履歴書を郵送する際、「送付状(添え状)は本当に必要なのだろうか」「書き方が合っているか不安」と感じてしまうことはありませんか。
送付状は「丁寧な人柄」や「仕事への誠実な姿勢」を伝える最初のコミュニケーションツールです。
この記事では、送付状の基本的な書き方から、採用担当者に「この人に会ってみたい」と思わせるためのコツまで、テンプレートや例文を交えながら分かりやすく解説します。
- 送付状の基本的な書き方と、なぜ必要なのかという理由
- 採用担当者に好印象を与えるための自己PR欄の書き方のコツ
- パソコン・手書き別のポイントや、封筒の準備・郵送マナー
1.送付状は「単なるマナー」以上の大切な役割がある

送付状は、ビジネス文書を送付する際に、誰が・誰に・何を・どれだけ送ったのかを明確にするための書類です。
応募書類においては、これが「ビジネスマナーを理解している」という証明になります。
しかし、それだけではありません。手紙と同じように、丁寧な言葉遣いや分かりやすいレイアウトから、その人の人柄や仕事への姿勢が伝わってくるのです。
採用担当者は毎日多くの書類に目を通します。
その中で、丁寧な送付状が添えられているだけで、「配慮ができる人だな」「仕事も丁寧に進めてくれそうだ」というポジティブな第一印象につながる可能性があります。
2.なぜ送付状が必要なの?採用担当者はココを見ている

採用担当者の観点から見ても、送付状には明確な役割があります。
応募者の「丁寧さ」や「人柄」を知るため
履歴書や職務経歴書は、これまでの経歴やスキルを伝えるための「事実」が中心の書類です。
一方で、送付状は「はじめまして」の挨拶状のようなものです。
整った文章やレイアウトからは、丁寧さや誠実さが伝わります。採用担当者は、書類そのものから「一緒に働きたいと思える人物か」を感じ取ろうとしているのです。
応募書類の内容を把握しやすくするため
送付状には、同封した書類の内容を記載する欄があります。
「履歴書 1通」「職務経歴書 1通」といったように一覧で示すことで、採用担当者は何が送られてきたのかを一目で確認できます。
これは、相手の業務をスムーズにするための大切な配慮です。
3.【基本編】送付状の基本構成と例文【テンプレートダウンロード】
ここからは、送付状に書くべき基本的な項目を、例文とともに解説します。A4用紙1枚にまとめるのが基本です。

送付状をパソコンで作成する際に使える、Word形式のテンプレートをご用意しました。
以下のボタンからダウンロードし、ご自身の状況に合わせて内容を修正してご活用ください。
※テンプレート内の氏名、住所、企業名、経歴等はすべて架空のサンプルです。
① 日付
書類を提出する日付を、右上に記載します。郵送の場合は投函日、持参する場合は持参日を書きましょう。
年は西暦・和暦どちらでも構いませんが、応募書類全体で統一することが大切です。
② 宛名
左揃えで、会社名、部署名、担当者名を正式名称で記載します。会社名は「(株)」などと略さず、「株式会社」と書きましょう。
担当者名が不明な場合は、「採用ご担当者様」と記載すれば問題ありません。
③ 差出人情報
右揃えで、自身の郵便番号、住所、氏名、電話番号、メールアドレスを記載します。
④ 件名
中央に「応募書類の送付につきまして」といったように、分かりやすく記載します。
⑤ 頭語+時候の挨拶
ビジネス文書の基本として、まず冒頭に「拝啓」という頭語を置きます。
そして、文章の最後は必ず「敬具」という結語で締めくくります。これらはセットで使うルールと覚えておきましょう。
また、頭語「拝啓」の後には、時候の挨拶を続けるのが丁寧な形式です。その際、「拝啓」と時候の挨拶との間に一文字分のスペースを空けます。
(例文)
- 拝啓 春陽の候、貴社におかれましては、いよいよご発展のこととお慶び申し上げます。
- 拝啓 盛夏の候、貴社におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
時候の挨拶は、季節感を大切にした言葉を選ぶことで、単なる形式的な挨拶にとどまらず、読み手に対する細やかな心遣いや配慮を表現することができます。
▼時候の挨拶一覧
月 | 時候の挨拶 |
---|---|
1月 | 初春の候、新春の候、寒冷の候 |
2月 | 春寒の候、梅花の候、向春の候 |
3月 | 早春の候、陽春の候、浅春の候 |
4月 | 春暖の候、桜花の候、晩春の候 |
5月 | 薫風の候、新緑の候、若葉の候 |
6月 | 向暑の候、入梅の候、長雨の候 |
7月 | 盛夏の候、猛暑の候、炎暑の候 |
8月 | 晩夏の候、残暑の候、暮夏の候 |
9月 | 初秋の候、清涼の候、新涼の候 |
10月 | 仲秋の候、紅葉の候、菊花の候 |
11月 | 晩秋の候、向寒の候、暮秋の候 |
12月 | 師走の候、寒冷の候、初冬の候 |
⑥ 本文
本文では、次の事項を記載しましょう。
- 求人を知った媒体(例:貴社ホームページ、転職サイト「〇〇」など)
- 応募する職種
- 簡単な自己PR
- 面接のお願い
⑦ 同封書類の一覧
本文の後に、中央に「記」と書き、その下に同封した書類名と枚数を箇条書きで記載します。
すべて書き終えたら、右下に「以上」と記載して締めくくります。
4.【応用編】採用担当の目に留まる!「自己PR」欄で差をつける書き方
送付状の本文に、簡単な自己PRを添えることで、より入社意欲を伝えることができます。ただし、長くなりすぎないよう、3〜4行程度で簡潔にまとめるのがポイントです。
意欲が伝わる「貴社への貢献」を簡潔に書く
職務経歴書に書いた自身の強みや実績の中から、特に応募先企業で活かせると考えるものを1つだけ抜き出し、「どのように貢献できるか」という視点で記述します。
(例文)
「前職では、Webマーケティング担当としてSNS運用に携わり、半年間でフォロワー数を2倍に増加させた経験がございます。この経験を活かし、貴社の製品の更なる認知度向上に貢献できるものと考えております。」
職務経歴書との一貫性を意識する
送付状の自己PRは、あくまで職務経歴書の「予告編」のようなものです。
ここで触れた強みや実績は、必ず職務経歴書でより詳しく説明されている必要があります。一貫性のあるストーリーを意識しましょう。
【注意点】長すぎる自己PRは逆効果
熱意を伝えたいあまり、自己PRが長文になってしまうのは避けましょう。
送付状の主役はあくまで「何を同封したか」を伝えることです。詳細は職務経歴書で読んでもらう、という意識が大切です。
▼合わせて読みたい
こちらの記事では自己PRの書き方をステップ方式で解説。例文も紹介していますのでご覧ください。
5.パソコン作成?手書き?それぞれのメリット・デメリット
応募書類の作成で悩みがちなのが、パソコンと手書きのどちらが良いか、という点です。

