこれらの懸念を払拭し、信頼できる人材であることを示すための「回答書」となります。
2.志望動機を書く前の「強み」の棚卸し

運送業の採用側が共通して求めている資質は、主に3点です。
これまでの経験から当てはまるものがないか、棚卸しをしてみましょう。
たとえ運送業自体は未経験でも、今までの就業経験からこれらの資質を身に着けたエピソードを語ることができれば、とても魅力的な自己アピールにつながります。
資質1:体力・忍耐力(継続性の証明)
運送業は、荷物の積み下ろしや長時間の運転など、体力や忍耐力が必要な場面が多い仕事です。
- 体を動かすことが好き
- 前職で〇年間、早朝勤務を続けた
このような経験は、「長期的に継続できる」という信頼につながるアピールポイントです。
資質2:安全運転への意識(信頼性の証明)
運送会社にとって「交通事故」は最大のリスクです。
そのため、「運転が好き」というだけでなく、「安全運転への意識が高い」ことが重要視されます。そしてその高い安全意識が公的に証明されている場合は、積極的にアピールしましょう。
- ゴールド免許を保持している
- 〇年間、無事故・無違反を継続している
上記の事実は、分かりやすい強みの一つです。
資質3:コミュニケーション能力(協調性の証明)
ドライバーは一人の時間も多いですが、決して一人で完結する仕事ではありません。
荷主(顧客)への対応、配送先での挨拶、社内の運行管理者との連携など、円滑な人間関係を築く能力が求められます。
前職での「接客経験や営業経験」「チームで協力して目標を達成した経験」などは、協調性をアピールする材料となります。
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未経験から新しい業界に挑戦する際の不安解消法や、成功に導く具体的なステップを知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
3.採用担当者が懸念する「3つの視点」

発掘した「強み」は、採用担当者が持つ「懸念」を払拭するために用いることができます。
採用側が特に注目する3つの視点を理解し、志望動機で先回りして回答しましょう。
視点1:すぐに辞めてしまわないか(長期継続性)
採用側は、教育コストの観点から「長期で働いてくれそうか」を重視します。
そのため、「体力・忍耐力」のアピールや、その会社で実現したい長期的なビジョンを伝えることで、この懸念に応ることが大切です。
視点2:事故を起こさないか(安全性・適性)

企業の社会的信用に関わるため、「安全運転への意識」は厳しくチェックされます。
「安全運転への意識」に関する具体的な実績(無事故・無違反歴など)を提示することが、何よりの説得材料となります。
視点3:顧客や仲間と良好な関係を築けるか(協調性)
荷主や配送先との関係性が会社の評判に直結するため、「コミュニケーション能力」や「責任感」も重要です。

「コミュニケーション能力」に関するエピソードを盛り込み、安心感を与えることを意識してみましょう。
4.採用される志望動機「3つの柱」の作り方

採用側の懸念を理解できたら、次は志望動機を具体的な「3つの柱」で組み立てていきます。
柱1:なぜ「運送業」を選んだのか(業界理由)
数ある仕事の中で、なぜ運送業を志望しているのかを説明します。
「運転が好きだから」といった理由に加え、「社会インフラを支える仕事に魅力を感じた」「ドライバー不足という社会課題の解決に貢献したい」といった、業界の意義に触れると説得力が増します。
柱2:なぜ「その会社」を選んだのか(会社理由)
数ある運送会社の中で、なぜ応募先を選んだのかを明確にします。ここで有効なのが「企業研究」です。
例
業界の課題(2024年問題)に対し、応募先企業が「ドライバーの労働環境改善にどう取り組んでいるかを調べる。
例:デジタル化、給与体系の見直しなど

「デジタル化の推進で御社が取り組んでいる◯◯の施策に感銘を受けました」といったように伝える方法は、具体的で説得力があります。
参考|全日本トラック協会:知っていますか?物流の2024年問題
柱3:入社後どう「貢献」できるのか(活躍可能性)
自己分析を通じて見つけた「強み(資質)」を使い、入社後にどう活躍できるかをアピールします。
- 「体力には自信があるため、タフな配送業務でも貢献できる」
- 「安全運転への意識を徹底し、貴社の信頼維持に貢献する」
- 「前職の接客経験を活かし、顧客満足度の向上に貢献したい」
といったように、具体的に述べましょう。
5.【例文】職種別・経験別の志望動機

ここでは主要な職種・経験別の例文を紹介します。
ただし、この例文をそのままコピーして使用することは避けてください。個々の経歴や言葉に書き換えることで、オリジナリティのある志望動機になります。
【未経験者向け】ルート配送の志望動機

