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失業保険は非課税!退職後の年末調整・確定申告と税金手続き

退職から再就職までの期間、日々の生活の支えとなる失業保険(基本手当)。

会社を離れると、これまで会社が代行してくれていた税金や社会保険の手続きをすべてご自身で行う必要が出てきます。

「受け取った失業保険にも税金はかかるのだろうか」

「新しい就職先で年末調整に出すべき収入に含まれるのか」

各種手続きに戸惑うケースも少なくありません。

結論からお伝えすると、失業保険は非課税であり、税金は一切かかりません。
しかし、年の途中で退職したという事実によって、ご自身で「確定申告」を行うことで払いすぎた税金が戻ってくる(還付される)可能性が高くなります。

この記事では、労働法規および税法に基づき、失業保険と税金の関係、確定申告によって還付金を受け取れる(税金の負担が軽減される)ケース、そして混同しやすい「扶養」の条件について、分かりやすく詳細に解説します。

この記事を読んでわかること
  • 失業保険と税金の基本的な関係(非課税である法的な理由)
  • 退職後に確定申告が必要になる、または税金が戻ってくる具体的なケース
  • 失業保険を受給しながら家族の「税金上の扶養」「社会保険上の扶養」に入るための条件の違い

1.結論:失業保険は非課税!年末調整も確定申告も原則不要です

結論:失業保険は非課税!年末調整も確定申告も原則不要です

退職後の収入源として重要な失業保険ですが、受け取るにあたって税金が差し引かれるのか疑問に感じるケースは多く見られます。ここでは、雇用保険法や税法における給付金の扱いに関する原則的なルールを解説します。

雇用保険制度における失業手当の扱い

失業手当(基本手当)は、雇用保険法第12条の規定により非課税として扱われます。したがって、年末調整や確定申告において、これらを課税対象の「収入」として申告する必要はありません

失業保険は、離職から次の仕事が見つかるまでの期間、求職者の生活の安定を図り、就職活動を円滑に進めることを目的とした公的な給付制度です。そのため、受け取った給付金から所得税や住民税が差し引かれることはなく、支給決定された全額がそのまま指定口座に振り込まれます。年間の総受給額がいくらになっても、この非課税という扱いは変わりません。

再就職手当などその他の給付金に関する税務上の扱い

失業保険(基本手当)だけでなく、早期に再就職を決めた際に受け取れる「再就職手当」「就業促進定着手当」、あるいはスキルアップのために受講した際の「教育訓練給付金」、育児休業中の「育児休業給付金」なども同様に非課税の扱いです。

これら雇用保険から支給される手当全般について、受給したことによる確定申告を行う必要はありません。

ただし、退職時に会社から「退職金」を受け取っている場合は、「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出していないと、退職金に対して一律20.42%の所得税等が源泉徴収されていることがあります。この場合は確定申告で精算が必要になることがあるため注意が必要です。

参考:e-Gov|雇用保険法第12条
参考:国税庁|退職手当等に対する源泉徴収

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失業保険の手続きは、退職後のやることリストの一部です。こちらの記事で、健康保険の切り替えや離職票の受け取りなど、退職後に必要な手続きをまとめて確認しておきましょう。

【退職手続きやることリスト】円満退職準備~退職後の手続きまで解説
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2.【状況別】年の途中で退職した場合の税金手続き

年内に再就職する場合

1
提出するもの

源泉徴収票
新しい会社に提出します

2
精算の手順

前職+今の会社の給与を
会社が合算して再計算

3
完了

年末調整だけで
手続きがすべて終了します

社内期限: 12月入社などで提出が間に合わない場合は、自身での確定申告が必要です。

年内に再就職しない場合

1
必要なこと

翌年2/16〜3/15に
自分で確定申告をします

2
精算の手順

払いすぎた税金を
税務署へ報告して精算

3
結果

多く払っていた分が
還付金として戻ります

便利: マイナンバーカードがあれば、スマホ(e-Tax)で自宅から手続きできます。

前述の通り、失業保険自体に税金はかかりません。しかし、「年の途中で会社を退職した」という事実そのものが、給与に対する税金(所得税)の精算手続きを必要とします。

日本の税制では、毎月の給料から所得税が「概算」で天引き(源泉徴収)されています。これは「1月~12月まで、同じ給与水準で1年間働き続ける」という前提で計算されているためです。年の途中で退職して無収入の期間ができると、本来納めるべき1年間の正しい税額よりも、すでに天引きされた金額のほうが多くなる「払いすぎ」の状態が起こりやすくなります。