読みやすさで有利な「パソコン作成」がおすすめ
結論から言うと、特に指定がない限り、パソコンでの作成をおすすめします。
理由は、誰にとっても読みやすく、修正が簡単だからです。採用担当者は多くの書類を確認するため、読みやすいことは大きなメリットになります。
一般的なビジネス文書がパソコンで作成されることを考えても、自然な選択と言えるでしょう。
手書きの場合は丁寧な字で誠意を伝える
もちろん、手書きがNGというわけではありません。
手書きの場合は、一文字一文字を丁寧に書くことで、誠実な人柄や熱意が伝わる可能性があります。ただし、修正が難しいというデメリットもあるため、作成には細心の注意が必要です。
6.意外に見られている?封筒の書き方と郵送マナー
書類の中身だけでなく、封筒の準備や郵送方法もビジネスマナーの一部です。最後まで気を抜かずに準備しましょう。
封筒の選び方と宛名の書き方

- 封筒のサイズ:A4サイズの書類が折らずに入る「角形2号」の白い封筒を選びましょう。
- 宛名の書き方:縦書きが基本です。表面に送付先の住所・会社名・部署名・担当者名を、裏面に自身の住所・氏名を記載します。
- 「応募書類在中」:表面の左下に赤いペンで「応募書類在中」と書き、定規で周りを四角く囲みます。これにより、他の郵便物と区別され、担当者の手元に届きやすくなります。
▼合わせて読みたい
こちらの記事では封筒の書き方やマナーをより詳しく解説していますのでご覧ください。
書類を入れる順番とクリアファイルの活用
応募書類は、送付状を一番上にして、上からの順番で重ねます。
- 送付状
- 履歴書
- 職務経歴書
- その他の書類
すべての書類をまとめてクリアファイルに入れることで、郵送中に折れたり汚れたりするのを防ぐことができます。これも相手への大切な配慮です。
郵送時の切手代と注意点
角形2号の封筒にA4用紙数枚とクリアファイルを入れた場合、重さは50gを超えることが一般的です。
料金不足で返送されるといったトラブルを避けるため、郵便局の窓口に直接持ち込み、重さを測ってもらってから郵送するのが最も確実です。
7.送付状に関する「よくある質問」

Q. メールで応募する場合、送付状は必要?
A. 不要です。メールで応募する場合は、メール本文が送付状の役割を果たします。
メールの件名を「【氏名】〇〇職応募の件」のように分かりやすくし、本文に送付状と同様の内容(宛名、挨拶、自己PR、添付ファイル一覧など)を簡潔に記載しましょう。
Q. 持参して手渡しする場合、送付状は必要?
A. 原則として不要です。誰から誰への書類かが明確なため、送付状の役割である「案内状」は必要ありません。
ただし、受付に預ける場合など、採用担当者に直接渡せないケースでは、送付状を添えておくとより丁寧な印象になります。
Q. 添え状なしで送ってしまった時の対処法は?
A. 追加で送付状だけを送る必要はありません。
選考はあくまで履歴書や職務経歴書の内容が重視されるため、気持ちを切り替えて、面接の連絡を待ちましょう。
もし面接の機会があれば、その場で丁寧な対応を心がけることが大切です。
書類作成の不安を引きずらないことが、就職活動を乗り切る上での心理的なポイントです 。
9.丁寧な送付状で、自信を持って次の一歩を踏み出しましょう
今回は、履歴書に添える送付状の書き方やマナーについて解説しました。
送付状は、単なるルールやマナーとして捉えるのではなく、採用担当者への「配慮」と「熱意」を伝えるための大切な手紙と考えることが重要です。
この記事で紹介したポイントを押さえ、丁寧に作成した送付状は、きっとあなたの誠実な人柄を伝えてくれるはずです。
自信を持って、次の選考ステップへ進んでください。