【柱1:業界理由】
社会のライフラインを支える物流の仕事に魅力を感じ、志望いたしました。
【柱2:会社理由】
中でも貴社は、〇〇(地域名)の食品配送に特化し、徹底した品質管理で地域の食生活を支えておられる点に強く惹かれました。
【柱3:貢献】
前職は飲食業で、7年間の接客経験があります。
体力には自信があり、早朝勤務も継続してきました。
また、お客様への明るい挨拶や丁寧な対応を心がけてきた経験は、貴社のルート配送ドライバーとして、配送先での信頼関係構築に活かせると考えております。
〇年間無事故無違反の安全運転を徹底し、一日も早く戦力となれるよう貢献する所存です。
【経験者向け】ルート配送の志望動機

【柱1&3:業界理由&貢献】
現職では、〇〇(地域)で2トントラックを使用し、日用品のルート配送を3年間担当しております。
日々の業務では、単に荷物を届けるだけでなく、配送先のお客様とのコミュニケーションを大切にし、「ありがとう」の言葉をいただくことにやりがいを感じてまいりました。
【柱2:会社理由】
現職では個人宅への配送が主ですが、今後は企業間物流(BtoB)の分野でキャリアを深めたいと考え、〇〇業界の企業配送に強みを持つ貴社を志望いたしました。
現職で培った正確な配送ノウハウと安全運転の意識(ゴールド免許保持)を活かし、貴社の即戦力として貢献いたします。
【未経験者向け】長距離ドライバーの志望動機

【柱1:業界理由】
日本の物流の大動脈を支える長距離輸送の役割に、強い責任感とやりがいを感じ志望いたしました。
【柱2:会社理由】
未経験から大型免許を取得しましたが、貴社が「安全教育」と「無理のない運行スケジュール」を最優先されている点に魅力を感じました。
また、2024年問題に対し、ドライバーの収入維持と環境改善に積極的に取り組む姿勢(例:具体的な取り組み)にも将来性を感じております。
【柱3:貢献】
前職(例:工場勤務)で培った体力と忍耐力には自信があります。
また、5年間無事故無違反を継続しており、安全への意識は人一倍強いと自負しております。
まずは貴社の教育プログラムで確実に技術を習得し、日本の物流を支える一員として貢献したいと考えております。
【経験者向け】長距離ドライバーの志望動機

【柱1&3:貢献】
大型トラックドライバーとして、過去5年間、主に関東・関西間の長距離輸送に従事してまいりました。
月平均〇万キロの運行を、無事故で継続してきた実績があります。
徹底した体調管理と、荷崩れを防ぐ丁寧な荷扱いや運転技術には自信があります。
【柱2:会社理由】
これまでは様々な荷物を扱ってきましたが、自身のキャリアとして〇〇(例:精密機器、危険物など)という専門性の高い分野の輸送に特化したいと考えました。
同分野で業界トップクラスの実績とノウハウを持つ貴社で、自身の経験を活かしつつ、さらなるスキルアップを目指したいと考え、志望いたしました。
【未経験者向け】セールスドライバーの志望動機

【柱1:業界理由】
物流の「最後の砦」として、お客様に直接荷物と思いを届けるセールスドライバーの仕事に魅力を感じました。
【柱3:貢献】
前職は携帯電話の販売員として、3年間勤務しました。お客様のニーズをヒアリングし、最適なプランを提案する業務を通じて、コミュニケーション能力と提案力を培いました。
【柱2:会社理由】
貴社が単なる「配送」にとどまらず、お客様への「提案」を重視するセールスドライバーの育成に力を入れている点に強く共感しております。
前職で培った「傾聴力」と「提案力」を活かし、運転技術(普通免許取得後〇年無事故)を磨くことはもちろん、貴社の「顔」として地域のお客様から信頼されるドライバーを目指します。
【経験者向け】セールスドライバーの志望動機

【柱1&3:貢献】
現職でセールスドライバーとして4年間、〇〇エリアの集荷・配達を担当しております。
担当エリアの売上目標に対し、前年比〇〇%の達成を継続してきました。
特に、新規顧客への集荷提案や、既存顧客への〇〇(新サービス)の利用促進に力を入れてきました。
【柱2:会社理由】
今後は、より広範な物流ソリューション(例:国際物流、倉庫管理など)を提供できる環境で、法人顧客の課題解決に深く携わりたいと考えるようになりました。
ワンストップで多様な物流サービスを展開されている貴社であれば、自身の提案の幅を広げ、より高いレベルで顧客貢献ができると確信し、志望いたしました。
6.注意!書いてはいけない「NG志望動機」

たとえ熱意があっても、志望動機の記載内容次第では、逆効果になるケースがあります。
ここでは、志望動機を記入する際に注意しておきたいポイントを3つ紹介します。
NG例1:待遇面(給与・休日)への言及のみ
「給与が高いから」「休日が多いから」といった待遇面だけを理由にすると、「条件が合わなくなれば、すぐに辞めてしまうかもしれない」という懸念を抱かせます。
待遇は重要な要素ですが、志望動機の中心に据えるのは避けましょう。
NG例2:前職へのネガティブな転職理由
「前職の人間関係が悪かったから」「残業が多すぎたから」といったネガティブな理由は、「同じ理由で辞めるのではないか」「不満を他責にしがち」という印象を与えます。
転職理由は、「〇〇というスキルを(現職ではできなかったが)高めたい」といった、前向きな言葉に転換することが重要です。
NG例3:「運転が好き」という理由だけ

