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業種と職種の違いとは?年収や転職に効くキャリア戦略の地図

求人情報を見る際、あるいは自身のキャリアを振り返る際、「業種」と「職種」という言葉の違いを明確に意識できているでしょうか。

これらは単なる分類上の用語ではなく、労働市場における自身の立ち位置を把握し、将来のキャリア戦略を描くための重要な「座標軸」となります。

本記事では、この2つの言葉の定義から、実際の転職活動における戦略的な活用法まで、キャリアコンサルティングの理論と労働市場のデータを踏まえて解説します。

この記事を読んでわかること
  • 「業種(業界)」と「職種(仕事内容)」の構造的な違いと関係性
  • 日本標準産業分類・職業分類に基づいた詳細な一覧表
  • 年収アップや未経験転職を成功させる「業種×職種」のマトリクス思考

1.「業種」と「職種」の構造的な違いとは?基礎知識を整理

🏢

業種 (Industry)

社会での役割・事業の種類
「誰に何を」提供しているか 企業が社会へ提供する価値

企業の「事業の種類」。市場全体を捉えるマクロな視点の分類。

製造業 情報通信業 卸売・小売 医療・福祉
視点の広さ(マクロ視点・市場全体)
👤

職種 (Occupation)

個人の役割・仕事の種類
「どのように」貢献しているか 組織内での個人の役割

個人の「仕事の種類」。保有スキルに着目したミクロな視点の分類。

営業職 事務職 エンジニア 専門職
個人への依存度(ミクロ視点・スキル)

転職活動やキャリアプランニングの第一歩は、自分が身を置く環境(業種)と、自身が担う役割(職種)を正確に区別することから始まります。

端的に言えば、「業種」は社会での役割であり、「職種」は個人の役割です。総務省の分類基準などを参考に、それぞれの定義を確認します。

業種(Industry):事業の種類=「誰に何を」提供しているか

業種とは、企業や事業所が営む「事業の種類」を指します。その企業が社会に対してどのような価値を提供し、どのような市場で収益を上げているかという、マクロな視点での分類です。

日本標準産業分類に基づくと、「製造業」「情報通信業」「卸売・小売業」「医療・福祉」などがこれに該当します。

職種(Occupation):仕事の種類=「どのように」貢献しているか

一方、職種とは、組織の中で個人が担当する「仕事の種類」「役割」を指します。

その人がどのようなスキルセットを持ち、どのようなタスクを遂行しているかという、ミクロな視点での区分です。

日本標準職業分類や一般的な求人市場では、「営業職」「事務職」「技術職(エンジニア)」「専門職」などがこれに当たります。

職種は個人に紐づくスキルの集合体であり、企業が変わっても持ち運び可能(ポータブル)な要素といえます。

例え話で理解する:「車」に関わる仕事の分類

🏭
自動車メーカー
業種:製造業
車を設計する人
技術職
ルートセールス
営業職
🏪
自動車販売店
業種:小売業
車を販売する人
営業職(販売)
売上管理をする人
経理・事務職
🚕
タクシー会社
業種:運輸業
運転をする人
ドライバー

この違いを直感的に理解するために、「自動車」を扱うビジネスを例に挙げます。

同じ「車を扱う仕事」であっても、企業の収益構造(業種)と個人の役割(職種)によって、以下のように分類されます。

  • 自動車メーカーで働く場合:業種は「製造業」。その中で車を設計する人は「技術職」、販売店へのルートセールスを行う人は「営業職」となります。
  • 自動車販売店(ディーラー)で働く場合:業種は「小売業」。その中で車を販売する人は「営業職(販売職)」、店舗の売上管理をする人は「経理・事務職」となります。
  • タクシー会社で働く場合:業種は「運輸業」。その中で運転をする人は「輸送・機械運転従事者(ドライバー)」となります。