このズレを正しく精算するための手続きが、再就職の状況によって以下の2つのパターンに分かれます。

1. 年内に再就職を果たした場合(新しい会社での年末調整)

年の途中で退職し、同じ年の12月31日までに新しい会社へ入社した場合は、原則として新しい会社が税金の精算(年末調整)を代行してくれます。

  • 必要な対応:
    前の会社から発行された「給与所得の源泉徴収票」を、新しい会社の人事・労務担当者へ提出します。
  • 仕組み:
    前職での給与と、新しい会社での給与を合算し、1年間のトータルの所得に対して正しい税額が再計算されます。
  • 注意点:
    年末調整の提出には社内期限(一般的に11月下旬〜12月上旬)があります。12月ギリギリの入社などで源泉徴収票の提出が間に合わなかった場合は、新しい会社での年末調整に前職分を含めることができず、翌年にご自身で確定申告を行う必要があります。

2. 年内に再就職しなかった場合(自身で行う確定申告)

年の途中で退職し、年内に再就職が決まらず失業状態のまま年を越した場合、会社による年末調整を受けることができません。払いすぎた税金をそのままにして損をしないよう、ご自身で税務署へ申告(確定申告)を行う必要があります。

  • 必要な対応:
    翌年の所定の期間(原則として2月16日〜3月15日)に、前の会社から発行された「給与所得の源泉徴収票」を用いて確定申告を行います。
  • 仕組み:
    1月1日から退職日までに得た給与と、あらかじめ天引きされていた所得税額を申告することで、払いすぎていた差額が精算されます。
  • メリット:
    この申告を行うことで、多く払いすぎていた税金が「還付金」として指定した銀行口座に戻ってきます。現在はスマートフォンやパソコンから国税庁の「e-Tax(電子申告)」を利用することで、税務署に行かずに自宅から手続きを完了させることも可能です。

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退職後は所得税だけでなく住民税の支払い方も変わります。こちらの記事で、転職先での天引きが始まるまでの納付方法など、住民税の手続きも合わせて確認しておきましょう。

転職後の住民税はどうなる?手続きの全知識をパターン別に徹底解説
https://riretsuku.jp/media/contents/jobchange-resident-tax/

3.失業保険の受給中に確定申告をすると「税金が戻る」ケース

失業保険の受給中に確定申告をすると「税金が戻る」ケース

年内に再就職しなかった場合は、ご自身で翌年の2月16日〜3月15日頃に「確定申告」を行うことで、金銭的なメリットを得られる可能性が高くなります。

退職までに払いすぎた所得税の還付

前述した通り、年内に再就職しなかった場合は確定申告を行うことで「還付金」を受け取れる可能性が高くなります。実際に税金が戻ってくるかどうかは、前職から発行された「給与所得の源泉徴収票」を見ることで確認できます。

源泉徴収票の中にある「源泉徴収税額」という欄に金額が記載されていれば、それが在職中に給与から天引きされていた所得税の合計額です。年の途中で退職して無収入の期間がある場合、この記載金額の一部、あるいは全額が戻ってくるケースが一般的です。