「運転が好き」という動機は大切ですが、それだけでは「趣味の延長」と捉えられかねません。
運送業は「安全」と「責任」を伴う仕事です。
「運転が好き」という土台の上に、「だからこそ安全運転を徹底できる」「そのスキルを社会貢献に活かしたい」といった、プロ意識を付け加える必要があります。
7.「アピールできる強みがない」と感じた時の対処法

転職活動において「アピールできる強みがない」と感じることは、珍しいことではありません。
その悩みは、能力が不足しているのではなく、自身の経験を「強み」としてまだ言語化できていないだけかもしれません。
「強みがない」は「言語化できていない」だけ
「強みがない」と感じている時、自身の経験を「強みとして言語化・構造化できていない」という場合があります。
まずは自身の経験を見つめ直すことから始めてみましょう。
例えば、「毎日休まず出勤した」という経験は、「自己管理能力」「責任感」という強みに、「指示された作業を黙々とこなした」経験は、「集中力」「正確性」という強みに再定義できます。
完璧主義を和らげる(インポスター症候群)
実績があるにもかかわらず、「自分は評価に値しない」「運が良かっただけ」と感じてしまう心理状態は、心理学の分野では「インポスター現象」と呼称されます。

「完璧でなければ価値がない」という完璧主義が、自身の強みを正当に評価することを妨げているかもしれません。
まずは「実績によらない自己肯定感の土台を築くこと」が重要です。
結果ではなく「プロセス」を評価する
転職活動は、内定という「結果」が出るまで時間がかかるものです。
不採用が続くと自信を失いがちですが、コントロール不可能な「結果(内定)」ではなく、コントロール可能な「プロセス(1社に応募したこと自体)」を評価する習慣をつけましょう。
「今日も1社、企業研究を終えた」「応募書類を見直した」という自身の「行動」と「成長」に焦点を当てることが、安定した自己肯定感を維持する鍵となります。
8.運送業の志望動機に関するよくある質問(FAQ)

運送業の志望動機に関してよく寄せられる質問をまとめました。
応募前の確認として、ご活用ください。
Q.未経験でも本当に採用されますか?
A.採用される可能性は十分にあります。
運送業界は深刻なドライバー不足に直面しており、多くの企業が未経験者の採用と教育に力を入れています。
志望動機では、「なぜ運送業か」という熱意と、「安全運転への意識」「体力」といった適性をしっかりアピールすることが鍵となります。
Q.体力に自信がなくても大丈夫ですか?
A.職種によります。
長距離ドライバーや荷物の積み下ろしが多い仕事では、一定の体力が求められます。
しかし、例えばセールスドライバーや特定のルート配送、あるいは運行管理者など、体力よりもコミュニケーション能力や管理能力が重視される職種もあります。
そのため、運送業の中でも自身の適性に合った職種を選ぶことが重要です。
Q.自分で書いた志望動機がこれで大丈夫か確認したいのですが?
A.ご安心ください。この記事で解説した「採用担当者が重視するポイント」を総括したチェックリストをご用意しました。志望動機が説得力のある「3つの柱」で構成されているか、最終確認してみましょう。
📘 運送業の志望動機「説得力向上チェックリスト」
※バーの長さは、志望動機における説得力の目安(重要度)を示します。
記事の該当箇所:「強み(資質)」の棚卸し
前職での経験から、体力・忍耐力、安全運転への意識、コミュニケーション能力のいずれかを具体的なエピソードで示せていますか?※「運転が好き」だけでは不十分です。「安全への責任感」を付加しましょう。
記事の該当箇所:採用される志望動機「3つの柱」
- なぜ「運送業」か?(社会貢献など)
- なぜ「この会社」か?(企業研究の結果)
- 入社後どう「貢献」できるか?(具体的な活躍可能性)
この3要素のバランスが取れているか確認しましょう。
記事の該当箇所:採用担当者が懸念する「3つの視点」
「長く働きたい理由」や「体力・忍耐力」に関する実績を伝え、採用側の「すぐに辞めてしまわないか」という懸念を払拭できていますか?記事の該当箇所:注意!書いてはいけない「NG志望動機」
給与や休日などの待遇面のみを強調していませんか?前職のネガティブな転職理由をそのまま記載していませんか?(前向きな言葉に変換しましょう)9.自身の「強み」と「熱意」を具体的な言葉で伝えよう

運送業の志望動機は、「採用側の懸念」を理解し、自身の経験を「強み」として再定義し、その不安を払拭する形で「3つの柱(業界・会社・貢献)」を組み立てることが重要です。
社会インフラを支える重要な仕事への熱意と、責任感を持って業務を遂行できることを、具体的な言葉で伝えてみましょう。
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