このように、対象物が同じであっても、「どの産業フィールド(業種)」「何の役割(職種)」を担うかによって、キャリアの分類は明確に異なります。

2.【保存版】日本標準産業・職業分類表

日本標準産業・職業分類表

履歴書や職務経歴書を作成する際、自分の仕事がどの分類に当てはまるか迷うことがあります。

ここでは、総務省の定義に基づいた主要な分類を一覧で紹介します。

1. 日本標準産業分類(業種)

業種は、大きく19の種類(大分類)に分けられます。

大分類主な業種名具体例・特徴
D建設業総合工事業、職別工事業、設備工事業など
E製造業食品、繊維、化学、鉄鋼、自動車など。B2B(部品)とB2C(製品)の違いも重要。
G情報通信業通信、放送、ソフトウェア開発、ネットサービス。「IT業界」と総称されることが多い。
H運輸業,郵便業鉄道、バス、タクシー、トラック運送、水運、航空など。
I卸売業,小売業商社(卸売)、百貨店、スーパー、コンビニ(小売)。
J金融業,保険業銀行、証券、保険など。
M宿泊業,飲食サービス業ホテル、旅館、レストラン、居酒屋など。
P医療,福祉病院、診療所、介護事業、社会福祉事業など。
Rサービス業他に分類されないもの(自動車整備、職業紹介、労働者派遣など)。

※主なものを抜粋。
参考:総務省統計局 |日本標準産業分類

2. 日本標準職業分類(職種)

職種は、個人のスキルや役割によって分類されます。

特に「専門的・技術的職業従事者」の扱いがキャリア形成のキーポイントになります。

大分類主な職種名解説・トレンド
A管理的職業従事者会社役員、管理職、管理的公務員など。
B専門的・技術的職業従事者【重要】研究者、技術者(製造・建設・ITエンジニア)、医師、看護師、デザイナーなど。
業種を横断して活躍できるポータブルスキルの代表格です。
C事務従事者一般事務、会計事務、営業事務など。
D販売従事者小売店員、営業職(販売類似)、不動産仲介など。
Eサービス職業従事者介護職員、美容師、調理人、接客係など。
H生産工程従事者製造オペレーター、組立工、整備・修理工など。
I輸送・機械運転従事者ドライバー、パイロット、建設機械運転手など。

※主なものを抜粋。
参考:総務省| 日本標準職業分類

特にITエンジニアや機械設計エンジニアなどの「専門的・技術的職業従事者」は、製造業、建設業、情報通信業、金融業など、あらゆる業種の中に存在します。

これは、職種としてのスキルさえあれば、成長産業や待遇の良い業界へ「越境」しやすいことを意味しており、キャリア戦略上非常に重要なポイントです。

3.キャリア戦略のカギは「業種×職種」のマトリクス思考

「業種」と「職種」の違いを理解した上で重要になるのが、この2つを掛け合わせて考える「マトリクス思考」です。

キャリア形成において、この視点は自身の市場価値を最大化させるための羅針盤となります。

仕事は「掛け合わせ」で定義される

🛠️ 職種軸

Can 何ができるか

ポータブルスキルとして、異業界へも「持ち運び可能」な実務能力。

ポータビリティ(持ち運びやすさ)

🏢 業種軸

Knowledge どの分野に詳しいか / 関心があるか (Will)

特定の業界や市場に関する深い知識、または強い興味・関心領域。

専門性・没入度

ほとんどの仕事は「〇〇業界の△△職」という形で定義されます。

例えば、「IT業界(業種)の営業職(職種)」と、「不動産業界(業種)の営業職(職種)」では、求められる専門知識(業種知識)は異なりますが、顧客との折衝や課題解決といったコアスキル(職種スキル)には共通項が多く存在します。

