理学療法士の資格保有者は年々増加し、2025年3月末時点では23万人を超える規模となっています。
有資格者数の増加にともない、採用側が「どんな人と一緒に働きたいか」を重視する傾向が高まっており、自身の専門性やキャリアプランを応募先の理念と結びつけた志望動機が、書類選考でプラスに働きます。
本記事では、採用担当者の評価を高める志望動機の作り方を、具体的な例文とともに分かりやすく解説します。
- 採用担当者から評価される志望動機に欠かせない3つの構成要素
- 新卒・転職・ブランクありなど属性別、急性期・回復期・訪問リハビリなど施設別の志望動機の書き方
- ネガティブな転職理由をポジティブに言い換えるリフレーミングの技術と、避けるべきNG例
1.理学療法士の志望動機に欠かせない「3つの構成要素」

採用担当者から評価される志望動機には、評価の高い志望動機には共通して以下の3つの要素が含まれています。
これらを盛り込むことで、論理的で説得力のある文章になります。
①理学療法士を志した「原体験」
自身の怪我や家族の介護経験など、専門職としての情熱の源泉を具体的に伝えます。なぜ他の医療職ではなく理学療法士を選んだのか、そのきっかけを語ることで、人間性や価値観を採用側に印象づけることができます。
面接官は「この人はなぜPTになりたいのか」を必ず確認します。エピソードが具体的であるほど説得力が増すため、「いつ・どんな経験をして・何を感じたか」を意識して書きましょう。
②その施設を選んだ「固有の理由」
数ある施設の中で、なぜ「ここ」でなければならないのかを明確にします。応募先が急性期なのか回復期なのか、あるいは地域包括ケアに注力しているのかなど、施設の特徴を精密に分析し、自身の目指す方向性との適合性を示します。
「貴院の教育体制」や「独自のチーム医療」など、具体的なキーワードを盛り込むのがポイントです。事前に施設のホームページや求人票をよく読み込み、他の施設では代替できない理由を一つでも見つけておくと、志望動機に厚みが生まれます。
③入職後の「貢献ビジョン」
採用後にどのような役割を果たしたいか、具体的な目標を述べます。「認定理学療法士の取得を目指したい」「多職種連携を円滑にしたい」など、自身の成長が施設の利益(在宅復帰率の向上や質の高いケア)に直結することを伝えます。
「成長したい」という言葉だけでは受け身な印象を与えてしまいます。「〇〇を学んで、△△に活かしたい」というように、学びと貢献をセットで語ることで、採用担当者に入職後のイメージを持ってもらいやすくなります。
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2.【属性別】理学療法士の志望動機例文集

自身の状況に合わせて調整できる、属性別の例文を紹介します。
新卒・未経験者の場合
実務経験がない分、学習への意欲とポテンシャルを強調します。
【例文】
高校時代、部活動中の怪我でリハビリを受けた際、担当の理学療法士の方が心身両面から支えてくださったことに感銘を受け、この道を志しました。
実習では、急性期から回復期まで一貫したリハビリを提供する貴院の体制に強く惹かれました。
一日も早く知識と技術を吸収し、患者様に寄り添いながら機能回復を支えられる存在になりたいと考えております。
転職・経験者の場合
これまでの実績と、なぜ新しい環境が必要なのかを論理的に繋げます。
【例文】
これまで総合病院の回復期病棟にて、脳血管疾患の患者様のリハビリに5年間従事してまいりました。
今後は、より生活に密着した環境で個別性の高い支援を行いたいと考え、地域密着型の訪問リハビリに注力されている貴事業所を志望いたしました。
これまでのチーム医療の経験を活かし、利用者様が住み慣れた自宅で安心して過ごせるよう貢献したいと考えております。
ブランクがある場合
復職への意欲と、ブランク期間中の学びをポジティブに伝えます。
【例文】
育児のため5年間のブランクがありますが、その間も地域の勉強会に参加し、最新の知見を取り入れるよう努めてまいりました。
育児を通じて培った忍耐力と観察力は、患者様一人ひとりの細かな変化に気づく力として活かせると確信しております。
復職支援体制が整っている貴院にて、再び理学療法士としての研鑽を積み、現場に貢献したい所存です。
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3.【施設形態別】心に刺さる志望動機のポイント