手続き自体は源泉徴収票の数字を転記するシンプルなもので、申告からおおむね1〜1ヶ月半程度で指定口座に振り込まれるため、離職中の生活資金として非常に役立ちます。

医療費控除や国民健康保険料などの社会保険料控除

退職した年は、給与所得の精算だけでなく、以下のような支払いがある場合も確定申告(還付申告)を行うことで、さらに税金の負担を軽減できる可能性があります。

  • 社会保険料控除:
    退職後、ご自身で市区町村に支払った「国民健康保険料」や「国民年金保険料」は、全額が所得控除の対象になります。
  • 生命保険料控除:
    個人で加入している生命保険や医療保険の保険料も控除対象です。10月〜11月頃に届く控除証明書を添付して申告します。
  • 医療費控除:
    1月1日から12月31日までの1年間に、ご自身や生計を共にする家族のために支払った医療費が一定額(一般的には10万円)を超えた場合、超過分が控除の対象となります。

4.失業保険をもらいながら配偶者の「扶養」に入れる条件

退職後、配偶者など家族の「扶養」に入って各種保険料の負担を抑えたいと考えるケースは多く見られます。しかし、失業保険を受給する場合、この「扶養」の条件は非常に複雑になります。

最も重要なポイントであり、同時に最も間違いやすいのが、「税金上の扶養」と「社会保険(健康保険・年金)上の扶養」では、ルールの基準が全く異なるということです。それぞれの仕組みを詳しく見ていきましょう。

1. 「税金上の扶養」:失業保険は収入にカウントされない

税金上の扶養(所得税など)

失業保険は「収入0円」

失業保険は非課税所得です。どれだけ多く受給しても、税金(配偶者控除など)の判定では収入としてカウントされません。

判定:扶養OK 受給中も手続き不要で扶養に入れます

配偶者控除や配偶者特別控除を受けるための「税金上の扶養」の判定において、非課税である失業保険の給付金は「収入」としてカウントされません。

  • 判定の基準:その年の1月1日〜12月31日までの「課税対象となる所得」の合計額。
  • 失業保険の扱い:非課税のため「0円」として扱われます。
  • 結論:退職するまでに得た給与収入等が税法上の扶養要件(配偶者控除等の枠内)に収まっていれば、その後いくら失業保険を受け取ったとしても、税金上の扶養には入り続けることができます。

2. 「社会保険上の扶養」:失業保険も収入にカウントされる(要注意)

一方で、健康保険や国民年金などの「社会保険上の扶養」に入るための判定では、失業保険の給付金も「収入」として厳格にカウントされてしまいます。

  • 判定の基準:
    過去の収入ではなく、「向こう1年間の収入見込みが130万円未満(60歳以上または一定の障害がある場合は180万円未満)」であること。
  • 失業保険の扱い(日額計算の仕組み):
    社会保険の実務では、1ヶ月を30日、1年を360日として計算するルールがあります。そのため、上記の130万円基準を「日額」に換算して判定します。
    計算式:130万円 ÷ 360日 = 約3,611円
  • 結論:
    ハローワークから交付される「雇用保険受給資格者証」を確認してください。そこに記載されている「基本手当日額」が3,612円以上(60歳以上の場合は5,000円以上)の場合、収入基準をオーバーしているとみなされ、受給している期間中は配偶者の社会保険の扶養に入ることができません。

3. 【時系列】社会保険の扶養に入ったり外れたりするタイミング

手続きのタイミング

STEP 1: 受給前

扶養に入れる

待機・制限期間は
収入がないためOK

STEP 2: 受給中

扶養から外れる

日額3,612円以上の
給付がある期間

STEP 3: 受給終了後

再び扶養に入れる

受給がすべて終われば
再加入が可能

基本手当日額が3,612円以上の場合、退職から受給終了までの間に「扶養の加入と脱退」を繰り返す必要があります。具体的な手続きのタイミングは以下の通りです。

  • ステップ1:退職直後〜受給開始まで(扶養に入れる)
    ハローワークで手続きをした後、「待期期間(7日間)」や「給付制限期間(自己都合退職の場合の2〜3ヶ月間)」が発生します。この期間は無収入となるため、一時的に配偶者の社会保険の扶養に入ることができます。
  • ステップ2:失業保険の受給中(扶養から外れる)
    実際の給付がスタートした日をもって、社会保険の扶養から外れる手続き(被扶養者異動届の提出など)を配偶者の会社で行う必要があります。受給期間中は、ご自身でお住まいの市区町村役場へ行き、「国民健康保険」および「国民年金」に加入して保険料を支払います。
  • ステップ3:受給終了後(再び扶養に入れる)
    失業保険の受給がすべて終了し、まだ再就職が決まっていない(無収入の)状態であれば、再び配偶者の社会保険の扶養に入る手続きを行うことができます。