キャリアコンサルティングの理論に基づくと、自身のキャリアを棚卸しする際は、この2軸を分けて考えることが推奨されます。

  • 職種軸:「何ができるか(Can)」。ポータブルスキルとして、異業界へも持ち運び可能な能力。
  • 業種軸:「どの分野に詳しいか(Knowledge)」。あるいは「どの分野に関心があるか(Will)」

市場価値を高める「越境転職」のトレンド

「異業種 × 異職種」への転職割合が増加しています。

異業種 × 異職種への転職 約 4割

近年の転職市場データを見ると、「異業種×異職種」への転職、いわゆる「越境転職」が増加傾向にあります。

リクルートエージェントの調査によると、異業種×異職種への転職割合は約4割に達しています。

これは、終身雇用の変化とともに、企業側も即戦力性だけでなく、異なる視点やポテンシャルを重視し始めていることの表れといえます。

年収アップやキャリアチェンジを狙う場合、以下の2つの戦略が有効です。

職種を固定して業種を変える(軸ずらし転職):

現在の職種スキル(例:経理、営業)を活かしつつ、より成長性の高い業界(例:IT、商社)へ移動する戦略です。
即戦力として評価されやすく、平均給与の高い業界へ移ることで年収アップが期待できます。dodaのデータでも、メーカー出身者がIT業界へ転職し年収を上げるケースなどが報告されています。

業種を固定して職種を変える(キャリアチェンジ):

業界知識を活かして、未経験の職種に挑戦する戦略です。
例えば、アパレル販売員(小売業)が、その商品知識を活かしてアパレル企業のWebマーケティング職やEC運営職に転身するケースなどが挙げられます。

参考:リクルートエージェント|異業種転職の実態調査
参考:doda|転職で年収アップするのはこんな人

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4.履歴書・面接での戦略的な活用法

履歴書・面接での戦略的な活用法

この「業種」と「職種」の概念を正しく理解しておくことは、選考通過率を高めるための実務的なメリットも生みます。

履歴書・職務経歴書での表記テクニック

履歴書・職務経歴書での表記テクニック

応募書類において、採用担当者は候補者のバックグラウンドを瞬時に判断しようとします。

単に「営業をしていました」と書くのではなく、「医療機器メーカー(業種)における大学病院向けの法人営業(職種)」のように、業種と職種をセットで具体的に記述することで、経験の解像度が格段に上がります。

特に異業種への転職を目指す場合、職務経歴書では「前の業界特有の知識」よりも、新しい業界でも通用する「ポータブルスキル(職種としての能力)」を強調して記述することが、書類選考突破のポイントとなります。

面接で問われる「志望動機」の軸

面接では必ずと言っていいほど「なぜこの仕事を志望したのか」が問われます。

この際、業種と職種の視点を整理して伝えることで、論理的で説得力のある回答が可能になります。

  • 業種への志望理由:「なぜこの業界なのか」という問いには、その産業が提供する価値や社会貢献性への共感(Will)を中心に語ります。
  • 職種への志望理由:「なぜこの仕事なのか」という問いには、自身のスキルや適性がいかに活かせるか(Can)を中心に語ります。

この両面から一貫性のあるストーリーを提示することで、「なんとなく」ではなく、戦略的にキャリアを選択しているという印象を面接官に与えることができます。

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【例文付】職務経歴書の自己PRの書き方。自己分析からNG例まで網羅し「書けない」悩みを解決!例文多数掲載
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5.違いを知ればキャリアの選択肢は広がる

「業種」は社会での役割、「職種」は個人の役割
この違いを理解し、マトリクス思考を持つことは、不確実な時代において自身のキャリアを主体的にデザインするための強力な武器となります。

現在の自分の立ち位置を確認し、職種という武器を磨きながら、どの業種というフィールドで戦うかを選択していく。そうした視点を持つことが、納得感のあるキャリア形成につながります。

より詳細な分類を知りたい方は、総務省の公式サイトで最新の分類表を確認するか、自己分析ツールを活用して自身の適性を深掘りしてみることをお勧めします。

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