施設の機能(フェーズ)によって求められる理学療法士像は異なります。
急性期病院
迅速なリスク管理と早期離床への熱意が重視されます。入院直後から介入するため、患者様の状態が日々大きく変化する環境に対応できる判断力と、チームとの連携スピードが求められます。
最新の治療技術への関心や、多職種とのスピーディーな連携能力をアピールしましょう。また、「急変時にも冷静に対応できる」「医師や看護師と密に情報共有しながら動ける」といった姿勢を具体的なエピソードとともに伝えると、より説得力が増します。
回復期リハビリテーション病院
ADL(日常生活動作)の向上と在宅復帰への貢献が主眼となります。急性期と異なり、患者様と長期間にわたって関わるため、目標設定や信頼関係の構築が治療の質に直結します。
患者様の目標設定に基づいた長期的な関わりや、チーム医療への参画意欲を伝えましょう。「患者様やご家族と一緒にゴールを描きながら支援したい」「退院後の生活を見据えたリハビリを提供したい」といった視点を盛り込むと、回復期ならではの理解度が伝わります。
訪問リハビリ・デイサービス
「生活の場」に即した支援が求められます。病院とは異なり、患者様の自宅や生活環境に直接入るため、住環境への配慮や家族へのサポートも業務の重要な一部となります。
利用者様だけでなくご家族へのケア、地域社会との繋がりを重視する姿勢、あるいはデータ共有による多職種連携や電子カルテによる業務効率化への理解などが評価されます。「その方らしい暮らしを支えたい」「地域に根ざした支援がしたい」という想いを、具体的な言葉で表現することが大切です。
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4.ネガティブをポジティブに!「言い換え」の技術

転職理由がネガティブな内容であっても、捉え方を変えることで前向きな意欲として伝えることができます。
これを「リフレーミング」といいます。同じ出来事でも、見る角度を変えることで別の意味や価値を見出す考え方で、心理学やコーチングの分野でも広く活用されている手法です。志望動機においては、「不満」をそのまま伝えるのではなく、「その経験を通じて何を大切にするようになったか」という視点に置き換えることがポイントです。
- 「残業が多い」 → 「ICT活用や業務効率化に熱心な環境で、患者様と向き合う時間を最大化したい」
- 「給与が低い」 → 「成果やスキルが適切に評価される環境で、自己研鑽に励みながら長く貢献したい」
- 「人間関係が悪い」 → 「チームワークを重視し、多職種と建設的な議論ができる環境で専門性を高めたい」
このように、「不満」を「実現したい目標」へ変換することが、採用担当者に好印象を与えるコツです。
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退職理由と志望動機は、採用担当者に「なぜ前の職場を辞めてここに来たのか」という一貫したストーリーとして伝わる必要があります。
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5.志望動機で絶対に避けるべきNG例

以下の項目に当てはまる内容は、採用担当者の印象を下げてしまう可能性があります。せっかく熱意のある志望動機を書いても、表現の仕方ひとつで伝わり方は変わってしまうものです。
よくある落とし穴をあらかじめ把握しておくことで、より完成度の高い志望動機に仕上げましょう。
抽象的すぎる表現
「人の役に立ちたい」という言葉は、医療・福祉職全般に言えることであり、理学療法士としての具体性に欠けます。なぜ「理学療法」なのかを明確にしましょう。
採用担当者は毎年多くの志望動機に目を通しています。「人の役に立ちたい」「患者様の笑顔が見たい」といった表現は、気持ちとしては伝わるものの、他の応募者との差別化にはなりません。「運動器疾患のリハビリを通じて、患者様が再び日常生活を取り戻す瞬間に携わりたい」など、理学療法士ならではの具体的な言葉に置き換えることが大切です。
「学びたい」という受け身の姿勢
職場は学校ではありません。「教えてもらう」という姿勢だけでなく、自分の知識や技術をどう施設に還元できるかという貢献の視点を忘れないようにしましょう。
特に転職者の場合、「貴院の〇〇を学びたい」という表現が前面に出すぎると、即戦力としての期待に応えられるか不安視されることがあります。「これまでの経験を活かしながら、さらに〇〇のスキルを深め、△△に貢献したい」というように、学びと貢献をセットで伝えることを意識しましょう。新卒の場合でも、「吸収するだけでなく、早期に現場で力になりたい」という姿勢を示すことが好印象につながります。
待遇面のみを強調する
「給与が良い」「家から近い」といった条件面を第一の理由にすると、より条件の良い施設があればすぐに辞めてしまうのではないか、という懸念を持たれます。待遇への関心は自然なことですが、志望動機の場では前面に出さないのが賢明です。
待遇や立地は応募の「きっかけ」にはなりえますが、「志望の理由」としては弱い印象を与えます。面接で待遇について触れる場合は、「長く安定して働くための環境として重視した」という文脈で添える程度にとどめ、メインの志望動機はあくまで施設の理念や自身のキャリアプランとの一致に置くようにしましょう。
6.自分の言葉で志望動機を伝えるために
理学療法士の需給バランスが変化する中、選ばれる存在になるためには、志望動機を通じて「施設にとってのメリット」を提示することが重要です。
自己分析と徹底した施設研究を掛け合わせ、独自のストーリーを作り上げてください。
本記事で紹介した例文や構成案を参考に、自身のキャリアプランを明確にし、自信を持って選考に臨みましょう。
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志望動機と合わせて、転職全体の流れを把握しておくことも重要です。書類選考から面接まで、採用担当者がどんな点を見ているかを知ることで、準備の精度が格段に上がります。
「転職面接で聞かれること50選|質問の意図と回答例文も紹介」の記事では、面接頻出質問の意図と戦略的な回答例について解説します。