このように、社会保険の扶養手続きは受給状況に合わせてこまめな切り替えが必要です。手続きが遅れると、過去に遡って医療費の返還を求められるなどのトラブルになる可能性があるため、日額の確認と速やかな手続きを心がけましょう。

5.よくある疑問:前職の源泉徴収票はどう扱う?

退職時に前の会社から受け取る源泉徴収票は、その後のキャリアや税金の手続きにおいて非常に重要な役割を持つ書類です。具体的な取り扱いや、よくあるトラブルへの対処法を確認しておきましょう。

失業保険の手続き(ハローワーク)には必要?

結論から言うと、ハローワークでの失業保険の申請手続きに源泉徴収票は使用しません。失業保険の手続きに必要なのは、退職理由や賃金状況が記載された「離職票」です。

ただし、源泉徴収票は確定申告や再就職時の年末調整で必ず必要になるため、手元に届いたら大切に保管しておいてください。

新しい就職先への提出が必要な理由

再就職を果たした際には、必ず新しい会社の人事・労務担当者へ前職の源泉徴収票の提出を求められます。これは、新しい会社が「前職の給与」と「自社の給与」を合算して、その年の正確な年末調整を行う法的義務があるためです。

提出が遅れると会社での年末調整に間に合わず、ご自身で確定申告を行わなければならなくなるため注意しましょう。

ネット上の「1ヶ月以内の発行義務はない」は本当?

インターネット上には「源泉徴収票を1ヶ月以内に発行する法的義務はない」といった誤った情報が散見されますが、これは事実ではありません。所得税法(第226条第1項)により、会社は退職者に対して退職の日以後1か月以内」に給与所得の源泉徴収票を交付する明確な法的義務があります。

誤った情報が出回る背景には、「再発行には法的な期限が明示されていないこと」や、「退職金に対する源泉徴収票(転職先へ提出不要なケースが多い)との混同」、あるいは「最後の給与額が確定するまで実務上作成できない(月末締め・翌月払い等のケース)」といった事情が曲解されていることが挙げられます。最初の交付においては、明確に1か月以内のルールが存在します。

参考:e-Gov|所得税法

前の会社から届かない・紛失してしまった場合は?

最後の給与の支払いが終わってから1ヶ月以上経過しても源泉徴収票が送られてこない場合は、まずは前の会社へ連絡し、「各種手続きで必要になるため、源泉徴収票の交付をお願いします」と依頼してください。ご自身で紛失してしまった場合の再発行についても、同様に会社へ連絡して依頼します。

万が一、会社が倒産して連絡が取れない場合や、正当な理由なく発行を拒否されるといったケースでは、管轄の税務署へ「源泉徴収票不交付の届出書」を提出することが可能です。これにより、税務署から会社に対して交付に向けた行政指導を行ってもらうことができます。

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源泉徴収票の提出など、転職後の手続きをスムーズに進めるためにも転職活動の全体像を把握しておくことが大切です。こちらの記事で、転職のベストなタイミングについて解説しています。

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6.各種手続きを正しく理解して備える

失業保険は非課税であり、給付金そのものに対する税金の心配は不要です。しかし、年の途中で退職したことに伴う「確定申告(還付申告)」や、税法と社会保険法で異なる「扶養の切り替え」は、ご自身の生活基盤を守るために非常に重要です。

特に社会保険の扶養条件は日額計算となるため、ご自身の雇用保険受給資格者証に記載された「基本手当日額」をしっかりと確認することが大切です。正しく制度を理解し、必要な手続きを抜け漏れなく済ませることで、必要な準備をスムーズに進めることができます。

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